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IP Highwayコンソーシアム、企業間IP流通の仕様策定と実証実験を終了

2001年01月25日 23時05分更新

文● 編集部 佐々木千之

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富士通(株)、松下電器産業(株)、ソニー(株)、(株)東芝、メンターグラフィックス・ジャパン(株)の5社が幹事となり、企業間の効率的なIP(※1)流通を目指して'98年6月に設立された“IP Highwayコンソーシアム”は25日、IP流通システム“IPEX(Intellectual Property Exchange:アイペックス)”の開発とその実証実験を完了したと発表した。IP Highwayコンソーシアムは、この実証実験によって実用性が確認できたとし、IPA(情報処理振興事業協会)に対して報告を行なったという。

※1 IP(Intellectual Property):一般的には知的財産を指すが、半導体業界では、LSIなどのシステム中のある機能を実現する機能ブロックやファームウェア、ソフトウェアドライバーなどを指す。

富士通電子デバイス事業本部マーケティング部統括部長の山本実氏
5社を代表して説明を行なう、富士通電子デバイス事業本部マーケティング部統括部長の山本実氏

半導体業界でLSIの設計などを行なう企業においては、プロセッサー、メモリー、汎用ロジック、アプリケーションなどを1チップ化したシステムLSIが主流となっているが、回路規模の増大や新機能の対応のため、開発工数や開発期間が増加しているという。ところがこうして1~2年かけて開発したシステムLSIもその寿命は6ヵ月程度と短くなっており、開発の効率化と期間の短縮のために、IPの再利用が必要とされてきた。しかし、必要なIPをすべて1社のなかで作ることは難しい反面、他の企業とIP情報をやりとりするシステムはなかった。

こうしたことからIP Highwayコンソーシアムが設立され、これまでに

  • インターネットを利用したIP情報交換のための標準仕様の策定
  • 標準仕様に準拠したシステム(IPEX)の開発
  • 策定された仕様とIPEXの実用性検証

を進めてきた。実証実験は2000年3月から8月末まで行なわれ、インターネットと企業間をつなぐ専用線(10Mbps)を使ってIP設計情報の交換を行なった。実験の結果、IPEXによって効率よく情報のやりとりが行なえることを確認できたとしている。具体的には各社が持つIPの情報を、各社のファイアーウォールの内側に置いたサーバー同士でやりとりでき、例えばIPEXを通じて「ある仕様のIPデータがないか?」という要求をすると、それに合ったデータが自社サーバーに届くようなことが可能になったという。

IPEXによるIP情報流通のイメージ図
IPEXによるIP情報流通のイメージ図

今回の発表によってIP Highwayコンソーシアムの活動は終了するが、今後は次期のコンソーシアムを立ち上げ、(株)半導体理工学研究所(STARC)が主催する設計資産流通システムワーキンググループや、VSIA(※2)と協力してこ技術の業界標準化を目指していきたいとしている。

※2 VSIA(Virtual Socket Interface Alliances):IPの技術標準化とオープン化を目的とする、非営利の標準化団体。

今後のIPの流通・取引きに向けた活動
今後のIPの流通・取引きに向けた活動

なお、この成果は2月1日と2日に神奈川県のパシフィコ横浜で行なわれる“EDS Fair 2001”の富士通ブースでデモ展示されるほか、2月14日に東京ドームホテルで開催されるIPA成果発表展示会でも展示される。

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