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パーム、開発者向け会議を開催――米パームのトップが基調講演

2000年10月19日 17時49分更新

文● 編集部 佐々木千之

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パーム コンピューティング(株)は19日、都内のホテルでコンテンツプロバイダー向け開発者会議“Palm Computing Wireless Summit 2000(パーム コンピューティング ワイヤレスサミット2000)”を開催した。

この会議は、同社が来年前半に提供を予定している、“Palm Computingプラットホーム”(※1)向けのワイヤレスインターネットサービスに向けて、コンテンツプロバイダー、システムインテグレーターなどを対象として、ワイヤレスシステムの概要や開発ツールの説明、デモンストレーションなどを行なうもの。参加料は無料。なお、基調講演以外の技術セッションについては取材は許可されなかった。

パーム社の製品だけでなく、Palm OSおよびPalm OSが動作する機器全体を指す。

基調講演では、米パーム社最高マーケティング責任者(CMO)のサジブ・チャヒル(Satjiv Chahil)氏、最高執行責任者(COO)でコンテンツ・アクセス担当のバリー・コトル(Barry Cottle)氏、パーム コンピューティング(株)代表取締役社長のクレイグ・ウィル(Craig Will)氏らが登場して、同社がすでに米国で開始しているワイヤレスインターネットサービスの状況や、日本での展開について述べた。

米パーム、CMOのサジブ・チャヒル氏。パーム入社前は米アップルコンピュータ社でワールドワイドマーケティング担当副社長を務めた

チャヒル氏は「今年春にマイクロソフトがPocket PCを市場投入し、1億ドル(約108億円)ものマーケティングを行なったが、この間もパームのシェアは増加し、その立場は強くなった。すでにPalm Computingプラットホームは、世界で900万台を超え、ソフトウェアは8000を超えている。40パーセントのパームが企業で購入されて使われており、我々は非公式にではあるが、企業で使われるハンドヘルド機のスタンダードになったと考えている。そしてこれをさらなるスタンダードにしていきたい。そして、大学や高校など教育分野での利用を進めていきたいと考えている」と述べてパームがPDA市場で非常に強い成長を続けており、さらに企業以外の場での利用を進めていくとした。

また「5年以内にインターネットの接続はモバイルでの接続が多数になるといわれており、自分に関連のある情報をいつでもどこでも利用できるということが非常に重要。それにはシンプルであること、サービスの効率化やローカライズが非常に重要と考えている。ぜひご協力をいただきたいと考えている」として、モバイルインターネットへの対応を進め、同社が掲げる“Anytime, Anywhere”コンセプトを実現していくことをアピールした。そして聴衆に日本語で「いっしょにがんばりましょう」と締めくくった。

(株)ジャストシステム代表取締役社長の浮川和宣氏

チャヒル氏の基調講演の最後にはゲストとして(株)ジャストシステム代表取締役社長の浮川和宣氏が登場した。浮川氏は「パームはすばらしい製品だと思っていたが、日本語を使う際にグラフィティ(英文字の手書き認識)によるローマ字変換ではまだ足りないのではないかと考えていた。そうしているうちに、小さく折り畳んで持ち運べるポータブルキーボードを目にし、これになんとかATOKを載せられないかと考えた。パームコンピューティングが日本で取り扱うということで、それに協力させていただいて“Palm Platformポータブルキーボード”に『ATOK Pocket』をバンドルして提供することができた」としてATOK Pocketを使った日本語変換のデモを行なった。また、同社がパソコンユーザーや携帯電話を使ったインターネットユーザー向けに提供しているコミュニケーションサービス“eejoo(イージョー)”を、パームが今後提供を予定しているインターネットサービス“ウェブクリッピング”(※2)にも対応していくことを明らかにした。

※2 Palmはパソコンに比べて画面が小さく、通信速度も遅いためそのような環境でもユーザーが快適にウェブ情報を見られるよう、レイアウトをPalmの画面に合わせて最適化したり、データを圧縮してやりとりしたりという工夫がなされている。

米パーム、COO、コンテンツ・アクセス担当のバリー・コトル氏

チャヒル氏の後を受けて基調講演に登場したバリー・コトル氏は、'99年秋に発表したワイヤレスインターネットアクセス機能付きの『Palm VII』が好評で、ワイヤレスインターネットサービス製品ではトップシェアであることを紹介し、「Palmユーザーに必要だったのはシンプルなソリューション」と、Palm VIIで展開しているポータルメニューサービス“My Palm” や、ウェブクリッピングがユーザーの賛同を得て広がっていることをアピールした。

パーム コンピューティング代表取締役社長のクレイグ・ウィル氏

パーム コンピューティングのクレイグ・ウィル氏は、現在は日本で提供されていないウェブクリッピングサービスについて、来年の前半にサービスを開始することと、そのためのツールの開発状況を説明した。日本向けの無線機能内蔵Palmも、4月以降に発売される模様だ。このPalmの通信機能には、(株)NTTドコモが提供するパケット通信サービス“DoPa”が使われる。

ウェブクリッピングサービスにコンテンツ提供を予定している企業
ウェブクリッピングのシステム概要

ウェブクリッピングサービスに必要な日本語対応のプロキシーサーバーソフトやコンテンツ開発用ツールは、この会議での配布はできないものの、現在ベータ版直前という開発状況で、ベータ版が完成し次第、19日に開設されたPalm Computing開発者向けウェブサイトで公開するという。これらのツールやソフトは、パーム コンピューティングと開発者契約とソフトのライセンス契約を結ぶことで、無償でダウンロードできるとしている。

Palmエミュレーター上で動作する“読売新聞”のウェブクリッピングコンテンツのデモ(開発中のもの)
(株)クリエイティブ・リンクが提供を予定している“東京レストランガイド”のデモ(画面は開発中のもの)
(株)アーパスが提供を予定している“MobileLocation.net”のデモ。新宿・アルタビルの場所を地図上で表示している

Palm Computingプラットホームは、昨年発表された日本IBM(株)の“WorkPad”シリーズに加え、今年春以降にはパーム コンピューティングの“Palm”シリーズ、ハンドスプリング(株)の“Visor”シリーズ、ソニー(株)の“CLIE”シリーズとファミリーが急速に拡大し、ユーザーの認知度も向上している。今回の会議へもコンテンツプロバイダーや通信事業者などから、数百人が参加していた。来年前半に始まるというウェブクリッピングサービスにも、すでに10数社のコンテンツプロバイダーが参入を発表している。PDA向けのコンテンツサービスとしては、シャープ(株)が運営するインターネットサービス“スペースタウン”があるが、これはパソコン向けのサービスも包含しており、“PDA専用”としてはウェブクリッピングサービスが初めてのものといえる。携帯電話ほどのユーザーがいるわけではないが、ユーザー層が絞られていることから、よりきめの細かいサービスが利用できることとなりそうだ。

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