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国際放送機器展2000が開幕――製作から送出まで完全デジタルの時代へ!

2000年11月16日 18時22分更新

文● 浅野純也

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15日~17日までの3日間、千葉/幕張メッセで“2000年国際放送機器展”(通称:Inter BEE 2000(International Broadcast Equipment Exhibition 2000))が開催されている。放送局や番組製作社向け機材を中心にした名称どおりの放送機器展で、映像放送関連機材とプロオーディオの各部門に分かれて海外392社、国内170社の展示が行なわれた。

BSデジタル放送のサービス開始を直前に控えた時期でもあり、映像放送関連部門は“デジタル”と“HD(高精細画質)”が咲き乱れていた。カメラや編集機、送出機器にいたるまでデジタル対応機材があふれ、標準画質から高精細画質までプログレッシブやインターレースを問わないマルチフォーマットも流行りのようだ。

マルチフォーマット対応のHDDレコーダーが多数展示

目立ったのはマルチフォーマットに対応したHDDレコーダー。単体製品やPCと接続する製品などさまざまだった。このHDDレコーダーが放送用データの中心になるとあって、各社が力を入れている分野と言えるだろう。

東芝の高速バス対応HDDレコーダー。800MbpsのHIIPI規格に対応し、HDTVのデータを非圧縮で記録できる
こちらも非圧縮のHDTVディスクレコーダー。写真のスタンドアロンタイプのほか、Windows NT Workstationと組み合わせたものもある
東芝のデジタル地上波向けのHDTV送出システム。これ1台で1W規模の放送を行なえる
池上通信機のHDDパックを使う編集機。HDDカメラで記録したHDDパックを装着して編集を行なう

編集機ではアビッドジャパン(株)が『Avid DS HD バージョン4.0』を出品したほか、(株)ディ・ストームが『Video Toastor 2』や『LightWAVE』をなどのアプリケーションを展示していた。米Digidesign社はProToolsの最新バージョン5.1をデモしていた。

アビッドジャパンはHD対応の編集システム『Avid DS』を展示した
ディ・ストームのブースではVideo Toastor2の関連製品が展示された

BSデジタル放送関連製品も豊富

BSデジタル放送絡みでは、データ放送用のPCベースのオーサリングツールを(株)東芝や松下電器産業(株)が出品した。BMLコンパイラー的な雰囲気でフローチャートのようにシーンをつないでオフラインで結果を確認できる機能などがあった。また、松下はCGを使ったバーチャルスタジオの背景CGを生成するPCIボードを展示していた。手元からカメラをコントールでき、それにあわせてカメラが動き、背景CGも移動する仕組みだ。

東芝のBSデジタル放送のデータ放送用コンテンツをパソコンで作成できるシステム。繰り返されるカルーセルや放送局側からプッシュするストリーミングにも対応している
リップシンク(くちびるの動きと声きを合わせる)のタイムラグを回避するための装置。音声のおよその波形/タイミングを映像信に透かしデータとして埋め込み、それを音声データと照らし合わせることでタイミングを補正する。ソニーの製品
NECはVALUESTARにBSデジタル放送受信カードを内蔵させたデモを行なった。データ放送にも対応する

このほか、韓国のAIRCODE社が番組中のデータを自由に呼び出すことができるインタラクティブTV『TV PLUS』を展示。クイズ番組を例に視聴者が回答したり、番組中のどの回答者が答えるかを予想するといった双方向性を盛り込んでいた。同社はコンテンツを作成する『TV SPICE』も展示していた。

韓国AIRCODE社のインタラクティブテレビのデモ。通常のテレビ電波にデータを多重化させ、さまざまなデータをインタラクティブに表示させることができる。コンテンツ作成システムも同社が開発

ソニー(株)は1920×1080ドットの映画を毎秒24フレームプログレッシブで撮影するためのデジタルビデオカメラ『HDW-F900』を開発しているが、それに関連し3枚のCCDでフィルムをデジタルデータ化するテレシネシステムを展示していた。マルチフォーマットに対応しており、これをデジタルワークステーションで色調整しながらデータ化する工程をデモしていた。またこのフォーマットでのデジビデ映画の規格CIF(Common Image Format、ITUが制定)に賛同するシンボル“CINEALTA”を冠したプロジェクタシアターを設置、ヴィム・ヴェンダース監督らのデジタル撮影技術への賞賛と期待を上映していた。

映画撮影用に開発したソニー製デジタルビデオカメラ『HDW-F900』。『Star Wars: Episode II』などすでにこれを使って作品が撮影され始めている
3つの200万画素CCDでフィルムをデジタルデータ化するソニー製フィルムスキャナー。これだけで1億円
スキャンしたデータを色味をみながらカラーを合わせる作業を行なうためのワークステーション

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