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日立、SIMOXウエハー製造用の大電流酸素イオン注入装置を開発

2001年01月05日 17時39分更新

文● 編集部

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(株)日立製作所は5日、LSIの高速化、低消費電力化が可能なSIMOX(Separation by IMplanted Oxygen)ウエハー製造用の大電流酸素イオン注入装置を開発し、ウエハーメーカーの協力により、300mmウエハーの製造に成功したと発表した。これにより、300mmSIMOXウエハーの量産化への道を開くとともに、SOI(Silicon On Insulator)技術を利用した高性能LSIの製品化の加速が期待できるという。

薄膜SOIウエハーの製造技術には、SIMOX技術と貼り合せ技術の2種類がある。SIMOX技術は、Si基板に酸素イオンを注入し、高温で熱処理を行ないSOIウエハーを作成するもの。貼り合せ方式と比較すると、均一性に優れ、工程が容易でコスト的にも有利という特徴がある。しかし、SIMOX技術では、ウエハーを約600度に加熱した状態において、50~100mAの大電流酸素イオンビームによって、汚染やパーティクルの付着を極力減らし、数時間にわたってウエハー全面に均一にイオンを注入することが必要となる。このような条件を満たすイオン注入装置の開発が、SIMOX技術の実用化にとって最大の課題となっていた。

そこで日立は、ビームを走査する(移動させる)のではなく、ウエハー側を移動させる“メカニカルスキャン方式”を採用し、SIMOXウエハー量産用の大電流酸素イオン注入装置の開発を進めてきた。重金属汚染を低減するために、材料をビームラインや注入室を汚染させないものに限定するともに、ランプヒーターやビームダンプの構造を最適化。また、注入イオンを遮蔽して埋込み酸化膜層に欠陥を生じさせるパーティクル付着を減らすため、ウエハーの保持・搬送機構や保持材料等において多くの設計上の工夫を行なったという。

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