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MMCDコンソシアムとオレンジフォーラムが発展的解散、共同で新団体設立へ

2000年12月19日 23時13分更新

文● 編集部 佐々木千之

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CD関連の2団体が解散し、新団体を設立

CD-ROM関連の業界団体であるマルチメディアCDコンソシアム(※1)とオレンジフォーラム(※2)は19日、さらなる発展を目指して解散し、2001年春をめどに共同で新団体を設立、4月に活動を開始するとしている。MMCDコンソシアムと(社)コンピュータソフトウェア著作権協会が主催して都内で開催された“知的所有権セミナー”の席上、MMCDコンソシアム事務局長の藤平亘氏が明らかにした。年内に正式な発表も行なう予定。

※1 MMCDコンソシアムは、インタラクティブ性を持つアプリケーションを作成できるCD規格“CD-i”の普及を目的として'91年3月に設立された任意団体。その後“White Book”と呼ばれるビデオCD規格や、その高画質版であるスーパービデオCD規格の普及活動、技術情報提供、タイトル政策に関わる情報提供など、会員企業のビジネスに役立つ環境を整える活動を行なってきた。

※2 オレンジフォーラムはCD-R、CD-RWの規格書である“Orange Book”に準拠したドライブ、メディアおよび関連ハードウェア、ソフトウェアの普及促進を目的に'96年3月に設立された業界団体。会員はハードウェア、ソフトウェアのメーカーがほとんどで、互換性の確保など技術的な活動が中心。

MMCDコンソシアム事務局長の藤平亘氏MMCDコンソシアム事務局長の藤平亘氏

藤平氏によると、現在のMMCDコンソシアムでは会員のビジネス活動をサポートすることが中心となっており、今後のアプリケーションを考えると、著作権管理の仕組みも必要なことから、メディアのフォーマット(規格)に関しても、何らかの活動が必要ではないかという議論がなされてきたという。一方のオレンジフォーラムにおいては逆に、DDCD(※3)など、新しいフォーマットを策定する際に、その上で動作、利用されるアプリケーションも含めて考える必要が出てきていた。

※3 Double Density(倍密度)CD:従来のCD(640MB)の記録密度を2倍にして、1.3GBと、ほぼ倍の記録容量を持つ次世代CD-ROM/R/RW規格。

そこで両団体に属する会員企業から、なんらかの協業ができないかという声があがり、半年ほど前から話し合いを行なってきたが、このほど合意に至ったという。新団体はCD-R/RW、
DDCDを加えたCD全般を中心にしたマルチメディアビジネスの研究やサポート活動を行なう予定という。

新団体は、MMCDコンソシアム、オレンジフォーラムのいずれかが母体となるようなものではなく、新しい別の団体として2001年2月をめどに設立される予定。MMCDコンソシアムでは総会といったような集まりがないため、2001年2月に会員を集めて新団体についての説明会を行なう。新団体は4月1日から正式活動を開始する予定で、活動開始後MMCDコンソシアムとオレンジフォーラムは解散する。新団体の名称など詳細については現在検討中。

知的著作権セミナー

このセミナーは、MMCDコンソシアムと(社)コンピュータソフトウェア著作権協会が主催し、会員企業を対象に“今国会における著作権関連新法の成立とネットワークビジネス―著作権等管理事業法がもたらすコンテンツ利用の変化―”というタイトルで開催された。セミナーでは、文化庁長官官房著作権課マルチメディア著作権室室長の尾崎史郎氏が、11月の国会で成立した著作権管理団体(※4)に関する法律“著作権等管理事業法”について説明した。これまで著作権管理を行なう団体に関する法律は、昭和14年('39年)に作られた“仲介業務法”によっていたという。

※4 著作権管理団体:著作権者や著作隣接権者からの委託を受け、著作物等を管理すっる事業を行なう団体。(社)日本音楽著作権協会(JASRAC)などがこれにあたる。

文化庁の尾崎史郎氏文化庁長官官房著作権課マルチメディア著作権室室長の尾崎史郎氏

仲介事業法と著作権等管理事業法の違い(抜粋)

仲介事業法 著作権等管理事業法
対象物 著作物(小説、脚本、楽曲を伴う歌詞、楽曲) 著作物一般および著作隣接権の対象物(実演、レコード、放送など)
参入規制 文化庁長官の許可制 登録制
使用料 認可制 届出制
事業者の義務 委託者、利用者に対する義務はなし 委託者に対する委託契約約款の説明、利用者に対する使用料規定の公示など

仲介事業法は60年以上も前に作られた法律であり、著作権管理団体設立に際しては許可制となっているように、国が間接的に管理しようとする面が大きいものであったが、著作権等管理事業法では、原則的に申請すれば認められる登録制になった。また、業務運営に関する規定が曖昧だったものが明記され、各種規定や約款を公示する義務が生じるなど、著作権者と利用者双方の利益を保護する条項が盛り込まれた。なお、著作権等管理事業法は2001年10月1日に施行される。

著作権管理団体が設立しやすくなったことで、例えば音楽著作権市場でJASRAC以外の著作権管理団体が設立されるといったことが考えられる。この場合、著作権者にとっては、複数の管理団体から、条件によって選ぶことができるようになる。また利用者にとっても管理団体間の競争が生じることによって、多様なサービスが利用できる可能性が広がることになると見られる。

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