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Pentium 4の実力検証

Pentium 4の実力検証

2000年11月23日 03時18分更新

文● 丸尾

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特異な性質が際立つCPU
ワープロ・表計算にこれ以上の速さはいらない?

 今回の結果からは、整数演算系、ビジネス系アプリケーションにおけるPentium 4のパフォーマンスは、Athlon-1.2GHzはもちろん、1GHz以下のPentiumIIIにも劣る場合があるという現実が浮き彫りとなった。分岐予測精度の向上や整数演算ユニットの倍速化、実行トレースキャッシュの装備……これら数々の工夫をもってしても、長いパイプライン導入に伴う予測ミス時のオーバーヘッドをカバーするまでには至らなかったということだろう。

 Intelの言うように、ビジネス系アプリケーションでの性能はすでに十分な領域に達しており、これ以上の性能向上は不要と言える面があるのは事実である。実際にWordやExcelを使っている時は、CPUが処理している時間よりも、読む、考える、入力する、といった人間側の作業時間のほうが圧倒的に長いのは明らかで、CPU性能はPentiumIII-700MHz程度もあればほとんどストレスを感じることはない。しかし、その一方で、起動時や何か処理をさせた時、ある瞬間のちょっとした反応にみせる劇的な速度に、えもいわれぬ快適さを感じていたユーザーもそれほど少数派ではないはずだ。ハイエンドのCPUを購入するような人が、ともすればPentiumIII以下にもなってしまう速度で満足できるのか。これは市場の反応を見るしかないが、興味深いところである。

 もっとも、マルチメディア分野、Intelが本来意図したターゲット分野では十分な性能が発揮できており、その点ではたしかに優秀なプロセッサだと言える。特にSSE2の威力は素晴らしく、これを利用できるアプリケーションでは、まさに劇的な速度向上が期待できる。SSEの処理に関しては、PentiumIIIに比較するとほぼクロック増加分に比例した性能向上という印象だが、現状では1GHzを越えるPentiumIIIというものが存在しないのだから、すでに1.5GHzという高クロックで動作できるこのCPUの存在価値は高い。

 一般的に結論を出すとするならば、個人ユーザーにとっては、いくらエンコードやレンダリングなどマルチメディア処理を行うことが多いという人でも、高クロックのPentiumIIIやAthlonとの価格差(特にメモリの価格差)を考えると、現状では導入するアドバンテージは見いだしにくい。一方、エンコードやレンダリング速度の向上が、ダイレクトに仕事の能率アップ、収入につながるようなプロフェッショナルユーザーには価値あるCPUと言えるだろう。利用アプリケーションがSSE2に最適化されているならばなおさらである。

 SSE2対応タイトルを整備すればマルチメディア分野では大きなアドバンテージを獲得できるし、DDR SDRAMをサポートすると言われる次のチップセット「Brookdale」が登場する頃には価格の割高感も解消されるだろう。それでも、一般ユーザーへの普及となると、パーソナルコンピューティング全体におけるマルチメディア処理の位置付けがどのように変化していくのかも大きなカギになりそうで、現時点では判断しにくい。

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