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D850GB

D850GB

2000年12月22日 05時52分更新

文● 松室麻人

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D850GB

Intel / インテル

オープンプライス(実売価格2万8000円前後)

デザインガイドに忠実な仕様
CPUクーラーの固定にはPentium 4用ケースが必須

 Intelは、CPU、チップセットのメーカーであると同時に、隠れた大マザーボードメーカーでもある。大手PCメーカーへ大量にボードをOEM供給しているのはもちろんだが、最近はパッケージ入りのリテール品も日本の自作市場にも普通に流通するようになってきており、安定性を重視する固定ファンをつかんでいる。Pentium 4、そしてi850チップセットの設計元であるIntel自らが設計したマザーボードの仕様やパフォーマンスは,i850マザーのリファレンスボードとして注目すべきものだろう。

 Intel純正のPentium 4用マザーボード「D850GB」は、早くからコードネーム「Garibaldi」の名でも知られていた製品だ。深緑のPCBがいかにもIntel製ボードということを感じさせる。Intelでは、チップセットごとに、マザーボード設計の助けとなるよう,基板レイアウトや信号線の引き回し,使用部品など、細部まで詳細に記述したマザーボードのデザインガイドを各ベンダーに配布している。このD850GBもやはり、それに忠実に設計されている。

 なお、本ボードの詳細マニュアルによると、IntelのPentium 4用マザーボードとしてはこのD850GBのほかに「D850BAL」というワークステーション用の製品もラインナップされている。こちらはAGP Proスロットを搭載し、ICH2のオーディオ、LAN機能を有効にしたもののようだ。ただ、D850BALは市場に出回っておらず、現時点ではWebサイトにも正式な製品情報が公開されていない。



OEM先のいろいろな要求に応えられるような設計となっているためか、ボード上には多数の空きパターンが存在する。こちらはEhternet物理層を担うコンパニオンチップ「82562ET/EM」(Intel)用のパターン。
 本ボードの仕様は、最近の同社製マザーボードのそれを踏襲している。拡張スロットは、AGPスロットが1本、PCIスロットが5本、CNRスロットが1本(PCIスロットと共用)。RIMMソケットは4本という構成。AGPスロットの箇所にAGP Proスロット用のパターンが見えるほか、AC'97オーディオコーデックやEhternetの物理層を担うコンパニオンチップのパターンが見える。さらにサウンド機能やLAN機能を実現する時にICH2が持つコントローラを使わないことも想定してか、サウンドチップやEthernetコントローラ用のパターンもある。そのほかにも基板上には多数の空きパターンが存在するが、これは前述のD850BALと基板を共通化を図ったと同時に、同社製ボードのメインターゲットであるOEM先の要求にフレキシブルに対応できるようになっているのだろう。



POSTコードをLEDの点灯で示す「Diagonostic LEDs」。MSIのマザーが持つ「D-LED」と機能は同じだ。
 また、I/Oパネル部分にシリアルポートが1つしかなく、ボード上に端子も出ていないため、シリアルポートは1つしか利用できない。このI/Oパネル部分にはPOST(Power On Self Test)コードを表示する「Diagonostic LEDs」があり、システムが起動しない場合にどこで停止したのかを4つのLEDの点灯状態から知ることができる。これに対応したI/Oパネルも同梱している。その他の同梱品としては、AGPカードをスロットしっかりと固定して接触不良などを防ぐAGPリテンション、空きRIMMソケットに差すC-RIMMなどがある。なお、紙のマニュアルは必要最低限の事項が記載された簡易マニュアルで、詳細なマニュアルは付属のCD-ROMの中にPDF形式で収録されている。



AGPカードを固定するAGPリテンション(奥)と、「Diagonostic LEDs」に対応したI/Oパネル(手前)。

付属CD-ROMの中に入っているハードウェアモニタユーティリティ「Intel Active Monitor」。各種電圧、ファンの回転速度などをグラフィカルな画面で監視できる。
   Pentium 4用マザーボードの中では現在、もっとも安価に出回っているボードなのだが、標準で同梱しているCPUクーラーのリテンションがPentium 4対応ケースへのネジ止めが必要なタイプとなっているため、そのままでは既存のPCケースへの取り付けができない。Pentium 4対応PCケースを新たに購入するか、または「DRACO-P4」(CoolerMaster)のように、プラスチックピン固定タイプのリテンションが付属したPentium 4用CPUクーラー(実売価格4000円前後)を購入する必要がある。

 いつものことだが、FSB設定クロックやメモリクロック、CPUコア電圧などの設定はすべて自動。オーバークロックには向いていない。Intel製マザーボードの魅力は、とにかく「Intel製である」ということに尽きるだろう。CPU、チップセット、マザーボードまですべてIntel製で揃うこととなり、やはり安心感は格別のものがある。ただし、市場にあるものはバルク品や並行輸入品も含まれているため、保証体制などは購入時に確認しておいたほうがいいだろう。


チップセット i850(Intel)
メモリソケット RIMM×4
拡張スロット AGP Pro×1、PCI×5、CNR×1(PCIと共用)
FSB設定クロック 自動
CPUコア電圧 自動
CPU I/O電圧 自動
クロックジェネレータ 9250CF-22(ICS)
ハードウェアモニタ LPC47M102(smsc)
BIOS Intel
ボードサイズ 304(H)×244(W)mm
問い合わせ先 インテル株式会社
http://www.intel.co.jp/jp/support/motherboards/desktop/index.htm
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