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松下、2001年度経営方針を発表――松下電子工業を吸収合併、2003年の生活を想定した大規模展示スペースもオープン

2001年01月11日 21時35分更新

文● 編集部 桑本美鈴

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松下電器産業(株)は11日、2001年度経営方針に関する説明会を10日の大阪に続き東京でも行なった。

同社取締役社長の中村邦夫氏。「2001年度の経営スローガンは“夢ある企業へ大革新”。20世紀型の製造業では21世紀に生き残れない。“超・製造業”になることが必要。超・製造業の備えるべき要件は、1:強いデバイス事業、2:スピーディーなモノづくり、3:ユーザー本位のサービス提供の3つ。製造立国日本の一員として尽力したい」

大幅な組織改革を実行

同社は2000年11月30日に、2001年4月より事業セグメントを従来の“民生”“産業”“部品”から、映像/音響や情報/通信事業を担当する“AVCネットワーク”、家電や住宅設備事業を行なう“アプライアンス”、産業機器事業を行なう“インダストリアル・イクイップメント”、部品事業を行なう“デバイス”の4つに変更すると発表している。

今回の説明会で、同社取締役社長の中村邦夫氏はそれぞれの目標成長率を発表、AVCネットワーク分野で年率6%成長、2003年度の売上5兆円を見込んでいるという。また、アプライアンス分野は年率2%弱の成長/2003年度売上1兆4000億円、インダストリアル・イクイップメント分野は年率5%成長/2003年度売上5500億円、デバイス分野は年率7%成長/2003年度売上3兆1000億円としている。

中でも中核となる成長事業として、AVCネットワーク分野のデジタル放送システム事業、iモードなどのモバイルコミュニケーション事業、蓄積デバイス事業、およびデバイス分野の半導体事業、ディスプレーデバイス事業の5つを挙げ、これらの成長事業の売上を、グループ全体売上の40%まで引き上げるとしている。また、企業や自治体向けのシステムサービスやネットビジネスなどの新規事業への取り組みも行ない、2003年度売上を5000億円を目指すという。

同社は、成長を支えるのは人材だとし、これらの重点事業へ社員約1万3000名をシフトするという。中村社長は「人材の質的転換を求めている。社員の切ったはったはわれわれの風土にそぐわない。社員を徹底的に役立てたい」としている。また、社内起業家の創出や新規事業/ビジネスモデルの創出を目的とした社内ベンチャー制度“パナソニック・スピンアップ・ファンド”も設け、3年間で100億円以上を投入するという。

松下電子工業を吸収合併

また同社は社内の構造改革も行なう。まず権限委譲の流れを作り、4月1日付けで本社機能を分離、コーポレート制にするという。さらに本社の部制を廃止し、グループ制やチームリーダー制を導入するとしている。家電営業部門も改革し、営業本部を解消してマーケティング本部を新設、販売会社もスリム化することで低コストのマネジメントを実現するという。この営業部門改革は2002年3月末までに完成させ、年間600億円の流通コスト削減を図るとしている。

さらに、事業部門改革の一環として、松下電子工業(株)を4月1日付けで松下電器産業に吸収合併し、松下電子工業が行なってきた半導体事業、電子管事業、照明事業は、松下電器産業内の半導体社、ディスプレイデバイス社、照明社として組み込まれる。中村社長は組織改革の考えかたとして「それぞれの事業特性に応じて最適な組織を作る」と説明、松下電子工業以外の関連会社の構造改革はいまのところ考えていないとしている。

そのほか、社内の業務プロセスのデジタル化も促進、SCMプロセス(素材の調達から生産、物流、営業サービスまで)、および商品化プロセス(製品企画から開発、生産まで)をIT化するため、1400億円を投資するという。

ブロードバンド時代のネットライフを体験できる展示スペースをオープン

また同社は、ネット家電などITを活用した新たな生活の提案を目的とした展示スペース“eHII House”を都内の同社マルチメディアセンター内に11日に開設した。正式オープンは2月5日。

eHII Houseの全体像

同社は家庭内ネットワークの開発と事業化促進を目的とした展示スペース“HII(Home Information Infrastructure)ハウス”を、'99年1月にマルチメディアセンター内にオープンしたが、昨今の情報環境の変化と情報関連技術の進展に対応すべくeHII Houseとしてリニューアルオープンするもの。

HIIが有線網を活用した家庭内ネットワークを中心としていたのに対し、eHII Houseは、2003年ごろに普及すると思われるITを活用した生活空間を想定し、インターネットを中心とした有線による通信だけでなく、BSデジタルなどの放送、iモードなどの移動通信など無線通信による情報基盤も活用し、ブロードバンド時代に対応した設備となっている。放送網として地上波デジタル、CSデジタル、BSデジタル、CATVを利用。有線通信網はPSTN、ISDN、FTTH、CATV、ADSL、移動通信網はPDC、PHS、W-CDMA、DSRCを利用している。

eHII内のネット家電は、デジタルTVを中心に、PCや電話/FAX、白物家電を制御する家電コントローラー、さらに外出先での利用を想定した携帯端末、車の中で活躍するカーナビなども含まれる。

eHII内は、屋内ゾーン、街頭ゾーン、外溝部に分けられている。屋内ゾーンは、カメラ付きドアフォンのあるエントランス、50インチプラズマディスプレーとBSデジタル放送対応STBなどで構成されるホームシアターリビング、またプラズマディスプレーを介して電子市役所で公共施設を予約するといった“くらし情報サービス”も体験できる。

50インチプラズマディスプレーを備えたリビング。TVリモコンでオンラインショッピングも体験できる

ダイニング&キッチンには、ネットワーク電子レンジやネットワーク冷蔵庫があり、ベッドルームには体温計や血圧計などを備えた電子健康チェッカー、ムービングベッド、ペットロボットが用意されている。バス・サニタリーには、便座に腰掛けるだけで体重や体脂肪率が、排尿時に尿糖値が測定される健康トイレシステムもある。

なお、eHIIは官公庁や関係団体および関係業界の人向けに公開するもので、一般ユーザーには開放しないという。

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