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国際放送機器展2000――IEEE 1394の音楽用途“mLAN”がいよいよ製品化へ

2000年11月16日 21時50分更新

文● 浅野純也

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15日~17日までの3日間、幕張メッセで国際放送機器展(Inter BEE 2000)が開催されている。今回はその中のプロオーディオ部門をレポートする。この部門はレコーディングやミキシング、MAなどプロの現場で使われる音響関係の機材が展示されている。

さまざまなmLAN対応製品が登場

ミキシングコンソールを始めとする機材がデジタル化されているのはよく知られているが、次のキーワードはネットワーク化だ。ヤマハ(株)はかねてより開発してきたIEEE 1394の音楽用途規格“mLAN”をいよいよ製品化。自社ブースで展示した。

mLANは、IEEE 1394の物理規格上にオーディオデータとMIDIデータを流すためのフォーマットで、速度200Mbpsの場合で100チャンネルと256ポート(1ポート=16MIDIチャンネル)のMIDI信号を流すことが可能。

製品化されるのは既存のMIDI機器やオーディオ機器を接続するためのインターフェース『mLAN8P』と、シンセサイザーなどmLAN対応のMIDI楽器を接続するためのオプションボード『mLAN8E』、そして同社のデジタルミキサー用の専用オプションカード『CD8-mLAN』の3つ。

最大8つのデジタルオーディオと2ポートのMIDIをmLANに流すことが可能な『mLAN8P』
mLAN8Pの背面にはMIDIやIEEE 1934、光出力などのコネクターが見える。mLAN用のメタルケーブルはプラグ部分が通常よりもかなり大きくなっている

インターフェース機能のほかにデジタルミキサーやエフェクターといった機能も備えている。価格はいずれも未定。対応MIDI機器は今のところ同社とコルグ製シンセサイザーに限られるが、今後他社が採用するケースが増える見通しだ。いずれも専用のコントロールソフト(WindowsおよびMacintoshに対応)が同梱され、データの流れを制御できる。

シンセサイザーやサンプラーのオプションスロットに装着する『mLAN8E』。現時点ではヤマハとコルグの一部の製品が対応可能

オタリテック(株)もIEEE1394を使ったネットワークを展示した。ネットワークプロセッサー『ND-20』を採用したもので、光ケーブルを使って最大100mに延長できるのが特長。mLAN対応とはうたっていないが、仕様的にはコンパチであり、mLAN機器との接続もできるという。4.5m以内であればメタルケーブル、それより遠い場所は光ケーブルと棲み分けされる。

オタリテックのIEEE 1394ネットワークのデモ。ND-20とは信号のパッチングを行なうマトリックスプロセッサーだ
背面には光とメタルのIEEE 1394端子が装備されている

PCで操作できるオーディオ機器を多数展示

DSPを搭載した本体をPCでコントロールする形態のデバイスも増えている。サンプリングリバーブだったりミキサーだったりとその機能はさまざまだが、DSPのアプリケーションをPC側から供給することで、スタンドアロン型以上の多機能性と、使い勝手のよさを誇っている。

例えばヤマハの『DME32』は、画面上で組み上げたマトリックスを自在に呼び出して再セッティングを行なうデモを実施していた。ライトサイズのオーディオワークステーションもこの形態が多く、PCを隠してコントローラーの使い勝手で勝負するケースも多い。

ヤマハのDME32は、PCで設定したパラメーターを本体のDSPに送ってさまざまな機能を実現する
インターネット経由で、ウェブ上のJavaアプレットを使ってDME32をリアルタイムに操作するデモも行なわれた
コンソールメーカーの大手STUDER社の最新モデル『D950S2』。XGAの液晶ディスプレーをビルトインしており、GUIからのコントロールも可能。空いている場所にはオプションを組み込める
ヤマハのデジタルミキサー『PM1D』。フェーダーやボタンがついたコントローラーと大量のDSPを詰め込んだプロセッシングユニットで構成される。SVGAの液晶ディスプレーを内蔵し、外部への出力やUSB経由でのPCによるコントロールにも対応している

このほかインターネット関連では、PCから操作することでインターネット上へMP3音楽データを配信できるオーディオデバイスや、リキッドオーディオ社の『Liquid Express Server』などが展示された。

1UラックサイズにMP3データを内蔵、PCによるコントロールでインターネット上にデータを送出できる
オーディオワークステーションの1つ。キーボード型に並んだボタンに、操作感へのこだわりが感じられる
こちらはUSB経由でMIDIとオーディオインターフェースを接続、本体のボタン類でミキシング操作ができるタスカムの『US-428』
タスカム製マルチトラックのHDDレコーダー。これを改良してSuperAudio CDと同じ1bitサンプリングデータをダイレクトに記録する製品も予定されている
フェアライトジャパンは、25周年を記念して20年前の最初のデジタルオーディオワークステーションを展示した

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