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ガス冷マシンを作ろう! 第1回

ガス冷マシン完全自作編 ~その1~

2001年01月23日 18時41分更新

文● 森本琢司

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■R12は特定フロン!?

 その問題とは、この除湿機に使用されている冷媒のフロンガスはR12という特定フロンだったのだ。特定フロンの何がマズイかというと…。そう、少し前から話題のオゾン層破壊ガスなのである。筆者のような素人が下手にいじくりまわしてガスを漏らしてしまうと、地球の生態系を破壊してしまうのである!! なんてこった!! 地球環境を考えリサイクル品を使用した(安かったのもあるけど…)中古コンプレッサーがオゾン層を破壊してしまっては本末転倒だ。しかもR12は既に全廃されていて、まともなルートでは入手も困難なのだ。かわりに使えそうな冷媒はフロンR22だが、こちらも少量では入手しにくいうえ、もともと充填されているR12を回収するのが難しい。現在最も入手性の良い冷媒はR134aというフロンガスである。これはオゾン層を破壊しないため一般的に多用されているが、残念ながらR12用に設計されたコンプレッサーには使用できない可能性が高いらしいのだ。ガスを再充填するのならば、入手性のよいR134a用に設計されたコンプレッサーを使用するのが一番簡単であることがわかった。

 仕方がない。性能は多少犠牲になるらしいのだが、R134a用のコンプレッサーを探そう。人類の未来のためにこのコンプレッサーはガスの回収方法を確立するまで封印することにする。新型の除湿機はほぼ全てR134aを使用しているので、電気屋さんで目をつけていた新品を購入しに再び買い物に走る。

■フロンガスの種類

 フルオロカーボン(通称フロン)は、メタンやエタンの水素をフッ素や塩素等のハロゲンで置換した分子構造をもっており、R12などの ChloroFluoroCarbon(CFC)、R22などの HydroChloroFluoroCarbon (HCFC)、R134aなどの HydroFluoroCarbon (HFC)と区分されていてる。このうちCFCがいわゆる特定フロンに該当し、既に1995年末で生産が停止されている。R12に比べ、オゾン破壊係数(Ozone Depletion Potential=ODP)の低いR22等のHCFCも補充用を除いては2020年をめどに生産が中止されることになっており、指定フロンに該当する。CFCのR11を1としたオゾン層破壊係数はR22で0.05と20分の1になっており、現在R11やR12の代替冷媒としてR22が使用されている。新代替冷媒のR134aはオゾン層破壊係数が0で、現在のところは全く規制がないが、地球温暖化係数(Global Warming Potential=GWP)が、0.24 ~0.29と地球温暖化に影響があることが指摘されている。いずれのフロンも規制は生産に関してであり、使用に関しては特に規制されていないが、環境保護の観点から、必要以上のフロンガスの大気放出は避けるべきであり、機器の廃棄時は可能な限り回収するようにしたい。

■新品除湿機を泣く泣く分解

泣く泣く新品で購入した除湿機。タイマーや空気清浄機能も搭載しているが、これでもローエンドの機種のようだ。他の物は液晶ディスプレイやツインロータリーコンプレッサー搭載などの高級志向品が多い

 購入した除湿機は、「広告の品」の札がついて17,800円で販売されていた松木技研(株)製除湿機。コンプレッサーはR134a使用の消費電力200W(50Hz)のもの。前出の中古品とは違い、まぶしいほどにピカピカの新品だ。動作確認後、激しく湧き起こる「もったいない」という気持ちを抑えつつ、分解を開始する。こちらは廉価品のためか徹底した合理化がされており部品点数が極端に少ない。ネジの数も非常に少なく分解は比較的容易だ。内部構造もシンプルそのもので電磁弁も使用していない。よく見ると設計思想は若干異なるようだが、冷凍機としての構造ははじめに分解した物とほぼ同様の構成になっている。これならPCの冷却用に転用することができそうだ。

非常に合理的な構造で部品点数が少なく、配管の断熱材もほとんど使用していない

 中身を取り出すと抜け殻になったピカピカの除湿機ケース(?)が残った。捨てるのももったいないので、これもリサイクルして空気清浄機能付き除湿機型PC !?を作れないものか。そんなわけで次回は除湿機型マシン製作…ってジョークです(ごっこめんなさい、でもちょっと本気で作りたかったり…)。次回は必要な管材を調達してSocketサイズのエバポレータ(ガス枕)を製作する。こちらは設計段階から自作なので激しく不安は残るが、何とかしなくてはなるまい。では。次回ガス枕製作編でまたお会い致しましょう。

本体背面に記載されていた仕様と配線図。説明書にも冷媒使用量が記載されていなかったのが少々残念
「もったいない」という衝動を懸命に抑えながら分解
初めに分解した除湿機のR12用コンプレッサーとほぼ同じサイズ、形状のR134a用コンプレッサー。動かしてみると出力が大きい分だけ若干振動も大きい。
熱交換器とキャピラリーチューブ。全ての配管が一本道でバイパス回路は付属していない。やはり配管は全て銅製で接合はロウ付け

【続き】

参考にさせて頂いたウェブサイト

ガス冷却を実践されている諸先輩方より貴重な情報をいただきました。この場を借りてお礼を申し上げます。

ガス冷却の第一人者apkさんのページ。キャピラリーチューブの長さについて、コンプレッサーについてなど、様々な情報をいただきました。 妥協を許さない工作技術の鬼のようなmasamotoさんのページ。規制フロンについてのご指摘、代替冷媒について他、貴重な情報をいただきました。

*注意

除湿機、冷蔵庫、クーラー等の冷凍機には高圧ガスが使用されており、分解すると、凍傷、失明、爆発などの危険があります。また、これらの機器を分解・改造した場合、一切の保証が受けられなくなります。さらに、CPUのメーカー規定周波数以上の動作は、CPUや関連機器を破損したり、寿命を縮める可能性があります。その結果によるいかなる損害についても、筆者およびデジタルバイヤー編集部、製造メーカー、販売店はその責を負いません。機器の分解・改造は自己の責任において行って下さい。なお、この記事中の内容は筆者の環境でテストした結果であり、記事中の結果を筆者およびデジタルバイヤー編集部が保証するものではありません。この記事についての個別のご質問・お問い合わせにお答えすることはできませんので、あらかじめご了承ください。

【筆者プロフィール】森本琢司氏。本来はペルチェなどを使ったオーバークロック系、冷却系に一番関心があるのだが、趣味でPC改造も数多く手がけている。ハンドニプラーやその他工具を使っての改造は得意中の得意

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