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シリコンスタジオが米Intrinsic Graphics社と業務提携、日本でPS2向けゲーム開発プラットフォームを販売

2000年10月26日 22時39分更新

文● 編集部 佐々木千之

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シリコンスタジオ(株)(※1)は26日、東京渋谷区の同社において記者発表会を開催し、米Intrinsic Graphics社(※2)とリアルタイムグラフィックスアプリケーションプラットフォームに関する包括的業務提携に合意したと発表した。年内にPlayStation2向けゲーム開発ソフトウェア『Intrinsic Alchemy』を日本市場に向け販売することも明らかにした。

※1 シリコンスタジオは、今年1月に日本SGI(株)から分離独立する形で設立された。リアルタイムグラフィックス技術を核としたコンテンツの企画、開発、流通などのコンサルティング事業、SGIのグラフィックシステムを利用したシステムインテグレーション事業などを行なっている。

※2 米Silicon Systemsは、'99年に米SGI社からスピンオフした3Dグラフィック技術者により設立された。OSやハードウェアの制約のない自由なランタイムのグラフィックス環境の実現を目標としている。

シリコンスタジオ、代表取締役社長の関本晃靖氏

今回発表された業務提携は、1)両社の技術者の交流を含む共同開発体制の確立、2)ゲーム機、パソコン、ワークステーションに限らない、モバイル機器、PDAなどに向けた適用分野拡大のためのマーケティング、3)日本を含むアジア地域のマーケティング、開発、ライセンス販売での協業、4)資本提携の検討(※3)の4つが骨子。

※3 現在、シリコンスタジオはIntrinsicに対して資本参加済み。Intrinsicはシリコンスタジオに対して出資協議中という。

Intrinsic Alchemyの販売はその提携の第1弾で、シリコンスタジオは日本における独占販売契約を締結、今後日本市場からの要求を取り入れ、日本の開発環境に適した製品にしていくため、共同開発体制を確立するとしている。Intrinsic Alchemyは、リアルタイムカーネル、ローレベルAPI、ハイレベルグラフィックスまでをすべて含んだ統合開発環境で、ハードウェアプラットフォームに依存する部分(モジュール)を用意することで、さまざまなハードウェアに対応することができる。APIはハードウェアプラットフォームによらず共通で、開発したコードの再利用や移植が行ないやすいという。日本ではPlayStation2向けの開発セットを年末までに提供する予定。今後ほかのプラットフォーム向けのモジュールも検討するとしている。

Intrinsic Graphics、COO兼技術部門バイスプレジデントであるブライアン・マククレンドン氏

Intrinsic Alchemyは、7月に米国で開催されたグラフィックス関係のイベント“SIGGRAPH 2000”において、(株)ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)のグラフィックワークステーションのプロトタイプ『GSCube』向けのシステム開発に利用されて、高い評価を得たという。Intrinsicの最高執行責任者(COO)で技術部門バイスプレジデントのブライアン・マククレンドン(Brian McClendon)氏は「Alchemyのポイントは開発されたアプリケーションのパフォーマンスが高いこと。Alchemyを使って開発すればPS2で最大のパフォーマンスが得られる」と自信を見せた。

SCE常務兼開発研究本部本部長の岡本伸一氏。「SCEは両社に出資させていただいている。この提携によってPS2における新しいアプリケーションの発展に期待している」とコメント

現在米国で25社のソフトハウスがIntrinsic AlchemyでPlayStation2タイトルの開発に入っており、1年間に世界中で100タイトル(うち日本は20~30)がリリースされるという見通しを明らかにした。なお価格については、米国では(制作した作品についての)ロイヤリティーも含めたすべてのシステムとしての販売や、販売するタイトルの売り上げによる販売など、個別の案件により異なるとして公表されていない。日本についても「現在どういった形式での販売がよいかを含めて検討中」(シリコンスタジオの斉藤氏)として明らかにされなかった。

Intrinsic Alchemyを使って開発されたPlayStation2アプリケーションの例

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