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ブックワンと丸善が業務提携、bk1と店舗で“クリック&モルタル戦略”を展開――bk1で洋書の取り扱いも開始

2001年01月23日 00時21分更新

文● 編集部 佐々木千之

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(株)ブックワンと丸善(株)は22日、オンライン書店“bk1”と丸善の書店店舗の連携、eコマース事業に関する在庫、仕入れ、物流インフラの共有化などを柱とする業務提携を発表した。bk1は2月5日から丸善が取り扱う一般洋書の販売を開始する。なお、業務提携に関連して丸善は、同日付けでブックワンの発行済み株式のうち4%の株式を取得(※1)したと発表した。

※1 (株)図書館流通センターと(株)日経ビーピーから各1.5%、アスクル(株)から1%の譲渡を受けた。

ブックワンの石井昭代表取締役社長(左)と丸善の村田誠四郎代表取締役社長(右)
ブックワンの石井昭代表取締役社長(左)と丸善の村田誠四郎代表取締役社長(右)

記者発表にあたり、ブックワン代表取締役社長の石井昭氏は「bk1を2000年7月に開店して6ヵ月が経過したが、当初の予想通り、ユーザーの多くが東京、大阪、名古屋の大都市圏からやってきている。アクセスの多くが夜9時以降で、ピークは0時~1時であることからも、bk1が都市型の大型店舗と補完関係にあるといえる」と述べた。丸善代表取締役社長の村田誠四郎氏も「丸善の創業以来132年の実績とノウハウ、bk1のサイト運営ノウハウ、この2つが合わされば強力な流通システムも相まって外資系オンライン書店にない強みとなる」として、bk1と丸善のリアルな店舗によるクリック&モルタル戦略(※2)の優位を強調した。

※2 クリック&モルタル戦略:ウェブサイトのバーチャル店舗(クリック)と、実体のあるリアル店舗(モルタル)の2つの販売チャネルを持ち、相互に補完する形でビジネスを展開するという販売戦略。ブリック&モルタル(リアルな店舗、特にインターネット以前の旧来の店舗ビジネスを指す)のもじり。

具体的な連携として、丸善側は、2月5日に丸善の各店舗(※3)に“bk1コーナー”を設置し、bk1で取り上げられている話題の書籍の紹介や、bk1ランキング書籍、オススメ書籍には特製のオビを付けて展示する。来店者に向けたbk1利用促進プロモーションも行なう。bk1側では、サイトとメールマガジンを利用して、丸善の店舗で行なわれるサイン会などの催事を紹介して店舗への誘導を図る。各種フェアや特集コーナーは丸善店舗とbk1サイト上で共有するといった連携サービスを行なうとしている。

※3 札幌南一条、仙台一番町、東京日本橋、東京お茶の水、千葉津田沼、名古屋栄、京都河原町、大阪心斎橋、大阪なんばOCAT、広島本通、岡山シンフォニービル、福岡福ビルの12店舗。順次拡大の予定。

bk1は2月5日に、現在の和書に加えて、丸善が取り扱う一般読者向け洋書籍の販売を開始する。これは丸善の持つ洋書データベースとbk1の受発注システムを結ぶもので、英語、フランス語、ドイツ語で書かれた約2万5000タイトルの検索と購入が可能になる。タイトル数は今後拡大するという。

なお丸善は現在、オンライン書店“丸善インターネットショッピング(MIS)”を開設しているが、今回の提携によりリニューアルを行ない、アカデミックな専門書籍を中心に扱うサイトへ移行、学術機関など向けに実績のある会員サービス“Knowledge Worker(ナレッジワーカー)”と合わせて、専門性の高いサービスを提供する。

今後はbk1で注文した書籍の丸善店頭での受け取りや、bk1サイト上での丸善各店舗の書籍の在庫確認サービスなど、この秋をめどに顧客向けサービスの充実を図るとしている。さらに、法人顧客の共同開拓、オンライン書店のアジアにおける海外展開もめざすという。

今回の提携は、ブックワン側から丸善に対して洋書の販売にあたって協力を申し込んだことが発端となったという。両社は、オンライン販売に関するシステム基盤を共有し、それぞれの得意分野に経営資源を集中することで競争力の向上をねらう。ブックワンの石井社長は「日本では年間56~57万タイトルの書籍が流通し、毎年6万5000タイトルの新刊が出版されている。実店舗ではとても並べられないがオンライン書店ならそれが可能だ。また、実店舗では実際にその本を手に取ってみることができるという、オンライン書店にはない強みがある」と、このクリック&モルタル戦略に自信を見せる。各社が“外資系の書店”と警戒するアマゾンやBOLに対して、オンライン書店や店舗が提携して対抗するという戦略をとる企業はこの2社だけではないだろう。

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