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Pentium 4マザーボード特集

Pentium 4マザーボード特集

2000年12月16日 04時19分更新

文● 丸尾

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Pentium 4対応マザーボードの電源仕様
ATX12V対応電源の使用は必須

 Pentium 4対応マザーボードを利用するには、「ATX12V」という電源規格に対応した電源が必要となる。ATX12Vとは、ATXの電源規格に、12V系電流の供給のコネクタと12V系の供給電流容量などを別途定義して、+12V系電流の供給能力を強化した規格。そのデータシートによると、マザーボード上のデバイスを駆動するための電圧を生成するのに、+12V系電流を使うことが増えてきたことに対応したということだ。そう、その+12V系電流を要求するデバイスこそ、Pentium 4そのものだ。

Gigabyte「GA-8TX」が装備するATX12V対応の4ピンの12Vコネクタ。

 現在のPentium 4コアの駆動電圧は1.7V(1.5GHz)。Pentium 4のデータシートによれば、5本の信号線を使って1.1Vから1.85Vまでの電圧が定義されており、将来こういった電圧仕様を持つPentium 4が登場する可能性があることがわかる。Intelでは、このPentium 4を駆動するための電圧生成の仕様を「VRM9.0 DC-DC Converter Design Guidlines」というドキュメントにまとめており、このドキュメントに準拠した電圧生成方法をマザーボードに実装することを推奨している。

 そして、この「VRM9.0 DC-DC Converter Design Guidlines」では、CPUへ供給するような低電圧は、より高い電圧から生成したほうが変換効率が良いことなどを理由に、+12V系電流をメインのパワーソースとして使う電圧変換仕様をまとめている。つまりは、i850のデザインガイドに準拠して設計されたPentium 4マザーボードであればすべて、+12Vの入力電圧からPentium 4に供給する1.7Vの電圧を作るようになっている。+12VはATXのメインコネクタからも供給されているため、既存の電源ユニットを利用しても動作する場合もあるかもしれないが、メインコネクタに用意されている+12Vの供給ラインはたったの1つ。常に+12V系電流を大量に要求するPentium 4システムでは安定などという以前の問題、電源ユニットが「ATX12V」に対応していることは必須条件と言える。

 ATX12Vは既存のATX電源規格との下位互換性を持っており、通常のATX電源としても利用できる。ATX12Vに対応した電源ユニットかどうかは、4ピンの12Vコネクタを持っているかどうかでわかる。ちなみに、+12V系電流をパワーソースとして要求するデバイスにはPentium 4の他に、AGP Proに対応したビデオカードなどがある。Pentium IIIやAthlon用のハイエンド系のマザーボードがATX12Vのコネクタを持っているのはそのためだ。



ENERMAXのATX12V対応電源ユニット「EG651P-V」のコネクタ部分。左が4ピン12Vコネクタで、右が6ピンのAUXコネクタ。
ASUSTeK「P4T」のAuxiallyコネクタ(6ピン)。

 また、これまでに販売されているPentium 4対応マザーボードはすべて、メインの20ピンコネクタ、4ピンの12Vコネクタに加えて、6ピンの「AUX(Auxially)コネクタ」も備えている。i850マザーのデザインガイドでは、特に必須とされてはいないものの、+3.3V系電流を18A以上、または5V系電流を23A以上要求するような場合は使用したほうがいいとされている。RIMMを4本挿したり、消費電力の高いPCIカードを複数利用する場合など、+3.3V系や+5V系の電流を多く必要とするような場合には利用したほうがいいだろう。

 ちなみに、12VコネクタもAUXコネクタも使わなずに各社のPentium 4マザーの動作を試してみたところ、Intel「D850GB」とGigabyteの「GA-8TX」は起動すらしなかったのに対し、ASUSTeK「P4T」とMSI「850 Pro」の2枚は何事もなかったように起動し、ベンチマークも無事に動作した。もしかしたら、この2枚はCPUコア電圧の生成をVRM9.0の仕様と異なる方法(+12V系電流ではなく+5V系電流を使うなど)で行っているのかもしれない。もちろん、たまたま動作しただけかもしれないし、電源ユニットがピーク出力650Wの「EG651P-V」(ENERMAX)だったせいかもしれないし、こればかりはマザーボードの設計図を入手するでもしなければわからない。どちらにしても12Vコネクタの使用が推奨されていることから、使用したほうがいいことに変わりはない。



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