レックスマーク インターナショナル(株)は8日、都内のホテルでプレス向け懇談会を開催した。席上、雨宮俊朗代表取締役社長は同社のこれまでの実績と、2001年の製品戦略について語った。
レックスマーク インターナショナル(株)、代表取締役社長の雨宮敏郎氏 |
「2000年は米レックスマーク インターナショナルがIBMから分離独立(※1)して10年目、また日本法人が設立されて5年目の節目の年だった。日本法人としては、1200dpi製品2機種、2400dpi製品2機種の4機種を発表することができ、5年目にしてやっとフルラインアップで製品を提供できるようになった」
※1 米レックスマーク インターナショナル社は'91年3月に、米IBM社のプリンター部門が分離独立して設立された。日本法人であるレックスマーク インターナショナル(株)は'96年1月に設立されている。レックスマークの2000年製品ラインアップ。6月に1200dpiの『Z32』を発表し、8月には1200dpiの廉価機種『Z12』および2400dpiのスタンダード機種『Z42』と高速機『Z52』を発表している |
「日本のプリンター市場はかなり特殊で、エプソン、キヤノンの2社が大きな広告費を投入し、圧倒的なブランド力を背景とした販売を行なっている。レックスマークは営業要員も少なく、主に量販店などでの店頭ディスプレーと、雑誌記事などに頼ってきたが、徐々にブランドとして認知が進んできたところだ。インクジェットプリンター市場におけるシェアも'98年に1.5%だったものが、'99年には3.2%、2000年は現在3四半期分の集計で5.6%と、着実に増加している。2001年にはさらに営業体制と店頭ディスプレーを強化していきたい」
インクジェットプリンター市場におけるレックスマークのシェア(日本ガートナーグループ(株)データクエスト部門調べ)。同社の第4四半期(10~12月分)データは含まれていない |
「製品については、今年発表した『Z52』で、2400dpiの高解像度とA4毎分15枚の高速印刷を達成したが、まだまだ画質の向上を図っていかなくてはならない。これまでは米本社に要求を出してもなかなか日本市場のことを理解してもらえなかったところがあったが、最近、日本のレベルの高いユーザーの判断基準にあう画質や好まれる色の調査を米本社と共同で調査した。2001年は画質の向上を優先して行なっていきたい。また、日本市場向け専用モデルも検討していきたい」
雨宮社長が語っているように、日本のインクジェットプリンター市場は、世界のそれとは大きく異なっている。欧米市場では、ヒューレット・パッカードが過半数のシェアを占め、レックスマークがそれに続くという形なのに対し、日本ではセイコーエプソン(株)がおよそ4割強、キヤノン(株)が3割弱、日本ヒューレット・パッカード(株)が2割弱を占めている状況だ(なお、日本電気(株)はヒューレット・パッカードから、富士通(株)と富士ゼロックス(株)がレックスマークからOEM供給を受けて販売している)。
また、さらにレックスマークからOEM供給を受けてきた富士ゼロックスがシャープ(株)と共同でカラーインクジェットプリンターを開発して、今年から両社のブランドで新製品を投入し、まさに戦国時代の様相となっている。そういう市場で、これまで着実にシェアを伸ばしてきたレックスマークは立派だが、シェアが5%を超えるこれからが本格的な戦いともいえるだろう。雨宮社長が明らかにした、日本市場の調査結果を反映した製品がいつ投入され、どのくらい受け入れられるかがレックスマークにとっての勝負どころといえそうだ。