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「PM-900Cは3ヵ月で20万台、780Cは40万台売れた」――セイコーエプソンの木村専務

2001年01月25日 04時56分更新

文● 編集部 佐々木千之

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エプソングループは24日、都内で報道関係者を招いて新年マスコミ懇親会を開催した。

3ヵ月で3機種合計95万台超

席上、セイコーエプソン(株)の専務で、プリンター、スキャナー、デジタルカメラなどを扱う情報画像事業本部長を兼任する木村登志男氏は「10月から12月の3ヵ月で、PM-900Cは20万台、PM-780cは40万台売れてハコテン(売り切れ)状態。中間モデルのPM-880cも35万台が売れた。900Cや780Cを買いに来たお客さんが売り切れということで、880Cに流れたようだ」と述べ、年末のインクジェットプリンター商戦での好調ぶりを明らかにした。

セイコーエプソンの木村登志男専務兼情報画像事業本部長
セイコーエプソンの木村登志男専務兼情報画像事業本部長

木村専務によると「実売で約5万円と、前年('99年)のフラッグシップ機(PM-800C)よりも高い機種がこんなに売れるとは正直思っていなかった。PM-900Cの好調には、厚紙やCD-ROMへの印刷、7色インクといった付加価値が効いたのではないか」と分析した。また開発にあたっては「ライバル社の製品は、高画質なのはもちろんとして、印刷速度も非常に速くなっているというような噂を漏れ聞き、戦々恐々としていた。ただ、まずは印刷の美しさと速度という基本性能で負けたくはなかった。その上で、カット紙の4辺フチ無し印刷やCD-Rへの印刷機能などを盛り込むことができた」と振り返った。

木村専務が明かした3機種の販売数を合わせると95万台に達する。これ以外の機種を合わせると、年末の3ヵ月で100万台を軽く超える販売となったことは確実で、今シーズンもエプソンのカラーインクジェット市場首位の座は安泰だったようだ。

また、木村専務にビジネス向けのカラーレーザープリンター市場において、エプソンが手がけていないタンデム方式(※1)の高速機について尋ねたが「(タンデム機は)構造が複雑で、コピー機のような頻繁なメンテナンスが必要となる。メンテナンスフリーを目指すエプソンとしてはその部分がネックになる」とタンデム機を早急に開発、販売する考えのないことを明らかにした。

※1 タンデム方式:一般的なカラーレーザープリンターでは、1つの転写ドラムに対し、CMYKの4色のトナーを1色ずつのせてから1枚の紙に印刷するのに対し、転写ドラムを4色分用意して連続して印刷することで、従来比で3倍以上の高速印刷を行なう方式。従来方式に比べて、色ずれが起きやすい、大型になりがち、という弱点もある。

エプソン販売(株)の降旗國臣取締役社長
エプソン販売(株)の降旗國臣取締役社長

エプソンブランド商品の国内向け販売を行なっているエプソン販売(株)の降旗國臣取締役社長も「現在15、6万台といわれるビジネス向けのカラーレーザープリンター市場において、エプソンは6万台を販売しており、業界トップにいる。現状の毎分4~6枚機も値下げしたばかりで、中小のオフィスにもっともっと売っていきたい。また、うちが販売するカラーレーザープリンターの17%は、スキャナーと組み合わせて、コピー、プリンター、スキャナーとして使える“インターカラーステーション”で、今後この比率を25%ぐらいにまで高めていきたい」としており、プリンターを核としたシステムとしての販売に注力する方針だ。

ITは手段であって目的にはしない

エプソングループを代表して挨拶した、セイコーエプソンの安川英昭取締役社長は「20世紀を振り返ると、初の液晶プロジェクターや、高画質のカラーインクジェットプリンター、インクジェットプリンター用顔料インクなど、エプソンはユニークな製品作りをしてきた。21世紀もお客様に喜んでもらえるような、製品と、それにいいソフトウェアをミックスした価値の高い商品を提供していきたい。また、昨年は第2の環境元年として環境問題への取り組みを行なってきたが、今年も引き続きやっていきたい。環境を無視した企業活動はあり得ない。またIT革命といわれるが、製造業にとってITは手段であって目的にはしない。ITの言葉の響きに惑わされることなく、地に足のついた経営を行なっていきたい」と述べた。

セイコーエプソンの安川英昭取締役社長
セイコーエプソンの安川英昭取締役社長

エプソングループで見ると、プリンター事業のほか、小型の液晶デバイスも好調で、携帯電話の4割は同社製の液晶デバイスを搭載しているという。今年もエプソングループの勢いはゆるみそうにない。

2.0型アクティブ半透過型カラー液晶モジュール
エプソンが18日に発表した、消費電力がわずか2.5mW(通常の反射型TFTカラー液晶では40mW程度)という2.0型アクティブ半透過型カラー液晶モジュール『MD20SBT』が展示されていた。132×162ピクセルで、パネル自体は4096色表示(左)だが、ソフトウェア処理により26万色相当の表示(右)を実現する。年末に発売される携帯電話には搭載されそうだという
2.0型アクティブ半透過型カラー液晶モジュール
こちらは開発中の製品で、MD20SBTと比較して176×220ピクセルとより高解像度になり、色もハードウェアのみで26万色表示に対応している『MD-22SDT』。半透過型液晶は、明るいところでは反射型として使用し、暗いところではバックライトを使って表示できるという液晶デバイス

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