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アルテオン、Eコマースサイト向けのSSLアクセラレーターを発表

2000年11月07日 00時00分更新

文● 編集部 佐々木千之

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ウェブコンテンツの負荷分散装置を販売するアルテオンウェブシステムズ社は6日、同社のウェブスイッチ製品と併用することでSSL(Secure Socket Layer)処理を高速化する『Alteon iSD-SSLアクセラレータ』を発表した。すでに出荷を開始しており、価格は498万円から。

『Alteon iSD-SSLアクセラレーター』
『Alteon iSD-SSLアクセラレーター』

このiSD-SSLアクセラレーターは『ACEswitch 180』など、同社のウェブスイッチ製品に追加して使用するもので、ウェブサーバーにSSL処理を任せた場合と比較して、約5~250倍のパフォーマンスを提供するという。OSはLinuxで、OpenSSLのプロトコルスタックを利用している。SSL処理でもっとも負荷のかかる暗号キーの交換を、2枚のハードウェア(ASIC)カードによって行ない、最大で毎秒1万2000SSLセッションの処理が可能としている。ウェブスイッチ製品とはEthernet(10/100BASE-TX、または1000BASE-EX)によって接続され、同社独自のプロトコル(セキュリティー上の理由により仕様は非公開)によって通信を行なう。システム(サブネット)内に最大32台までのiSD-SSLアクセラレーターを設置できる。

iSD-SSLアクセラレーターのシステム構成図
iSD-SSLアクセラレーターのシステム構成図

同社によるとSSL処理はウェブサーバーに対する負荷が大きく、使用しているプロセッサーやOS、ウェブサーバーソフトにもよるが、SSLのないHTTPプロトコルによるトランザクションに比べ、HTTPSプロトコルによるトランザクションでは10分の1から100分の1以下となってしまうという。また、パケットが暗号化されるため、コンテンツごとのスイッチングなど高度な負荷分散処理ができなくなるという問題がある。iSD-SSLアクセラレーターと同社のウェブスイッチを組み合わせたシステムでは、クライアントからのHTTPSリクエストはすべてiSD-SSLアクセラレーターに送られ、処理されてHTTPリクエストとしてウェブサーバーに送られる仕組み。SSLの処理を高速化するだけでなく、ウェブスイッチ製品と連携して動作するため、高度な負荷分散処理をすべて利用できるメリットがあるとしている。

米アルテオンウェブシステムズ社は、複数のウェブサーバーを用意し、ウェブコンテンツの内容やファイルの種類によって異なるウェブサーバーに処理を割り振るという負荷分散装置、いわゆるウェブスイッチ製品の開発と販売を行なう会社で、米ヤフー社、米ウェブティービーネットワークス社などを顧客に持つ。アルテオンウェブシステムズは7月28日、カナダのノーテルネットワークス社に株式交換方式により78億ドル(約8400億円)で買収されると発表し、10月5日で買収手続きが完了している。ただし、日本ではアルテオンウェブシステムズ日本支社はまだ独立して営業活動を行なっており、今回の製品発表はアルテオンウェブシステムズが行なった。日本支社長の杉本隆英氏によると「日本での事業がどのようになるかはまだ決まっておらず、ノーテルネットワークス(株)と統合されるとしても年内いっぱいはかかるだろう」という。

杉本隆英日本支社長アルテオンウェブシステムズ日本支社長の杉本隆英氏

同社は日本でNTT、KDDI、ニフティといった大手通信系企業、データセンターなどにウェブスイッチ製品を3000台程度出荷している。今回発表されたiSD-SSLアクセラレーターは、そのうちEコマース系企業を中心に、半数程度での利用を目指して販売を行なうとしている。

米国では米シスコシステムズ社が、ウェブスイッチ関連製品の開発・販売を行なう米アローポイント・コミュニケーションズ社を5月に買収するなど、Eコマースの広がりを背景にコンテンツベースのスイッチ技術が注目されている。日本でもEコマースサイトが増加すると見られるが、アルテオンウェブシステムズは日本でのウェブスイッチ製品シェア50パーセントというナンバーワンシェアを武器に、SSLアクセラレーター製品を売りこみたい考えだ。

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