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OSとCPU

2000年10月19日 01時08分更新

文● 渡邉 利和(toshi-w@tt.rim.or.jp)

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 CPUがSPARCに統一されているのと同様、OSはSolarisを採用し続けている。といっても、SolarisはSunが自社開発を続けているOSなので、ある意味では当然とも言えるが。

 Solarisの現在の最新バージョンはSolaris 8である。ただし、Solarisはオペレーティング環境全体の名称であり、核となるOSにはまた別の名称とバージョンがある。この構造は、Linuxに馴染みのあるユーザーにとっては理解が容易だろう。Linuxという名称はカーネルの名前であり、カーネルのバージョンというものも存在する。一方、オペレーティング環境全体としてディストリビューションにはまた違った名称とバージョンがある。これと同じ構造である。ただし、SolarisがLinuxのディストリビューションで採られた手法の真似をした、という意味ではないので念のため。Solarisの核となっているカーネル部分は、SunOS 5.8である。Solarisという名称になる以前はSunOSがOS全体の名前として使われており、バージョンは4.1まで進んだ。その後Solaris 2がリリースされた時に、SunOSのバージョンは5になった。その後、Solaris 2.4(SunOS 5.4)、Solaris 2.6(SunOS 5.6)、Solaris 7(SunOS 5.7)、Solaris 8(SunOS 5.8)と続いてきている。Solaris 7から、なぜか“2.”の部分が取れてしまったが、これは名称だけの問題であり、ここでギャップが生じているということではない。

 Solarisに関しても、アプリケーションの互換性は基本的に維持されている。もちろん、アプリケーションの作り方によっては例外もあり、常に100%の互換性が保証されているわけではないが、極端に深刻な互換性問題はこれまで生じていないようだ。新バージョンがリリースされるたびにユーザーや管理者が新しくなった環境を使いこなすための努力を強いられたり、これまで使っていたソフトウェアが動かなくなるといったトラブルは、少なくともWindows等に比べれば遙かに少ないはずだ。特にWindowsの場合は、バージョンアップの際にユーザーインターフェイスを変更するのが慣例のようになっている。このことは、見た目に新鮮な感じを与え、新しさを直接的にアピールできるし、確かに少しずつ洗練されて使いやすくなっている部分もある。しかし、これは製品寿命が短く移り変わりの激しいコンシューマ市場ではプラスの効果があるとしても、企業システムなどで、本質的に保守的な傾向のあるユーザーが使うシステムでは移行の手間とコストを増やすだけの結果に終わることが多く、歓迎されない手法である。Solarisが互換性を重視して地味だが確実なバージョンアップを繰り返しているのは、市場の特性に合わせた堅実な戦略だと言ってよい。

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