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850 Pro

850 Pro

2000年12月21日 22時56分更新

文● 鈴木雅暢

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850 Pro

MSI / エム・エス・アイ・コンピュータ・ジャパン

オープンプライス(実売価格3万1000円前後)

CPUリテンションはプラスチック固定
お馴染みのD-LEDも装備

 MSI(MicroStar International)は、高い品質と優れたマーケティング戦略で躍進めざましい台湾の人気マザーボードメーカー。比較的早い時期から日本法人を設立しており、日本市場向けの製品開発、国内サポートの手厚さでは定評がある。その日本市場向け製品の印象からか同社の製品はコンシューマ向けというイメージが強いが、サーバ/ワークステーション用の開発部門も本格稼働しており、ハイエンド分野への進出を虎視眈々と狙っているようだ。

 そのMSIのPentium 4用マザーボード「850 Pro」を紹介しよう。ボードには「MS-6339」とシルク印刷されているが、これは内部的な製品型番。以前はこのまま製品名としていたのだが、最近では型番のほかに、見ただけでチップセット名がわかる製品名を別に用意している。数値の羅列でしかないよりも、誰にでも製品の性格がわかるようなネーミングを付けたほうがマーケティング的に効果的という判断だろう。たしかにこれは非常に効果的なように思うし、最近の台湾ではこれを真似るメーカーも出てきている。



3種類の電源コネクタを装備。試しに12Vコネクタに電源を差さずに起動させてみたところ、何の苦もなく動作したことから、VRM9.0の推奨仕様とは異なる方法で電圧生成を行っているのかもしれない。
 一般にPentium 4用マザーボードは、CPUクーラー(のリテンション)をPentium 4用ケースに固定することを想定するとCPUソケットの位置が固定されるため、どれも同じようなレイアウトになってしまうのは仕方がない。この850 ProもIntelの「D850GB」に似ているが、IDEのコネクタをICH2の近くに配置してCPUソケットとRIMMソケットの距離を離したことから、全体的にかなりゆったりした印象を受ける。また、電源コネクタとして、メインコネクタのほか、4ピンのATX12Vコネクタ、6ピンのAUXコネクタを持っているが、これらはボード右上にまとめて配置されており、電源ケーブルの取り回しはしやすいだろう。

 CPUクーラーの固定に関する仕様はGigabyteの「GA-8TX」と同様。白いプラスチックピンによってリテンションモジュールをあらかじめ装着しており、Pentium 4対応のPCケース以外も利用することを可能にしている。CPUソケットの位置はリファレンスデザインであるIntelのD850GBと同じで、このプラスチックピンを引き抜いてリテンションを取り外してしまえば、Pentium 4対応ケースによる固定も可能となっている。



DA変換やアナログ信号処理を行うAC'97対応オーディオコーデック。ICH2が内蔵するAC'97コントローラと組み合わせることでサウンド機能を実現する。
 拡張スロットは、AGP Pro×1、PCI×5、CNR×1という構成で、RIMMソケットは4本ある。AC'97オーディオコーデック「YMF752-S」を実装して、ICH2のAC'97オーディオ機能を有効にしている。また、MSIのボードではお馴染みとなったPOST(Power On Self Test)コードを4つのLEDの点灯状況で示す「D-LED」を装備。電源投入から起動まで、この4つのLEDの点灯の組み合わせでシステムの状況を順次知ることができるため、システムが起動しないときにどのプロセスで停止したのかがすぐにわかる。自作PCではカードの差し込みが甘かったり,ちょっとしたミスによるトラブルは多く、地味な機能ではあるが、実際に使ってみるとありがたみを実感する機会が意外に多い。



バックパネル部にある「D-LED」。LEDの状況がどのプロセスを示しているか知るための対応表はシールになっており、ケースの裏蓋などに貼っておけば、いざという時にマニュアルを探して確認する手間が省ける。

 FSB設定クロック、CPUコア電圧はともに自動設定で、任意の設定はできない。Pentium 4プラットフォームの最初の製品ということでクオリティを重視した設計になっているのだろう。MSIがこういった位置づけで出してくる製品は信頼できるもので、同じような位置づけの「K7T Pro」が他社に先駆けてリリースしながらも安定度が高くKT133プラットフォームのスタンダードとなったように、同社の製品は初物でもしっかりしているという評価が市場でも定着しつつある。むしろ安易な人気取りに走らず正攻法で攻めているのは好感が持てる。現在での実売価格は3万1000円前後、リーズナブルな価格も魅力である。

チップセット i850(Intel)
メモリソケット RIMM×4
拡張スロット AGP Pro×1、PCI×5、CNR×1(PCIと共用)
FSB設定クロック 自動
CPUコア電圧 自動
CPU I/O電圧 自動
クロックジェネレータ CY2220PVC-1(Cypress Semiconductor)
ハードウェアモニタ W83627HF(Winbond)
BIOS AMI
ボードサイズ 305(H)×244(W)mm
問い合わせ先 エム・エス・アイ・コンピュータ・ジャパン(株)
http://www.msi-computer.co.jp/
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