アーム(株)は19、20日の両日、東京・千代田区の東京コンファレンスセンターにおいて、自社およびパートナー企業の製品を集めたイベント“ARM FORUM 2000”を開催している。開発者やマーケティング担当者などに向け、製品展示のほか、ARMプロセッサーの開発ツールやロードマップについてのセミナーもあわせて行なわれている。
英アーム社は、自社で生産ラインを持たない半導体メーカーだ。自社で設計したRISCプロセッサーをライセンス販売しており、そのプロセッサーをコアとしたカスタムチップはさまざまなメーカーで利用されている。
組込用32bit RISCプロセッサーで世界トップシェア
フォーラムは、システムLSIなどの開発者向けに行なわれているもので、2つの基調講演と10のセミナー(うち提携企業のセミナーが6つ)、そしてアームやパートナー企業25社による展示・実演コーナーで構成されている。
英アームのテクニカルマーケティングディレクター、ジョン・レイフィールド(John Rayfield)氏が行なった基調講演では、先月米国のMicroprocessor Forumで発表され、16日に日本でも記者向けに説明会を行なった“Java拡張”と“SIMDメディア拡張”の、より詳細な解説がなされた。また“The Architecture for the Digital World”と題して行なわれた、英アームのCPUデベロップメントディレクター、サイモン・セガーズ(Simon Segars)氏の基調講演では、ARMコアの現状と将来展望に関して語られた。
アームの主力となるARMプロセッサーは、特に携帯電話で大きなシェアを獲得している。ARMコア採用LSIの出荷数量は、'98年には5200万個だったのが、'99年には1億8200万個と、3倍以上の伸びを見せている。さらに、講演者のサイモン・シガーズ氏によると、2000年にはさらに倍以上になる見込みだという。
市場の半分以上を占めるARMプロセッサー |
この成長は、ARMプロセッサーの性能だけでなく、アームが半導体を生産せずライセンス販売とサポートに特化していることも一因となっているように思われる。競合する各社でも、同じアーキテクチャーのプロセッサーを利用することができるのだ。実際、cdmaOneを開発した米クアルコム社では、ARMプロセッサーをcdmaOneチップセットに組み込んでおり、GSM携帯電話でも、大半のチップセットがARMプロセッサーをコアとしている。最近では、デジタルカメラや携帯音楽(MP3)プレーヤーのチップセットも、ARMコアのものが増加してきた。
アームでは、半導体メーカーだけでなく、EDA(LSI開発ツールソフト)、システム開発ツール、ソフトハウスなどと緊密なパートナーシップを維持し、さらにそのパートナー各社との関係を、より密にしようとしている。今回のフォーラムは、業界での関係を広げるためのものだといえよう。
いくつかのセミナーの内容や、実演・展示コーナーの様子については別の記事で報告する。