(社)電子情報技術産業協会(以下JEITA)は6日、2000年度から2005年度までの産業用電子機器需要予測を発表した。今回の予測は'99年度実績を考慮し、2000年度から2005年度までの計6年間の産業用電子機器需要予測をまとめたもの。また予測では今までは主に通商産業省の“生産動態統計”、大蔵省の“貿易統計”、各種機関の関連統計などを使用していたが、今回は今までの統計資料に加えて同協会の“パーソナルコンピュータ出荷統計”などの自主統計を主体として予測を行なった。
2005年度までの需要展望を語る 同協会産業WG主査 砂山安男氏 |
予測によると、2005年度における産業用電子機器の総需要は20兆円で、'99年度の15兆9641億円から年平均3.8%の成長を見込んでいる。同協会では、“デジタル放送”“次世代携帯電話”“EC(電子商取引)”“ブロードバンド”“ITS(高度道路交通システム)”の5つを安定成長のキーワードとして挙げた。また、内訳としては、無線通信機器が3兆9000億円(年平均伸び率9.4%)、有線通信機器が3兆3000億円(同7.0%)、電子応用機器が11兆円(同1.7%)、電子計測器が1兆2000億円(同7.7%)、事務用機械が6600億円(同-3.3%)となっている。
無線通信機器では、放送装置が2005年度で1432億円(年平均伸び率11%)と予測。12月から始まったBSデジタル放送や今後予定されているCSデジタル放送、地上波デジタル放送などのデジタル化が本格化し、それにともないデジタルに対応した放送用カメラ・スタジオ装置(同9.0%)、中継機・送信機(同14.6%)などの放送装置の設備投資が見込まれている。
移動通信装置の需要は3兆1179億円(同11.3%)と予測。そのなかで2005年度には携帯電話の累積加入者数は9870万人(人口普及率77%)、インターネット接続累積加入数は8400万台(加入率85%)となり需要は2兆5869億円(同12.9%)と見込んでいる。また、来年から次世代移動通信サービス(IMT-2000)がはじまり、加入者数の予測は2003年度には30%、2005年度には50%と見込まれる。また、導入にともない、基地局の大幅な増大が見込まれており基地局通信装置の需要は3855億円(同6.7%)となっている。
一方、公衆用PHSの需要は696億円と予測された。128kbpsのサービス開始も予定され、加入者数も2002年度までは増加の傾向(加入者数610万人)にあるが、そのあたりからIMT-2000が本格的に普及し始めて加入者数が減少されると予測されている。
有線通信機器では、有線端末機器の需要が2005年度で5974億円(年平均伸び率1.8%)と予測。固定電話に関しては加入者数が移動電話への移行などにより減少傾向にあるが、ファクシミリへの需要シフト、NTTの“Lモード”のようなインターネット対応などのサービス、ISDNの普及に伴うTAの普及などにより需要は安定すると見込まれている。
電子応用機器では、コンピューターおよび通信機器の需要が2005年度で8兆6200億円(年平均伸び率1.5%)と予測。2000年問題の終了による基幹システムの構築、ASPやISPなどのサーバー需要の増大などが見込まれている。また、今後はパソコンの低価格化などのために売上金額などの増大は期待できないが、出荷台数は年平均3.9%伸びると予測した。