米マイクロン・テクノロジー社は12月4日(米国時間)、米マイクロソフト社との間で、マイクロソフトが2001年秋を目指し開発中のコンシューマ向けゲーム専用機『Xbox』に、DDR(Double Data Rate) SDRAMモジュールを供給するという契約を締結したと発表した。契約期間は6年となっている。
マイクロンのリリースによると、Xbox1台につき32MBのDDR SDRAM(200MHz)モジュール2枚を供給する。ピーク時のバンド幅は毎秒6.4GBとなる。
パソコンのメモリー規格においては、米インテル社が米ラムバス社のRAMBUSを推す形で'99年からチップセットを供給しているが、チップセットの遅れやRAMBUS DRAMモジュールが高価なことなどから普及は進んでいない。一方2000年夏には米AMD社がDDR SDRAMを選択し、まもなく対応チップセット、メモリー、プロセッサーが出そろう見込み。インテルも市場の反応が良くないことから、「RAMBUS DRAMが最大のパフォーマンスを発揮できる選択肢」としながらも、サーバー向けにDDR SDRAMをサポートするチップセットを出すことを明らかにし、またパソコン向けにもDDR SDRAMを採用するかどうかという検討に入ったと認めている。
他方、コンシューマーゲーム機では(株)ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の『PlayStation 2』が、性能とパソコンに搭載されることで価格が下がることを見こんでRAMBUS DRAMを採用しているが、パソコンへの採用が進まず価格が予測通り下がらないために、製造コスト面で苦労しているのではないかという意見もある。SCEは先日、リモコンをバンドルしたPlayStation2の新モデルを発表したが、最初の製品に添付されていた8MBのゲーム記録用メモリー(RAMBUSではない)が無くなるなどしており、この主張を裏付けるものとして注目される。
そのような状況下で今回の発表がなされたわけだ。Xboxの発表までまだあと10ヵ月程度あるのでRAMBUS DRAMの価格も下がる可能性が大きいとはいえ、少なくとも当初はDDR SDRAMがRAMBUS SDRAMよりも安いコストで供給できることはまず確実。メモリーメーカーの中にはDDR SDRAMとSDRAMの価格に、テストのコストなどを付加して差を付けるところもあるが、米マイクロンはパソコンのメモリーモジュールを「同じ値段で供給する」としており、今回のXboxのような大量供給であれば、なお安い価格となることは間違いないだろう。
パソコンによって大量生産され、安くなった技術を使って高性能のコンシューマーゲーム機を作り上げるというマイクロソフトの思惑は、プロセッサー(インテル製Pentium III-733MHz)、グラフィックスチップ(米NVIDIAのGeForceベース)、そして今回のメモリーと、うまくあたった形だ(主要コンポーネントとしてはHDDもあるが、すでにかなり安くなっている)。少なくともハードウェアについては非常に順調に進んでいると言えるだろう。