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LinuxWorld Conference&Demo/Tokyo 2000

LinuxWorld Conference&Demo/Tokyo2000レポート 会場レポートその2――Linuxが腕時計やCrusoe、Itaniumで稼動

2000年11月01日 19時52分更新

文● 日刊アスキー Linux 植山 類

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LinuxWorld Conference&Demo/Tokyo 2000開幕

東京ファッションタウン(TFT)で10月31日、「LinuxWorld Conference&Demo/Tokyo 2000」が開幕した。主催はIDGジャパン、期間は11月1日までの2日間。Linuxを扱うイベントに大手企業が参加することも珍しくなくなり、会場内はスーツ姿が大多数を占めた。今回からこのLinuxWorldが年2回の定期開催になったことも、Linuxがますますビジネスシーンで活用されていっていることを表わしているようだ。

展示会場では、Linux採用のサーバからコンシューマ向けアプリケーションまで、多数のソフトウェア/ハードウェアがデモされた。その中で注目を集めていたものを紹介する。

IBMの超小型Linuxマシン「スマートウォッチ」

腕時計型Linuxマシン
写真はIBM Research開発の腕時計型Linuxマシン。米国LinuxWorld Expoなどですでにデモしているおなじみのデバイスだ。サイズはわずか56×48mm、DRAMとストレージ用フラッシュメモリをそれぞれ8MB搭載し、Linux上でXFree86が動作する。研究用に製作したもので、用途をリサーチしているという。

時計型にする利点は、なくさないこと。1日中つけっぱなしの、いちばん見近なインテリジェントデバイスというわけだ。

この研究用マシンでは、バッテリの駆動時間は半日。パワーマネージメントを有効にすると2~3日はもつというが、決して長いわけではない。しかし、電池のもたない腕時計型MP3プレーヤなども使い方によっては便利なように、なにかしら使い道があるのではないかと説明していた。



スマートウォッチのパーツ
スマートウォッチのパーツ
操作は本体横のダイアルとタッチパネルで行なう。アルファベットは、タッチパネルで(PalmのGraffitiのような)文字認識をさせて入力することが可能だ。また、組み込まれている傾き検出センサを使って、「時計を顔に向けたときにある動作を行なう」といったこともできる。

PCやほかの腕時計型マシンとの連携は、クレードルのシリアルポートやBluetoothを通じて行なう。一番重いパーツは液晶で、全体の重量は45g。実際に装着した感じは「意外と軽い」とのこと。サイズはまだまだ大きいが、研究用でなければふつうの時計サイズにすることも可能だという。

将来はより高解像度の液晶を採用するほか、加速度センサを組み込んで、机をたたくなどの腕の動きで簡単な操作を可能にす
ることも考えているそうだ。



世界初のLinux用DVDプレーヤ「LinDVD」

LinDVDでMatrixを再生
 ターボリナックス ジャパンのブース内でデモされていたのは、世界初のLinux用ソフトウェアDVDプレーヤ「LinDVD」。DVDプレーヤは、オープンソースで開発が難しいカテゴリのソフトウェアだ。DVDの複製防止コード「CSS」を解除するユーティリティ「DeCSS」が、法的な問題に直面したのは記憶に新しい。しかしCSSを解除しなければ、DVDを再生することはできないのだ。

LinDVDは、CSSやドルビーサウンドのライセンスを受けた商用ソフトウェアで、いまのところ唯一、Linux上でDVDを再生することができるものだ。デモでは映画「Matrix」が再生されていた。開発元は、Windows用プレーヤ「WinDVD」と同じ米Intervideo。リテール版の発売は未定だが、セットトップボックスへの組み込みや、商用ディストリビューションへの試用版バンドルなどを考えているという。



富士通のCrusoeマシン「Loox」
 LinDVDの横では、富士通のCrusoeマシン「FMV Loox」でTurboLinuxが動作していた。Crusoe採用のノートPCとLinuxという組み合わせは興味深い。Crusoeを開発する米Transmetaは、Linuxの開発者Linus Torvalds氏が勤務する企業でもある。



NECが開発、世界で唯一の16-Way Itaniumサーバ「AzusA」

世界唯一のItanium×16マシン「AzusA」
 世界で唯一、Itaniumを16個搭載したサーバ「AzusA」。PCIスロットは最大で128個、メインメモリは最大128GBというハイエンドサーバで、マシンをNECが開発、IA-64 Linuxプロジェクトの成果を活用してLinuxを移植した。デモ機ではTurboLinux for IA-64が動作している。

デモ機のメインメモリは8GB。32ビットアーキテクチャの「4GBの壁」を超えた大量のメモリを搭載し、シミュレータを動かしている。実験的なマシンだが、安定性はかなり高いという。

本体の最下部にストレージが入っており、その上が電源。上部にはCPU増接スロットがあり、4CPUを1単位として追加することができる。

IA-64へのLinuxの移植作業だが、デバッガなどの開発環境の整備がいまひとつなどを除けば、Linuxを既存のアーキテクチャに移植するのと作業はあまり変わらないとのこと。既存のアプリケーションはコンパイルするだけで動作するものも多いという。カーネルはgccでコンパイルされている。

Linux以外のOSでは、HP-UXや64ビット版WindowsもAzusA上で動作しているそうだ。



韓国から上陸、Linux用本格派オフィススイート

Hancomのブース
 ハンコムリナックス(株)のブース。IT化のめざましい韓国で、Microsoft Wordを凌ぐシェアを占めるという「HancomWord」などを日本語化、国内発売を開始した。日本語版の本格的なオフィススイートでは初めての製品といっていいかもしれない。

「Linux用ハンコムオフィス1.0」は、ワードプロセッサ/プレゼンテーションソフト/表計算/ペイントツールの4製品から構成される。さすがに表計算はMicrosoft Excelに比べて機能が不足しているそうだが、ワープロとプレゼンテーションソフトはMicrosoft製品と同等とのこと。もちろん日本語版Officeのファイルを読み込むこともできる。

同製品は韓国では9月に発売した。官公庁や企業などで採用されており、滑り出しは好調とのこと。日本ではブランドの浸透から始めるそうだが、どこまで健闘できるか興味深い。なお、米国での発売も予定されている。



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