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マイクロソフトと日立ソフトがエンタープライズ分野で業務提携、バーチャルカンパニーを設立

2000年11月13日 20時35分更新

文● 編集部 桑本美鈴

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マイクロソフト(株)と日立ソフトウェアエンジニアリング(株)は13日、エンタープライズ事業の拡大に向け包括的な業務提携を行なうことで合意したと発表した。

マイクロソフトの阿多社長(左)と日立ソフトの兼清社長

両社で共同出資しバーチャルカンパニーを設立

マイクロソフトと日立ソフトは'96年12月にアライアンスを締結しバックオフィスセンターを開設、その後'99年11月には共同でSI事業を推進するなど、協業体制を続けてきた。また、2000年6月には米マイクロソフトと日立製作所がWindows 2000ベースのシステム開発/提供において包括的な提携を発表している。

今回の提携は、電子商取引事業、他社製品からの移行、移動携帯端末向け事業、基幹システムにフォーカスし、顧客に対する具体的な対応を行なうためのものという。

提携骨子は以下の4点。

“オペレーション・アンブレラ”の確立
バーチャルカンパニーの設立
“X-Business Solution Center”の設立
『IT Showcase』の共同事業化

オペレーション・アンブレラとは、両社の業務提携コンセプト。バーチャルカンパニーの傘の元で、X-Business Solution Centerや技術者などのリソースに両社が共同で資金を投入、製品の共同開発や共同プロモーションなどを行なう。

バーチャルカンパニーは、両社でファンド(資金)を持ち寄り、大規模案件を早期に獲得できる環境や体制を構築、1つの会社のように両社が連携して事業運営を行なう。両社はそれぞれ1億2000万円をバーチャルカンパニーに出資する。バーチャルカンパニーには日立ソフトのマイクロソフト製品専任技術者400名が設置され、新規案件の獲得と開発を行なう。

両社はバーチャルカンパニーの元、『Microsoft BizTalk Server 2000』を中心とした電子商取引システム、Microsoft .NET Enterprise Servers製品へのマイグレーション(移行)システム、iモードなどの携帯電話やPDA端末をインターネット端末として利用するための移動携帯端末向けシステム、IT Showcaseを汎用化して提供する基幹業務システムなどを共同で開発する。マイグレーションシステムでは、メインフレームやUNIXからWindows 2000への移行、OracleからMicrosoft SQL Server 2000への移行、ロータス ノーツからMicrosoft Exchange 2000 Enterprise Server/Microsoft Exchange 2000 Serverへの移行を行なう製品を提供する。

新会社ではなくバーチャルカンパニーという方式を採用した理由としては、ファンドを持ち合って体制や仕組みを考えて事業を展開していくほうが、実際に会社を設立するよりも運営がしやすく、人員の配置もすぐ行なえるためとしている。

技術センターを開設し、『IT Showcase』を事業化

X-Business Solution Centerは、バーチャルカンパニーの元で開設する電子商取引分野にフォーカスした技術センターで、両社が共同で製品を開発し顧客へ提案するための場として運営する。2001年1月に日立ソフトの浜松町オフィス内に開設し、製品開発とデモ、案件データの計測、プロモーション活動などを行なう。また、関西地域にも同様のセンターを開設する予定という。

両社は、マイクロソフトの基幹業務システム『IT Showcase』を共同で事業化する。マイクロソフトが自社内の基幹業務システムを外販するのは今回が世界初のケースとなる。日立ソフトは、マイクロソフトの技術支援を受けて企業ユーザー向けに汎用化したウェブベースのIT Showcaseを開発、共同で販売する。第1弾として、2001年4月に経費精算システム『MS Expense』をリリース、その後、購買システム『MS Market』、インボイスシステム『MS Invoice』、受注管理システム『MOET』、販売情報データウェアハウス『MS Sales』、人事システム『HeadTrax』などを順次提供していくという。

今回の業務提携により、マイクロソフトはエンタープライズ市場へのアプローチと電子商取引分野でのビジネスの拡大を狙い、エンタープライズ案件を150件獲得したいとしている。日立ソフトは、マイクロソフト製品のエンタープライズ案件獲得実績を拡大し、マイクロソフト関連製品の売上100億円達成と、案件を早期に獲得するための環境整備を狙う。

両社は今回の業務提携による初年度売上目標を100億円としている。売上利益は両社で分配せず、日立ソフトが顧客からシステムを受注し、マイクロソフト製品を発注することで両社の利益が還元される仕組みという。

日立ソフト以外との提携は「今のところない」

本日都内ホテルで行なわれた発表会で、日立ソフトの代表取締役社長である兼清裕幸氏は、「ビジネスのテーマの1つはスピード。他社に先駆けた仕事をしたい。提携の狙いは、マイクロソフトと資金を共同で出し合い共同で事業を運営し、基幹業務領域やインターネットビジネス領域でハイバリュー(高付加価値)のソリューションを提供すること。マイクロソフトのサーバー製品群とマーケット力、コンサルテーション力と、日立ソフトのSI力を融合させたい」と語った。

また、マイクロソフト代表取締役社長の阿多親市氏は、「エンタープライズ領域での日立ソフトの豊富なノウハウ/実績と、マイクロソフトの.NET Enterprise Servers製品とを融合させ、エンタープライズビジネスを拡大することと、電子商取引分野でWindowsプラットフォームを推進することが提携の狙い」と説明。日立ソフト以外の会社との提携については「今のところ予定はない」とし、IT Showcaseに関しては「日立ソフトがそれぞれの顧客向けに開発して提供するもので、パッケージ販売ではない。IT Showcaseで儲けるつもりはない」としている。

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