開催中の2001 International CESにおいて、6日夕(現地時間)、米パーム社のカール・ヤンコフスキー(Carl Yankowski)CEOが“Palmのあるワークスタイルと生活スタイル”というテーマでキーノートを行ない、Palmを財布代わりにショッピングをするデモが披露された。
米パーム社CEOのヤンコフスキーのキーノートには大勢が詰めかけ会場は満席。ステージ右手にあるのはヤンコフスキー氏が25年来乗りつづけているという愛車 |
キーノートではPCとPalmの使用していく上での比較を中心に話が進められた。ヤンコフスキー氏があげたPCの特徴は、技術が牽引するユーザー経験であること、つまりすべては使用するPCのパワーに依存しているという。また、複雑で画一的であると指摘した。一方のPalmは、シンプルで柔軟性があり、簡潔で優雅なデザイン、身につけられることなどが特徴で、これらがユーザーに広く受け入れられたと述べた。Palmがいかに簡単に情報にアクセスできるかの例として、ヤンコフスキー氏が住むボストンの天候をPalm VIIを使って数回の操作で引き出して見せた。
Palmの優位性を力強く語るヤンコフスキー氏 |
Palm VIIを使ってボストンの天候を調べるヤンコフスキー氏。アプリケーションのアイコンをタップし、郵便番号を入力すると数秒で現在の天候と予報が表示された |
開発者もPalmのスタイルを受け入れた結果、昨年の9月の段階で世界中に13万を超える開発者がおり、強力なコミュニティーを形成しているという。また各地の学校や教育機関、政府機関、軍など、さまざま用途で利用されているという。こうしたPalmの成功のキーワードとして、ユーザーが(使いやすいと)経験したこと、見通しの良いオープンな技術、ユーザーや開発者が作り上げたPalm中心の環境であるパームエコノミーの3つをあげた。
Palm OS 4.0、5.0
また、ヤンコフスキー氏は今後のPalmのビジョンにも触れた。それによると、Palm OS 4.0では、ノキア、モトローラ、京セラ、サムスンと携帯電話関連機能を取り込むべく開発を行なっている。このうち京セラはすでに米国でPalm OSベースの携帯電話(クアルコムブランド)を発表し、サムスンもまもなく市場に投入するとしている。そして世界の開発メーカーと共同で、CDMAやGSMのほか日本のPDCを含むさまざまな方式向けのモデムやPalm OSベースのPDAを開発していくと述べた。
そしてパームがすでに発表しているように、ARMベースのアーキテクチャーに対応していくことで、今後登場する3G携帯電話との融合がスムーズに行なわれるとした。さらにPalm OS 5.0では、音楽やビデオ、ゲームなどのマルチメディア機能を統合していく予定であることが明らかにされた。
ここで、ヤンコフスキー氏は6日付で発表した米Ingenicoグループ、米ヒューレット・パッカード社のVeriFone部門、米VISAインターナショナルとの協力で開発した、電子財布(eWallet)機能のデモンストレーションを行なった。ステージに設けられた店で、AIBOなどの買い物をしたヤンコフスキー氏は、eWalletアプリケーションを起動し暗証番号を入力し、POS端末の赤外線受光部にPalmを向けて、認証情報を送って支払いをして見せた。
POS端末にPalmを向けて操作するヤンコフスキー氏。ちなみに買ったのはAIBOや時計など1969ドル分 |
eWalletアプリケーションに暗証番号を入れているところ |
最後に、ヤンコフスキー氏は「PCと継続中の戦いにおいて、我々はテクノロジーではなく人間の価値という点においてのみ、成功したかどうかを判断していくのだ」と述べ、技術中心でなく人間の生活を豊かにするということを基準にこれからもPalmを発展させていくとしめくくった。