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日本HP、カラーで17万円台と攻撃的価格でレーザープリンター市場に“参入”

2000年11月14日 19時00分更新

文● 編集部 佐々木千之

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日本ヒューレット・パッカード(株)(日本HP)は14日、17万円台のカラーレーザー機などプリンター2シリーズ3機種を発表した。あわせて従来のレーザープリンターも価格を見直し4~7割の大幅な値下げを行なった。また同時に直販ウェブサイト“hp direct”をサービスを含め大幅に拡張して15日9時に再スタートすると発表した。

攻撃的価格でレーザープリンター市場に“参入”

発表会では、レーザープリンターの新製品と販売戦略について、IPSマーケティング、マーケティングマネージャーの丸山眞一氏が説明した。「これまで日本HPのレーザープリンター製品は一部の外資系企業で使われ、耐久性やネットワーク上で利用した場合の利便性などが評価されてきた。しかし、HPが日本を除く世界すべてのプリンター市場において支配的なシェア(欧米で5~6割、シンガポールでは8割以上)を持っているにもかかわらず、日本では数パーセント程度に留まっている。今後はより多くの顧客に使っていいただいて、ビジネス用レーザープリンターベンダーとして認知してもらう」という。具体的方法として、「hp directをはじめとした購入利便性の拡大、ラインアップ拡充、広告展開、プリンター本体およびサプライ品(トナー)を大幅に値下げする」として、現在数パーセントというシェア(台数ベース)を、1年後に10パーセント、2年後に15パーセントまで引き上げるとしている。手始めとして、既存のレーザープリンター『Laser Jet』シリーズの価格を従来の4~7割引きの“攻撃的定価”にするとした。

『hp color LaserJet 4550n』
『hp Laser Jet 8150n』

本日発表されたカラーレーザープリンター2機種3モデルにおいても、非常にインパクトのある価格付けがなされた。A4用紙までに対応し、600×600dpi(イメージ処理により2400dpi相当)で、A4カラーを毎分4枚、A4モノクロを毎分16枚印刷可能な『hp color Laser Jet 4550』が17万8000円、100BASE-TX対応プリントサーバーを内蔵した『同 4550n』が19万8000円。A3までの用紙に対応し、600×600dpi(イメージ処理により1200dpi相当)で、A4を毎分32枚印刷可能な、プリントサーバー(100BASE-TX)内蔵モノクロレーザープリンター『hp Laser Jet 8150n』が21万4800円となっている。3モデルとも15日に発売される。

他社製品との比較表
発表会で示された、今回の新製品と他社製品との比較表。高スペックで低価格であることが強調された

ビジネスカスタマ事業統括マーケティング本部長の松本光吉氏によると「HP全体におけるプリンター事業の売り上げは年間1兆数千億円にもなるが、日本HPではわずかに20億円たらずで割合としてはほぼゼロといっていい。今回の件も米国発のリリースでは日本市場に“Launch(参入)”する事になっている」という。他のメーカーが今回の日本HPの価格に対抗してきたらどうするのかという質問に対して丸山氏は「この価格した理由は、とにかく顧客の皆さんに使ってもらって認知度を上げるため。他社が下げてきたらこちらもそれに対応する」と一歩も引かない構え。日本HPは、今回の日本でのレーザープリンター事業“参入”に対し、相当の決意で臨んでいることは間違いない。

CRMを利用し“hp direct”のサービスを拡大

発表会では、松本市が日本HPの企業向けパソコンと周辺機器の新販売戦略について説明した。それによると、現在企業顧客においては、なにかの機器を購入する際の情報ソースとして、機器ベンダーのウェブサイトがトップとなっているとともに、ベンダーの直販サイトが購入時の価格面、サービス面でのリファレンスとなっているという。日本HPでは顧客やシステム規模によって販売チャネルを、企業の大規模システム構築“Enterprise”、企業向け案件“Mid.Biz./Department”、SOHO向け小規模ネットワーク“Small Biz./Workgroup”、ホームパソコンやプリンター“Home”の4つに分けている。そして、そのそれぞれに最適な販売チャネルを設定して、より顧客ニーズに合うビジネスを目指すという。

松本光吉本部長ビジネスカスタマ事業統括マーケティング本部長の松本光吉氏
hp direct”で販売する製品群
“hp direct”で販売する製品群。企業向け製品が中心となる

hp directは半年ほど前から「試験的に」(松本氏)運営してきたもので、先に挙げたチャネルの“Small Biz./Department”に合致したものとなる。今までの運用では、ウェブを見に来た顧客に単にハードウェアを販売しているだけだったが、プリンターやUNIXサーバー製品など扱う商品群を追加、拡大すると共に、年中無休の“hp directコールセンター”を開設し、ウェブと電話の2つの窓口による、CRM(Customer Relationship Management)システムを使ったOne to One Marketingを行なうとしている。将来は「インターネット上でHPのアプリケーションを体験できるようにして、顧客が使ってみて良かったら購入する、といったような展開も考えている。単にハードウェアをインターネットで売るのではなく、プラスアルファの部分も頑張っていきたい」と意欲を見せた。

松本氏に続いて、ビジネスカスタマ事業統括インターネットビジネス推進部長の上原宏氏がhp directについて詳しく説明した。その中で特徴的なのは、日本HPにとって「本格的にダイレクトモデルへも注力することの意思表明」であると共に「日本HPそのものの存在感を示しブランドイメージ確立を狙う」としていること。hp direct自体のターゲット層はSOHOやSMD(Small Mediam Business)を中心とした、ある程度製品に詳しい顧客だが、TVコマーシャルや雑誌・新聞などへ積極的に広告展開を行ない、hp directはもちろん、日本HPとその製品の認知度を上げるとしている。

リニューアル後のhp direct
リニューアル後の“hp direct”のトップ画面

また、hp directは日本HP製品販売のポータルサイトという位置づけであり「必ずしもウェブサイトでの販売を誘導するものではない。コールセンターでの直接対話も行なうし、顧客の要望にあわせて日本HPの販売パートナー(代理店)の紹介も行なう」(上原氏)としている。コールセンターも、他社の同様なサービスとの差別化を図るため、年中無休で朝9時から夜9時までの営業を行なうという。

発表会では「これまでHPは前に出て売るという姿勢を見せていなかった。今後はとにかくお客に見えるところに出て商売をする」(松本氏)と、非常にアグレッシブな発言が目立った。これまで日本では、大規模なシステム構築など、大企業向けのシステム販売などを事業の中心としてきた感のある日本HPだが、10月のコンシューマー向けパソコン『hp pavilion(パビリオン)』の発売など、大きく様変わりしつつあるようだ。

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