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アイ・シー・エフ、マザーズ上場にあわせ今後の事業展開について記者説明会を開催

2000年10月25日 22時19分更新

文● 編集部 佐々木千之

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企業向けにウェブコンサルティング事業を展開する(株)アイ・シー・エフは25日、プレス関係者に向けて、今後主力事業とする電子商取引市場事業について説明会を開催した。なお同社は同日、東証マザーズへの上場を行なったが、売り注文に対して極端に買い注文が少なく、売買が成立しなかった。

アイ・シー・エフは'97年に設立され(設立時は株式会社カラーフィールド)、これまでは企業のウェブを通じたビジネスを支援するコンサルティング事業を行なってきた。

井筒大輔代表取締役社長

代表取締役社長の井筒大輔氏は、同社が手がけたウェブコンサルティング事業の代表例として、金融業の(株)ニッシンの事例をあげた。ニッシンはいわゆる消費者金融の企業で、既存の店舗では大手の他社ブランドにかなわないということから、インターネット店舗を開設したものの、訪問者が得られず、売り上げも上がっていない状態だった。アイ・シー・エフがコンサルティングとして、企画と戦略の立案、業務ワークフローの作成、ウェブシステム構築、プロモーションの実施などを行ない、毎月、大都市店舗の2、3軒分にあたる新規顧客が開拓できるようになり、インターネット上でのブランド認知度も上がったという。

井筒社長は、こうしたウェブコンサルティング事業は今後も継続するものの、これとは別に電子商取引市場(e-マーケットプレイス)事業を開始し、メイン事業として注力していくことを明らかにした。

このe-マーケットプレイスは、企業を対象に、インターネット上に売り手と買い手を結びつける市場を開いて、取引を成立させる仮想的な市場。従来のメーカー、一次卸、二次卸、小売り、といった限定された取引でなく、最適な取引先と直接取り引きできることで、コストの削減、取引の拡大、機会損失の回避がはかられるというもの。

小谷昇取締役会長

今後こうしたe-マーケットプレイスの取引量は増大し、またさまざまな業種の市場ができてくるというが「このようなe-マーケットプレイスは、すでにいくつもアナウンスされているが、(そうした市場を開いた企業に)本当に収益が得られ、継続して市場を提供していくのは本当に大変だ。これまでに『始めた』というアナウンスをした企業にいろいろ聞いてみたが、ほとんど限定された、あるいは部分的なもので、実際の取引はわずかなものばかりだった」(同社取締役会長の小谷昇氏)とする。その上で、「単純に売り手と買い手を会わせるだけではだめで、商取引をきちんと行なえる市場を提供しているかどうか、市場運営費用をきちんと集められるかどうか、というところがe-マーケットプレイスを運営するところとして生き残れる条件だ」(小谷氏)と述べた。

井筒社長によると、同社が展開するe-マーケットプレイス事業では「すでに市場を左右するような企業が存在する市場、あるいはニッチな市場は狙わない。買い手、売り手が多数あり、卸が多数存在するなどの非効率な商売が行なわれている“スペシャリティー”な市場をターゲットにする」とし、2003年までに30~50の市場を開くとしている。そういった市場を開くにあたっては、システム運営やサポートなどを行なうパートナー企業とともに展開するという。

アイ・シー・エフでは、すでにテスト運営として、中古の建設機械を取り引きするUsed-wave.comを開始している。従来、中古建機においては国内市場は存在せず、海外へ流れていたが、同社がリース会社やメーカー代理店の「説得から行ない」(井筒社長)、現在150社の参加を得ており、「あと6ヵ月ほどで月間1000台の売買が行なわれる、年間8000億円規模の市場になる」(井筒社長)という。同社はこの事業で、ウェブシステムのカスタマイズ、ホスティングサービスによる利用料、取引成立時の手数料(Used-wave.comでは7パーセント)により利益を得る仕組みとなっている。

Used-wave.comの事業概要

同社はウェブコンサルティング事業での経験を生かし、企画、出資、戦略の立案、ウェブシステム構築、マーケティング、運営という、これまで戦略コンサルティング企業、ネットコンサルティング、ベンチャーキャピタル、システムインテグレーター、広告代理店がばらばらに行なっていたものを、1社で提供できるという。そしてこれを提供するための他社とのアライアンスを積極的に展開していくとしている。

説明後の質疑応答で、25日に東京証券取引市場のベンチャー企業向け市場“マザーズ”に上場した同社の株が、70万円の公募価格に対して買い気配が少なく、売買が成立しなかったことについて質問が出た。これに対し井筒社長は、「(現在全体に株価が下がり基調であり、公開するタイミングとして)時期が悪かったこともあるが、当社に対する市場の評価として厳粛に受け止めていく」とのみコメントした。

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