セイコーエプソン(株)は7日、都内で製品発表会を開催し、液晶プロジェクターとしてネットワーク機能搭載モデルなどハイエンドからエントリー向けモデルまで、新製品6機種を発表した。エプソン販売(株)を通じ、12月下旬から順次発売予定で、価格は39万8000円から200万円。
エプソン販売、代表取締役社長の降旗國臣氏 |
プロジェクターの国内市場におけるメーカー別シェア((株)富士キメラ総研調べ)。エプソンは2位以下に大きく差を付け25%を占めている |
発表会で販売戦略について説明した、エプソン販売代表取締役社長の降旗國臣氏によると「エプソンは国内のプロジェクター市場において'95年から5年連続でNo.1の地位を得ている。今回製品ラインアップにハンディー普及タイプを加え、ハイエンドからエントリーモデルまですべてのニーズに応えられる商品がそろった。今年度は第3四半期(12月まで)までに1万5000台を販売する計画で、それはほぼ達成できる見込み。第4四半期には、今日発表の製品を含めて1万台の販売を見込んでいる」としている。
エプソンの液晶プロジェクター全ラインアップ。“NEW”と“Ver.Up”とあるのが、今日発表した新製品 |
液晶プロジェクター新モデル
エントリーモデルプロジェクター『ELP-50』 |
『ELP-50』、『ELP-70』は、教育分野やSOHO、ホームユースなどを想定したエントリーモデル。ELP-50はSVGA(800×600ドット)の0.7インチ液晶パネルを使用し、パソコンのXGA(1024×768ドット)表示や、HDTVの表示(入力はD1/2/3/4)に対応しており、輝度は1000ANSIルーメン。サイズは幅300×奥行き220×高さ80mmで、重さは3.1kg。価格は39万8000円で2001年1月上旬発売予定。ELP-70はXGAの0.7インチ液晶パネルを使用し、SXGA(1280×1024ドット)表示やHDTVの表示に対応しており、輝度は700ANSIルーメン。サイズと重さはELP50と同じ。価格は49万8000円で、2001年2月中旬発売予定。
『ELP-505』は、ビジネスのプレゼンテーション機としてPCカードスロット(Type II)×1を装備し、PCカードに記録されたJPEG、BMPなどの画像データや、PowerPointファイルをプロジェクターのみで表示できる“EasyMP”機能を搭載したモデル。SVGAの0.9インチ液晶パネルを搭載し、輝度は1100ANSIルーメン。HDTV信号(D1/2/3/4)にも対応する。サイズは幅267×奥行き213×高さ72mm、重さは2.7kg。価格は49万8000円で2001年1月中旬発売予定。
『ELP-703』は、ポータブルプロジェクターの従来機種『ELP-700』の輝度向上モデル。XGAの0.9インチ液晶パネルを搭載し、輝度は1000ANSIルーメン。サイズはELP-505と同じで、重さは2.6kg。69万8000円で、2001年1月上旬発売予定。
ネットワーク機能を備えた『ELP-8150』 |
『ELP-8150』は、ビジネス用高性能プロジェクター。100BASE-TXポートを持ち、LAN上のクライアントとしてプレゼンテーションデータをネットワーク経由で送受信できる『EasyMP.net』機能を備えたことが最大の特徴。またUSBポート×4も備えており、タブレットを接続することでプレゼンテーションデータにメモなどの書き込みが可能。さらにそれらのメモが追加されたデータを保存することもできる。PCカードスロット(Type III)×1も備えている。パソコンのSXGA表示や、HDTVの表示(入力はD1/2/3/4)に対応。XGAの1.3インチ液晶パネルを搭載し、輝度は3200ANSIルーメン。サイズは幅303×奥行き389×高さ179mmで、重さは9.1kg。価格は180万円で2001年1月上旬発売予定。
1.3インチSXGA液晶パネル搭載の『ELP-9100』 |
『ELP-9100』は重さ10kg以下のSXGA液晶パネル採用機としてトップクラスの高輝度プロジェクター。液晶パネルサイズは1.3インチで、輝度は2400ANSIルーメン。パソコンのUXGA(1600×1200ドット)表示や、HDTVの表示(入力はD1/2/3/4)に対応する。サイズは幅303×奥行き389×高さ147mmで、重さは8.3kg。価格は200万円で2000年12月下旬発売予定。
ELP-8150、ELP-9100に搭載された“スムーズモーション機能”。映画の画像(秒24コマ)を、NTSC画像(秒30コマ)で表示する際に、同じコマが続く部分を、プロジェクターが動きを補完してなめらかに見せる機能 |
エプソンは液晶プロジェクターメーカーとして国内トップシェアというだけでなく、プロジェクター向け液晶パネルの供給元としても大きな地位を占める。発表会で示された2000年度(見込み)の資料((株)テクノ・リサーチ調べ)によると、世界のプロジェクターに装用されているデバイスとしては、液晶が約80%を占めるがそのうちの64%がエプソン製だという。つまり結果として、世界で生産されるプロジェクターの51%にエプソン製デバイスが搭載されている計算となる。エプソンの液晶プロジェクターは、こうした技術的背景のもとで最高の画質を得られるよう製品作りを行なっているという。インクジェットプリンターの画質や機能の技術革新で日本市場をリードするエプソンだが、今後大きな市場の伸びが予測されるプロジェクター市場で、その立場を一層強化しそうな気配だ。