翻訳ソフト実力診断
ここでは、各翻訳ソフトの実力をならべく客観的に測るため、さまざまな翻訳に関するテストを試みた。翻訳テストはすべてインストール後のデフォルト設定(※1)のままで行った。
※1 デフォルト設定- PowerE/Jは5.51のパッチデータを使用
- 翻訳ピカイチバイリンガル+辞書は専門辞書を選択していない状態
テスト環境
Windows版
- CPU Celeron-366MHz
- メモリ 96MB
- OS Windows 98 Second Edition
Macintosh版
- CPU PowerPC 705-350MHz
- メモリ 64MB
- OS Mac OS 9.0
英日翻訳テスト
速度比較テストの内容と結果
- 単語数は3990個、文字数ではスペースを含めずに20099(スペースを含めると24075)の英文をサンプルとして使用。
- 各ソフトで3回ずつ、英文を翻訳させてそれにかかる時間の平均値を記録した。
OS | 翻訳ソフト | 翻訳精度 | 翻訳タイム |
---|---|---|---|
Win | 翻訳ピカイチ for Win | - | 55秒 |
訳せゴマ | - | 1分45秒 | |
おまかせ翻訳 | - | 1分09秒 | |
本格翻訳 | - | 2分07秒 | |
コリャ英和 | 正確 | 13分52秒 | |
標準 | 7分11秒 | ||
速い | 5分21秒 | ||
翻訳の王様 | 正確 | 1分08秒 | |
標準 | 1分02秒 | ||
速い | 4秒 | ||
PowerE/J | - | 1分55秒 | |
翻訳ブラザーズ | - | 15分53秒 | |
Mac | 翻訳ピカイチ for Mac | - | 48秒 |
インターネット翻訳 | 正確 | 4分4秒 | |
標準 | 2分18秒 | ||
速い | 45秒 |
結果は翻訳ピカイチバイリンガルの速さが光る。Win版、Mac版ともに唯一1分を切る成績を残し、デフォルト状態では1位を記録した。謳い文句にもあるように、速度に関しては翻訳ピカイチは強かった。
それに続くのが1分02秒の翻訳の王様だ。翻訳の王様は速度と精度のバランスを5段階に調整できる。実際、計測した最も速い状態では4秒という信じられないような結果も出たが、これは例えば「I believe him.」を「私信じます彼。」のように、前から順に単語単位で訳しただけであり、実用的とは言いがたい。ただ文章中の単語の意味さえわかればいいという場面もあるので、ユーザーのスキル(文法解釈など)によっては、便利に使えるかもしれない。
3位のおまかせ翻訳は1分09秒。4位以下とはタイム差が開いているので、翻訳ピカイチ、翻訳の王様、おまかせ翻訳の3本がWindows版では英日翻訳スピード3強といえよう。
Mac版でもデフォルト設定では翻訳ピカイチが速さを見せるが、インターネット翻訳も最速設定にすると翻訳ピカイチを上回る45秒を記録している。インターネット翻訳の精度と速度は1~100の間(標準では50)で設定でき、好みのバランスに調節できるのは翻訳ピカイチにない便利な機能だ。
翻訳精度の比較と結果
次に、英日翻訳の翻訳結果を文章の意味で比較した。題材は先のアメリカ大統領選に関するブッシュ対ゴアの最高裁での判断の中の一文を選んだ。
翻訳例 | 裁判所はすべての手作業による数え直しを直ちに行うよう命じた。 | ||
---|---|---|---|
OS | 翻訳ソフト | 翻訳精度 | The court ordered all manual recounts to begin at once. |
Win | 翻訳ピカイチ for Win | - | 法廷は、マニュアルが語る全てにすぐに開始するよう命令した。 |
訳せゴマ | - | 法廷は、すぐに開始するために、すべてのマニュアルが物語るように命じました。 | |
おまかせ翻訳 | - | 法廷は、直ちに始まることをマニュアル数え直しにすべて命じました。 | |
本格翻訳 | - | 法廷は、すぐに開始するために、すべてのマニュアルが物語るように命じました。 | |
コリャ英和 | 正確 | 法廷はすぐに始まるためにすべての手動の数え直しを命令した。 | |
標準 | 法廷はすぐに始まるためにすべての手動の数え直しを命令した。 | ||
速い | 法廷はすべてを注文したすぐに始めるべき手動の数え直し。 | ||
翻訳の王様 | 正確 | 公判は、すべてのマニュアルが直ちに始めることを詳しく話すことを命令しました。 | |
標準 | 公判は、すべてのマニュアルが直ちに始めることを詳しく話すことを命令しました。 | ||
速い | その公判注文しますすべてのマニュアル数え直しへの始まります直ちに。 | ||
PowerE/J | - | 法廷は、ただちに始まるために、マニュアルが詳説する全てを命令した。 | |
翻訳ブラザーズ | - | 一度から始まるために、【法廷】the order【全く】recount。 | |
Mac | 翻訳ピカイチ for Mac | - | 法廷は、マニュアルが語る全てにすぐに開始するよう命令した。 |
インターネット翻訳 | 正確 | 法廷はすぐに始まるためにすべての手動の数え直しを命令した。 | |
標準 | 法廷はすぐに始まるためにすべての手動の数え直しを命令した。 | ||
速い | ∥法廷はすべてを注文した∥すぐに始めるべき手動の数え直し∥。 |
まず、翻訳レベルが設定できる3本のソフトでは、精度最高と標準では訳がほとんど変わらない(今回のテストでは同一)だが、精度最低(速度最高)となると微妙に異なってくるのがわかる。どうやら標準レベルでも平易な英文であれば、精度はそれほど落ちないようだ。
次にサンプル1の結果を見てすぐわかるのは、翻訳ピカイチとロゴヴィスタ(コリャ英和とインターネット翻訳)ではWin版、Mac版で同じ訳が出ていること。翻訳エンジンや辞書に関して、MacとWinでの違いはないようだ。
さらに具体的なソフトを見比べてみると、翻訳ブラザーズを除くすべてのソフトが主語に「法廷は」「公判は」を持ってくるとともに、述語に「命令した」という旨の訳を持ってきており、うまく捉えられている。ただ、手作業とすべきところを「マニュアル」とし、数え直しを「物語る」と訳してしまっているソフトが多い。その中でコリャ英和は、厳密には違うがmanualを「手動」とし、recountsを「数え直し」とは見事に正解を出している。それだけに最後の部分を「すぐに始まるために」としてしまったのは残念だ。ここをほぼ理想的な「すぐに開始するよう」と訳しているのは翻訳ピカイチだ。一方、翻訳ブラザーズが辞書に見つからなかった英単語(英文)を残してしまっている。それほど難しい単語ではないと思えるのだが。
Mac版については、翻訳ピカイチが「すぐに開始するよう命令した」と訳したのに対し、インターネット翻訳は「すぐに始まるために~命令した」としてしまいピカイチが一本取ったが、「マニュアルが語る全てに」と勇んでしまい、インターネット翻訳の「手動の数え直しを」に一本取り返され、今回の勝負は両者引き分けといったところか。