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梅沢由香里の対局囲碁 平成棋院III

梅沢由香里の対局囲碁 平成棋院III

2000年12月19日 21時51分更新

文● 小林

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梅沢由香里の対局囲碁 平成棋院III

サクセス

1万円

これまで「なんだか地味で難しい」という印象のあった囲碁だが、少年ジャンプで連載中の漫画「ヒカルの碁」が、爆発的な人気を集めるなど、そのイメージが少しずつ変わりつつある。また、同作品の監修を務める女流プロ棋士、梅沢由香里の存在も囲碁界を盛り立てる要因のひとつ。慶応大学出身で、現在プロ4段の彼女は、NHKの囲碁番組のアシスタント役から、雑誌のモデルやCM出演までこなす才媛として囲碁界のアイドル的な存在となっている。

梅沢由香里は1973年10月4日東京生まれ、いて座O型。身長162cm。

 サクセスの「梅沢由香里の対局囲碁 平成棋院III」は、この梅沢由香里を前面に押し出した対局囲碁ソフトである。思考ルーチンの完成度の高さだけでなく、初心者への使いやすさを考慮した優良囲碁ソフトだ。

囲碁のルールを一から学べる

基本編では、梅沢由香里さんの指導のもと、約15分間のムービーで囲碁の基本から9路盤を使用した具体的な対局の流れまでを概観できる。説明はよくまとまっており、初めて囲碁を打つという人でも安心して、囲碁の世界に入っていけるはずだ。

 前作に引き続きイメージキャラクターとして起用された「梅沢由香里」は、「入門編」では囲碁のルールから簡単な対局の流れまでを説明する講師として、また、実際の対局を行う「実戦編」では、ユーザーの対戦相手としてそれぞれ登場。無味乾燥になりがちな囲碁ソフトにさわやかな彩りを添えている。約15分間のムービーで構成されている入門編では、石の置き方や陣地の数え方といった基本ルールから、実戦の流れまで8つのトピックスに沿って囲碁を解説。要点をまとめた簡潔な説明で、まったくの初心者でも囲碁の基本を短期間で効果的に学習できる。



対戦時に「指導対局」をチェックすると、画面上に梅沢4段が現われる。プレイヤーの1手1手に対して返してくるリアクションが臨場感を演出する。

 ユーザーの対戦相手として登場する、実戦編の指導対局モードでは、ユーザーの1手1手に対し、「うん、いい手ですね」、「そこはあまりよくありませんねぇ」など、16種類の表情と32種類のコメントでリアクションする。あたかも先生に指導してもらっているような感覚で対局できるわけだ。コメント内容には、「待った」を繰り返した際に「またですか?」、大差で負けた時には「まだまだですねぇ──」など、やや挑発的なものも用意されており、辛口な発言を受けて「なにくそ」と激昂したり、手筋を誉めてもらった際に「それ見たか」とちょっとした優越感に浸れたりと感情に直接働きかけてくるところがいい。



思考エンジンは国内最強レベル

囲碁は初心者という方は、盤面の小さな9路盤からスタートしよう。打つところがなくなったら(=打つと損になる場合)、パスをクリック。相手も打つところがなければ終局となる。

 囲碁に馴染みのない初心者でも楽しめる気軽さを前面に押し出した平成棋院だが、思考ルーチンの強さと速さも特徴のひとつだ。最新版のIIIでは、定評ある思考ルーチンをさらにバージョンアップ。その実力は、2000年11月に中国で行われた「Ing杯」(世界囲碁ソフト大会)で5勝2敗の同率2位の好成績を収めるなど折紙付きだ。

 対局機能としては、全9段階の対戦レベル、19/13/9路の3種類の盤種(※1)、「互先」(たがいせん)から「9子」まで9段階のハンディキャップレベル(※2)を用意しており、囲碁初心者から、骨のある対戦を望んでいる中上級者まで、幅広いユーザー層に対応する。今回から、朝鮮/中国の古典ルール(※3)に基づいた対戦が可能になったほか、約20種類の棋譜データも付属しており、単にコンピュータと勝ち負けを競う以外に、囲碁の歴史や打ち方に腰を据えて取り組みたいという向きも満足できる内容となっている。

 棋譜を保存して編集したり、途中から打ち直すこともできるので、負けた理由の分析などにも役立つ。SGF(Smart Go Format)形式と呼ばれる、世界共通の棋譜フォーマットに加え、日本棋院が配布しているUGF形式の読み込みも可能(保存は不可)。梅沢由香里の公式ホームページ(http://www.yukari.gr.jp/)には、これをきっかけで14歳の時にプロ入りを決意したという、師匠(加藤正夫九段、当時名人)との対局なども公開されているので、興味があるならダウンロードしてみるといいだろう。

 「梅沢由香里の対局囲碁 平成棋院III」は2001年1月19日発売予定で、価格は1万円。すでに囲碁に十分親しんでいる人はもちろんだが、囲碁の世界にこれから足を踏み入れようという初心者にこそ特にお勧めしたい1本だ。


発売元 (株)サクセス
問い合わせ先 03-5740-7609
価格 1万円(1月19日発売)
対応OS Windows 95/98/Me
CPU MMX Pentium-133MHz以上
メモリ 32MB以上推奨
ビデオ 640×480ドット/6万色以上(1024×768ドット推奨)
HDD 27MB以上
CD-ROM 2倍速以上(6倍速以上推奨)
※1 碁盤上の線の数。通常の公式戦では19×19路の19路盤を使用するが、初心者同士の対局ではそれより線数が少なくシンプルな13路/9路盤を使用する場合もある。

※2 囲碁では一般に先手が有利であるため、同程度の実力を持った人同士の対戦では、終局後地の計算を行う際に、後手(白)に5.5目足して計算する。以下、実力差に応じて、定先(最後に何も足さない:コミなし)、2子(黒が2目先において白から打ち始める:置碁)……といったハンディをつける。

※3 12~16世紀末までの中国囲碁のルールと1930年代までの挑戦囲碁のルール。対局の最初に置かれている石の位置や終局後の目の数え方が現在のルールとは一部異なる。

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