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サン、次期Solarisのデスクトップ環境“GNOME”に対する取り組みを明らかに

2000年11月09日 22時47分更新

文● 編集部 佐々木千之

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日本サン・マイクロシステムズ(株)は9日、報道関係者を集めて、次期OS『Solaris 9』で採用されると見られるデスクトップ環境(※1)“GNOME(グノーム)”について説明を行なった。8月に同社が参加した“GNOME Foundation”での取り組みが報告された。

※1 ここでは、OSのユーザーインターフェースにおいて、ウインドーやメニューなどを統一するためのソフトウェアを指す。

GNOME(GNU Network Object Management Environment)はLinuxのユーザーグループによって開発されたUNIX系OS向けのデスクトップ環境。Linuxから普及したものではGNOME以外にKDE(The K Desktop Environment)がよく知られている。8月15日(米国時間)に、米カリフォルニア州サンノゼで開催されたLinuxWorldにおいてGNOMEの普及を目指して、技術や資金の支援を行なう団体“GNOME Foundation”が設立された。米サン・マイクロシステムズ社は、米コンパックコンピュータ社、米ヒューレット・パッカード社、米IBM社、米ターボリナックス社、米レッドハット社、米VAリナックス社、Free Software Foundation(FSF)などと共に、GNOME Foundationに参加している。

スティーブ・スウェール氏米サンのグローバリゼーションストラテジー シニアマネージャーのスティーブ・スウェール氏

サンはGNOME Foundationへの参加を表明した際に、将来のSolarisのデスクトップ環境として、従来のCDE(Common Desktop Environment)に加えて“GNOME 2.0”を採用することを明らかにしている。また、サンが7月19日(米国時間)にオープンソース化したオフィスソフトウェア『StarOffice』(※2)をベースにした『GNOME Office』(※3)がGNOMEに追加されるとしている。

※2 日本での名称は商標権の関係から『SunOffice』となっている。

※3 開発はOpenOffice.orgにおいて行なわれる。

サンはGNOME Foundationには名を連ねているが、サンの製品の中でのGNOMEの位置づけやGNOMEを含んだSolarisについての公式な情報は明らかにしていない。そのため今回の説明会もサンの公式発表ではなく、サンのGNOME Foundationにおける活動を報道関係者に対し説明する、というものだった。

田島秀俊氏米サンのソフトウェアエンジニア田島秀俊氏

説明を行なったのは米サンのグローバリゼーションストラテジー シニアマネージャーのスティーブ・スウェール(Steve Swale)氏とソフトウェアエンジニアの田島秀俊氏。それによると、サンはGNOME Foundationに対し、信頼性、品質、印刷、利用しやすさ、国際化、Java、ネットワークの各技術と、OpenOffice(GNOME Office)、Mozilla(オープンソース版のNetscape Navigator)について支援を行なっているという。

GNOME 1.2の画面
GNOME 1.2の画面
GNOME 1.2を使ったデモンストレーション

GNOME Officeについては、現在国際されたバージョンとなる6.0のαバージョンのテストが行なわれており、日本語の表計算シートの表示などが可能になっているという。製品版のリリース時期については明かされなかった。Solaris向けのGNOMEについては、GNOME 2.0(現在のバージョンは1.2)が採用され、現行のSolaris8とそれ以降のバージョン向けに提供される予定で、現在のところ2001年第3四半期にリリースの見込みとしている。

サンは公式にはバージョンを言っていないが、GNOME 2.0が標準で搭載されるSolarisがSolaris9であることはほとんど自明。ただし、GNOMEとSolarisは当然、別々に開発されているため、どちらかのリリースに合わせて発表をずらすことはしないという。Solarisはほぼ1年半程度の間隔でメジャーバージョンアップを行なっており、それから類推するとSolaris9も2001年第3四半期ころにリリースされる計算だが、情報筋によると2002年以降にずれ込みそうだという。情報を総合すると、Solaris版GNOMEは2001年第3四半期に単独でリリースされ、CD-ROMやウェブサイトからダウンロードにより提供され、2002年にリリースされるSolaris9には標準で搭載(CDEと切り替え可能)される、という形になりそうだ。

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