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マイクロソフト(株)クライアントWindowsマネージャー : 御代 茂樹氏

Windows 2000チーム徹底インタビュー (その1) 僕たちはWindowsにロックオンしておく~Windows 2000 Professional~

2000年11月08日 02時39分更新

文● 聞き手、構成:MSDN Magazine編集部

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[編集部] 「Windowsプログラミングモデルの今後」と いったお話をお伺いしたかったんですが。いわゆる、Win32も開発者にとっては慣れてきたし、さてこれからどうする、どういう方向に進んでいくのか。COM+や分散アプリケーションもあって、非常に難しい部分もあると思います。
[御代] 個人的な話をしていいですか。僕は、細かいバージョンやリビジョンにおける不整合を解決できるOSというのは、とても大事だと思うんですよ。

 プログラミングで非常に難しいのは、1つの修正が周囲に与える影響だとか、何となくうまく動いているという、ある種の品質みたいなものがありますよね。こんなことは、開発者の方はよく分かっているんでしょう。でも、何かが何かの面倒を全部見なければいけないという、そういう意味でのオブジェクトモデルとか、部品一つ一つが抱えるコモンになる部分、細かいことにあまり左右されないで、そのバージョンの中で生き続けられる部分を考えなければいけない。たとえばあるパーツは、5年前のパーツと今のパーツとを組み合わせても、きちんと動くにようになるとか、ここは変革してほしいと思うんです。

 これは、開発者も含めてユーザーが常に惑わされる問題じゃないですか。Win32モデルなのか、Win64モデルなのか、ステージの問題よりも、そういう上でプログラミングモデルを考える時期にきてほしいなと、僕は個人的に思います。それでも悲しいかな、プログラミングのスタイルというのは、5年や10年といったスパンで眺めたら、滅茶苦茶に変わっているわけです。

 僕も社会人になった頃に学んだ言語は、いまはもう使い道がないわけです。そういう難しさはありますし、もはやMFCを使わずにアプリケーションが書ける人たちって、組み込みの一部にしか残っていないといった現実もある反面、こんな小さなデバイスを動かすにもMFCで書きたいと言われるくらいに浸透した。その人たちに対して、5年前の部品でも今だってちゃんと使えるよねって言える。そういうのって、考えないとまずいなって感じがするんです。

 やはり、科学や技術の発展というのは、労働集約的な部分をどうやって取り除くかじゃないですか。今、ジレンマのようにコンピュータがどっと入ってきて、いろいろなステージができているわけです。その各ステージが持ってしまったものを、どうやってまた変えるかといったら、一発で変えましょうなどと言われちゃうわけじゃないですか。それは多分違うと思う。

 ハードウェアは変えてもいいよとか、OSは変えなくてもいいよとか、アプリケーションは変えなくてもいいよとか。下位互換性などと言うのではなくて、プログラミング上からいえば、一個一個のオブジェクトが確立して動かなければならない。何かを足すのであれば、うまいリプレイスの手段があって、かつ互換性が保てるアーキテクチャが必要になる。これがマイクロソフトだけじゃない、いろいろな開発言語を支えるテクノロジーリーダーが考えていかなければならない問題だと思います。このジレンマに、エンドユーザーがすごく悩まされている。うちも恥ずかしい話、アプリケーションが動くとか動かないだとか、バージョンアップしないとどうだとか、エンドユーザーを悩ませて悩ませてしょうがないですよね。

 Windows 2000に話を戻すと、「WDM」などは、VxDから見れば、スクラッチアップする部分が少なくなって、提唱し始めた時から、やっとそのプログラミングモデルに到達することができたと思います。必ず、いろいろな拡張が行なわれるので、今回も修正が入った。前に言った話が確立しない限りは、こんなことはまた必ず起きる。僕もそれは問題点だと思います。

 さっき言ったことと違うじゃないかと。でも、さっきの話、理想と現実との話で言えば、Win32のドライバモデルとして確立したステージにやっと上がったわけで、開発者の方々の変更点は明らかに減ったわけです。このステージに上がったことによって、ドライバの対応における機能拡張がやりやすくなったはずです。その点では、今回のステージにまとめあげたことで、半歩から一歩前進はあったと思います。

 でもやはり、次はドライバモデルを固定することなのかと思いますね。やはり、ドライバのアップデートは頻繁ですから。ドライバと言っても、現在はきちんとしたユーザーインターフェイスまで持つドライバもたくさんあります。ここは、もう1つの新しいジレンマなんでしょうね。これは大分前からですけど、プリンタドライバでもきちんと顔を持つようになったし、いろいろなコントロール機能も付いてきた。DVDの書き込みツールにしても、多くの機能を提供するドライバが出てきて、UIを提供するようになってきた。新しいパラダイムですね。

 この部分に関してはどうなのか。ある意味では、マイクロソフトの技術が確立していないと言ったらおかしいけれど、明らかに新しいクリエイターの人たちを先行する仕様がまだ出せていない。ここも、もう1つの新しい問題点になる。単なるWDMという議論よりも、ある意味ではプラスαの話になる。だからドライバで40MBなんか当たり前になっちゃう。きっとこれから出てきますよ。コントロールすることができる分野が増えるに従って、どんどんコントロールとドライバが一体化していく。

[編集部] DDKがいわゆるPlatform SDKに入りつつある。今まで単体で提供されてきたDDKが、Platform SDKの中に入ってしまうと聞いた時から、私はマイクロソフトが、ドライバを書く量を減らす方向に向かっているのではないかと考えていました。マイクロソフトは、今おっしゃったようなコントロールの部分に力を入れてほしいんじゃないかなとイメージしていたんです。
[御代] それは正しい。僕も同じ印象を持ちましたよ。ステージが変わったなって。ドライバの形が変わってきている。コントロールするものがたくさん出てきて、I/Oを意識するものが増えてるんですね、昔より全然。だから、こういうふうに変わってきたんですよ。もうここはいいんだよ。ここから上を考えればいいんで、いろいろなコントロールを作って、それをボタンにしてデザインして使ってほしい。ここは、すごくて新しい部分です。

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