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【Internet World 2000 Vol.3】人、物、場所のすべてがウェブサイトに──HP研究所のCooltownコンセプトとは

2000年11月29日 15時11分更新

文● 編集部 佐々木千之

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幕張メッセで29日から12月1日まで開催中の“Internet World 2000”では、会場での展示のほかに多くのセミナーや講演が行なわれている。その中から29日午前中に行なわれた日本ヒューレット・パッカード(株)(日本HP)が行なった講演“Cooltown構想が開くインターネットの未来”の模様をお伝えする。

HP研究所のマッキーチャン所長日本ヒューレット・パッカード、ヒューレット・パッカード研究所のマーク・マッキーチャン(Marc McEachern)所長

“Cooltown(クールタウン)”とは、ヒューレット・パッカードの基礎研究部門であるヒューレット・パッカード研究所(※1)で提唱されているコンセプトで、一言でいうと「すべての現実世界の人、物、場所がウェブページを持ち、インターネット上の仮想空間と現実世界を結びつけることによって、現実で役立つウェブサービスを実現している街」というもの。

※1 ヒューレット・パッカード研究所は、ヒューレット・パッカード社の全社的な組織で各国にあり、共同で研究を行なっているという。

CooltownはHP研究所の以下のような前提/発想に基づいている。

  1. モバイル/組み込み情報機器とそれを接続する無線/有線の通信ネットワーク、その上のメディアコンテンツが、今後もユーザーの要求をインターネット上で満たすサービスを供給し続ける。
  2. 今後のネットワーク環境はすべてウェブになる。ウェブはオープンで異種共存可能な標準技術をもとにしたネットワーク基盤で、普遍的で分散したコンピューター環境を実現できる。
  3. すべての物がウェブページを持つようになる。現実世界の人、物、場所をウェブ上のサービスで取り扱うための表現方法は複雑になってきているが、これこそが優先して扱われるべき対象である。
  4. 物理的な現実世界とインターネット上の仮想空間を結びつけ、これによって日常生活のほとんどの部分を占めるような、現実世界に役立つウェブサービスを実現する。また、インターネット上の環境が物理的な場所や機器をアクセスできるようになることで、人々を机の前の束縛から解放する。

日本HPのヒューレット・パッカード研究所、マーク・マッキーチャン(Marc McEachern)所長によると、このうち1、2は一般的によく言われており、同様のコンセプトが各企業・研究機関から発表されているが、3、4の部分がHP研究所のCooltownの特徴的な部分だという。HP研究所では'93年頃から機器に組み込むウェブサーバーの研究を行なっており、そこから発展して'96年頃にCooltownのコンセプトが生まれたとしている。

ウェブ空間の構成
Cooltownコンセプトにおけるウェブ空間の構成

Cooltownコンセプトによって可能となる例としては、クルマのカーナビ/カーコンピューターがメールを受信して読み上げたり、そのクルマに故障が起こった際にカーコンピューターが自動的に近くの修理工場を検索して運転者に指示を行なう。そしてその工場に到着したときには、工場側でもそういうクルマやユーザーがくるのを知っていて、対応準備ができている、といった具合。また、個人情報が格納されたウェブサーバーを各人が持っており、病気など緊急の際に、救急隊員がそのウェブにアクセスして、適正な手当を行なうということも考えられるとしている。さらに、携帯電話を使い、街に貼られている(ウェブ機能を持つ)イベントのポスターから、イベントの情報を呼び出し、またチケットの予約まで行なうといったビジョンも紹介された。

マッキーチャン所長によると、こういったコンセプトに基づいた製品はまず携帯電話にウェブサーバー組み込まれる、といったところから始まると考えられており、4、5年後には現実にサービスが提供されるようになるとしている。

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