このページの本文へ

【特別レポート】ASUSTeK「A7V133」でオーバークロックにチャレンジ

2001年01月11日 23時01分更新

文● h.godai

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷
2000年41週製造のAthlon-1GHz。1.2GHz程度までオーバークロックが可能だった

 ASUSTeKから「Apollo KT133A」チップセットを搭載した「A7V133」が発売されたことはすでにお伝えしたが、今回はそのオーバークロック性能についてテストしてみよう。
 ファーストインプレッションで触れたように、「A7V133」のオーバークロック耐性は非常に良いことが判明した。そこで、安くなったAthlon-1GHzとPC133 SDRAM(CL=2)、そしてSocket用のCPUクーラーではダントツの冷却性能を誇る「KENDON CPU Radiator」にペルチェを装着してオーバークロックのテストを行った。また、CPUクーラーは比較的安価でSocket用ではトップクラスの性能を誇るアルファ製の「PEP66」でもあわせて行ったので参考にされたい。
 最初にお断りしておくが、オーバークロックはCPUやマザーボード等を破壊する恐れがある。こんな言葉は耳にタコができるくらい聞いているだろうが、Athlon-1GHzのオーバークロックはこれが現実となる可能性が非常に高い。その理由のひとつに、膨大な発熱の処理が難しいことがある。現在のAthlonは、1.2GHzを超えたあたりから猛烈に発熱量が増すので、リテールファンでオーバークロックを試みようものなら、「焼き鳥」の一丁上がりだ(AthlonのコードネームはThunderBird=雷鳥)。



オーバークロックに使用するCPUクーラーテスト

 1.2GHz級のオーバークロックにチャレンジするには、アルファ製の「PAL6035」やPEP66、KANIE製の「HedgeHog238M」などと同等以上の性能をもつCPUクーラーが必須となる。今回使用するKENDON CPU Radiatorはこれらをしのぐ性能を有しているが、ちまたで売られている安価な銅製クーラーや奇をてらった類のものはほとんど使えないと考えてよい。
 参考までに、今回使用したCPUクーラーの冷却性能を示す。これは、CPUソケット内に温度センサを押し込めて、BIOS画面設定時のCPUコア裏の温度を計測したものだ。

CPUクーラー CPU周波数 CPUコア裏温度
Athlon-1GHzリテールファン 1000MHz 66.8℃
アルファ製PEP66 1000MHz 41.1℃
アルファ製PEP66 1168MHz 45.8℃
KENDON CPU Radiator+ペルチェ12V 1000MHz 28.0℃
KENDON CPU Radiator+ペルチェ12V 1258MHz 36.8℃
オーバークロッカーに人気の高いKENDON製の新型CPUラジエータ。その性能はあらゆるCPUクーラーの頂点に立つ

 PEP66でリテールファンより25℃以上、KENDON CPU Radiatorは約40℃の温度差がある。これくらい冷えないと1GHz超のオーバークロックは危険と考えたほうがよい。なお、温度計測はコア裏で行うのが最も確実である。ヒートシンクの温度はアテにならないので注意されたい。
 もう一点、熱暴走したと思ったらすぐにリセットを押し、それでもダメなら即電源を落とすことが大切だ。Athlonは、熱暴走した状態で放置すると急速に発熱量が増して壊れてしまうことが多い。インテル製CPUでは起こりにくい現象なので、オーバークロックに慣れている方も注意が必要だ。



■1.2GHzオーバーをマーク

テスト風景。KENDON CPU Radiatorの巨大なヒートシンクが目立つ。左にチップファンをつけたNorth Bridgeが見える。

 前置きが長くなったが、いよいよオーバークロックのテストに入る。まずはじめに、AthlonのL1クローズの改造が必要だ。CPUコア上のL1端子をつながないと、A7V133での倍率変更機能が動作しない。HBのシャープペンでなぞるだけでいいが、筆者はコンダクティブペンでしっかりと結線している。また、アキバではL1を結線するためのシールも売られているので、これを利用するのもいいだろう。
 まず、FSB設定クロックの上限を調べるため、CPU倍率を6倍程度にしてFSB設定クロックを徐々に上げていく。使用したCPUクーラーは前述のKENDON CPU Radiatorである。結果、150MHzまではBIOSが起動し、149MHzではWindows 98が無事立ち上がることに成功した。しかし、Superπの演算中にエラーがでて、上限は148MHzとなった。従来のチップセット「Apollo KT133」搭載のマザーボードが120MHzあたりで限界だったことを思うと、かなりアップしたことになる。
 次に、CPUの倍率を変えて動作する上限を探る。これらの作業を繰り返した結果、148MHz×8.5倍=1258MHzがベンチマークソフト上でもっとも速い結果を出す組み合わせとなった。また、CPUクーラーをアルファPEP66に変えて同じようにテストした結果、こちらは146MHz×8倍=1168MHzが最高だった。いずれも、今回テストした3種類のベンチマークソフトがすべて完動する周波数で、BIOSの起動のみなら1400MHzまで可能だったことをつけ加えておく。



BIOSのみだが、1.4GHzでの起動に成功

 今回のテストには、最もCPUを熱くするベンチマークソフトのSL BENCH 0.50aと、3DMark 2000、Superπ(104万桁)を計測した。Superπは軽く2分を切っており、FSB設定クロックが高くなるほど効果が現れている。なお、FSB設定クロックを133MHzにした1.0GHz相当のテストも行った。倍率を7.5倍に設定することにより同等の動作を再現することができる。



Superπ(104万桁)

3DMark 2000

SL BENCH 0.50a

 グラフを見てもわかるとおり、かなりのスピードアップが期待できるので、オーバークロックして「焼き鳥」を作ることに抵抗のある方も、定格周波数でのFSB設定クロック133MHz化なら安全度が高いのでぜひチャレンジされたい。ただし、メーカーの保証外であることに変わりはないので、不都合が出てもあくまで自己責任なのはお忘れなく。
 FSB設定クロックとCPU倍率を自由に変えられるというのは、オーバークロックの可能性と楽しみを非常に広げてくれる。もはや、倍率固定のCPUなど買う気が起こらないほどだ(Athlonも表向きは倍率固定) 。A7V133のような高FSBに耐えるマザーボードと、KENDON CPU Radiatorといった非常に強力なCPUクーラーの登場により、1.5GHz超という新たな目標も見えてきた。PC DIYの王道であるオーバークロックの世界は、今後もつきることなく進んでいくだろう。

■テスト環境

CPU Athlon-1GHz
マザーボード ASUSTeK A7V133 Rev1.01
メモリ PC133 SDRAM(CL=2) 128MB MIRA
ビデオカード Canopus SPECTRA8400
HDD IBM DTLA-307020×2
電源 AOpen FSP300-60GT
CPUクーラー KENDON CPU Radiator + 80Wペルチェ / アルファPEP66

注)テスト結果は環境によって異なる場合があります。あらかじめご了承ください
【関連記事】

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

ASCII.jpメール アキバマガジン

クルマ情報byASCII

ピックアップ