カノープス(株)は17日、同社のグラフィックスカード『SPECTRAシリーズ』(※1)に装着して、D端子(※2)を備えたTVにパソコンの画面を出力できるオプションドーターカード『SSH-HDTV』を発表した。対応するOSはWindows 98SE/Me。価格は1万2800円で、2月上旬発売予定。また『SPECTRA 7400 DDR』とSSH-HDTVをセットにした『SSH-HDTV体験パック』を、100セット限定でカノープス ダイレクトショップを通じて販売する。体験パックの価格は現時点では未定。
※1 SSH-HDTVが装着可能なグラフィックカード:『SPECTRA 7400 DDR』『SPECTRA 8400』『SPECTRA 8800』『SPECTRA F11』※2 D端子はBSデジタルハイビジョンチューナーとデジタルTVなど、デジタル放送受信機器間を接続する際に使われる端子で、D1からD5までの規格があり、数字が大きくなるほど高画質の画像を送ることができる。
『SSH-HDTV』。SPECTRAシリーズのカード上にあるD-Sub15ピン出力ドーターカード『SSH-type D』と交換する形で使用する |
『SPECTRA 7400 DDR』 |
SSH-HDTVは米コネクサント社製のビデオエンコーダーチップ『CX25870』を採用。D端子とD-Sub15ピンの画像出力端子を備えており、TVとパソコン用ディスプレーに同じ画面またはどちらか一方に画面表示できる。デュアルディスプレーには対応しない。D端子への出力はD2(525p)とD4(720p)に対応している。
SSH-HDTVが出力可能な画像解像度
D2モード | 640×416、640×480、720×400、720×416、720×480 |
D4モード | 800×600、1024×640、1152×640、1280×720 |
1280×720pで表示させたウェブブラウザーの画面。日本ビクター(株)の50インチデジタルハイビジョンプロジェクションTV『AV-D50LA2』に表示させたものを撮影した。文字のエッジが多少甘いが、ちらつきは感じられなかった |
パソコンの画面をTVに出力する際には、これまでコンポジット出力やS端子を利用していたが、TV側でインターレースによる表示になってしまうこともあり、文字や線が見にくかったりちらついたりしていた。SSH-HDTVとD端子をもったデジタルTVの組み合わせでは、プログレッシブ表示が可能なため、パソコンと同じように文字などもちらつかずくっきり表示できる。また、パソコン用ディスプレーと比較して、TVは画面輝度やコントラストが高く設定されているため、DVD映像などをきれいに表示できるとしている。
42インチのデジタルハイビジョン対応プラズマディスプレーTV『AV-42PD1』(日本ビクター)に表示させたゲーム画面。非常に発色がよい印象を受けた。通常のパソコン用ディスプレーよりかなり大いので、近くで見ると迫力がある |
ただし、一般的にTVが表示する画像は、入力画像全体よりも内側の狭い範囲しか表示されない(オーバースキャン)。オーバースキャンをどのぐらい行なっているか(どのくらい見えない範囲があるか)は、それぞれの機種によって、あるいは個体によっても差がある。このため、カノープスでは、出力画像すべてが表示されることを前提としたパソコンの画面、特にゲームなどでは遊ぶために必要な情報が見られない可能性もあるとしている。また、ゲームのタイトルによっては、SSH-HDTVがサポートしている解像度では起動しなかったり、プレー画面が表示されなかったりする場合もあるという。同社では、SSH-HDTV購入前に、ユーザーが遊びたいゲームがSSH-HDTVの持つ解像度で動作するかどうかをパソコン上でチェックするドライバーソフトを来週にもウェブサイトを通じて提供する予定。現時点で未対応のWindows 2000については、今後対応する予定としている。