通商産業省工業技術院大阪工業技術研究所の26日付けの報道用資料によると、同研究所の材料物理部物性研究室の田渕光春主任研究官などが同日に、従来のリチウムイオン2次電池の正極材料である4V級正極コバルト酸リチウム(LiCoO2)に匹敵する充放電特性を持つ新規鉄系酸化物正極材料の開発に成功したと発表した。発表者は、同氏のほかに戸田工業(株)の中村龍哉係長と神戸大学理学部の菅野了次助教授。
新規鉄系酸化物正極材料粉末の電子顕微鏡写真 |
発表された正極材料は、コバルト酸リチウムと同様に充放電を行なえる鉄系酸化物で、充電容量はコバルト酸リチウムと同等の約140mA/g。鉄とマンガンで構成され、コバルト酸リチウムに類似した結晶構造を持つという。レアメタルであるコバルトとニッケルを含まず、資源的に豊富で安価な材料で構成されるため、リチウムイオン電池の素材コストを削減できるという。鉄を数百nmの粒子に微紛末化することで、充放電が可能になったとしている。放電容量は、今のところコバルト酸リチウムの約半分(60~80mA/g)であるが、電池メーカーと共同で特性改善を行ない、2~3年後に実用化するとしている。