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【INTERVIEW】JPNICに「汎用JPドメイン」の疑問・不安を直撃

2000年10月13日 21時20分更新

文● ASCII24 Business Center 高島茂男

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(社)日本ネットワークインフォメーションセンター(以下JPNIC)が9月1日に、「汎用JPドメインをやります」という発表を行なった。10月10日に導入日程を後ろにずらす発表が行なわれたが、それでも来年1月まであと3カ月と汎用JPドメインの受け付け開始が迫ってきた。ASCII24 Business Centerでは、東京・小川町にあるJPNICにお邪魔して、企画部企画課の宇井隆晴氏と岩谷理恵氏に、汎用JPドメインの疑問や不安をぶつけてみた。

「汎用JPドメイン」が、既存のco.jpやac.jpなどと異なる点を列挙すると次のようになる。

  • 「汎用」とは、組織種別を特定しないドメインのこと
  • 組織種別がないので、登録はセカンドレベルドメインになる
  • 組織のほか、個人でも汎用JPドメインを取得可能
  • 組織、個人でいくつでも汎用JPドメインを取得可能
  • 汎用JPドメインは、日本国内で原則で移転が自由
  • ドメイン名に日本語を利用可能

上記から、従来に比べて制限が緩和されたということがわかる。申請の手続きについても、従来の書類による申請から、Webサイトで申請する形に処理が簡略化される。

汎用JPドメインを登録すると、たとえば「ascii.jp」「アスキー.jp」といったドメインが利用できるようになり、「http://アスキー.jp/」といったURLでWebサイトの公開が可能になる。

JPNIC企画部企画課の宇井隆晴氏

反響は賛否両論

[Q] 汎用JPドメインが9月に発表されましたが反響はどうでしたか?
[A] 賛否両方の意見がありました。いつから始まるのか、どうやって申請するのかといった意見を肯定的とすると、心配や不安も聞こえてきました。心配や不安というのは、日本語を扱う技術的な面や混乱の心配です
[Q] 9月の発表では11月からとなっていた申請開始が、10月10日の発表では来年1月になっていましたね
[A] 周知期間が短いのではないかという意見に対応すると共に、新しい優先登録申請を周知させる必要があったためです
[Q] 汎用JPドメインを周知のために、どのようなプロモーション活動を行ないますか?
[A] 従来のJPNICの宣伝広報活動は、電子媒体が中心でした。一般に周知するとなりますと、雑誌や新聞などを利用してプロモーション活動を行なうと思います
[Q] 期間を設けているとはいえ、多数の申請が集中すると想像できます。JPNIC側の対応体制は心配ありませんか?
[A] 人的、機械的にも充実させて対応にあたる予定です。申請も書類で受け付けるのではなく、Webサイトから申請してもらう形とします。問い合わせへの対応が中心になると思います

既存のドメインと汎用JPドメインは使い分けを

[Q] 1組織1ドメインの原則がはずされました。1組織で複数の汎用JPドメインを申請してくると思います。また個人でも取得できます。ドメイン名の枯渇の心配はないのでしょうか?
[A] 現在jpドメインは、約20万ドメインが登録されています。100万ドメインとしても問題はないと考えています。日本語が扱えることで、自由度も増しました
[Q] coやneの人気がなくなってしまうといった心配はありませんか?
[A] co.jpは、企業ではいいイメージをもたれています。うまく使い分けがなされていくのではないでしょうか
[Q] 日本語(漢字や平仮名、片仮名)を使いたいといった要望が、これまでにも多かったのでしょうか?
[A] 日本語というよりも多言語ドメイン名の要望が、アジアの文化圏から起こりました。日本ではアルファベットも併用されていますが、中国や台湾はすべてを漢字にしてしまうという文化です。そういった国から特にニーズがありました。技術的に実装できるところまで来たということもあります

日本語ドメインはまずWebサイトから

[Q] 日本語ドメインが利用できるようになると、社内システムなどに手を加えなければいけないのでしょうか?
[A] まだいくつかの問題が残っています。DNSサーバには、特に変更を加える必要がありません。それ以外のアプリケーションやユーザー環境が整備されることは必要です。それらの対応は、来年6月ごろになるのではないかと思います。実装の技術についても、Webサイトのどこを参照すればよいのかを明確にすると共に、噛み砕いて説明していく必要があると考えています
[Q] まずはWebサイトからということですか?
[A] そうです。そこに需要があります。現状でURLを宣伝する場合、アルファベットの文字列を伝えることに苦労があるようです。漢字や仮名が利用できればその苦労もなくなります
[Q] 日本語ドメインは日本だけが対象になり、インターネットというグローバルな世界に逆行しているイメージもありますが?
[A] そういう意見も確かにあります。グローバル化に対して、日本語ドメインは地域化といけるかもしれません。対象は限られるかもしれませんが、その限られた人にとっては優しい環境といえるでしょう。アルファベットと日本語をケースバイケースで使い分けていただければよいと思います
[Q] 登録できないようにあらかじめ確保された予約語というのはどれぐらいの数になりそうですか?
[A] 予約語の数は、できるだけ少なくしたいと考えています。一般名詞についても予約語とすべきという意見と、使えるようにすべきという両方の意見があり、よく検討する必要があります。予約語は、アルファベットと日本語について別々に定義する予定です

サービスとイメージで差別化を図っていく

[Q] 時期を同じくして、米Network Solutionsも「.com」や「.net」の多言語ドメインを受け付け始めました
[A] そうですね。技術的には同じ仕組みです。Network Solutionsは、周知の期間や同時申請期間を設けずに開始しましたが……
[Q] ドメインを登録しようという側からみれば、汎用JPドメインも.comや新しく始まる新トップレベルドメインでも同じドメインという感覚です。それぞれのメリット、デメリットはどこにあると思われますか?
[A] jpドメインの価値やイメージを大切にしていきたいと思っています。日本のドメインである意識も大切だと思います
[Q] いくつでも登録できるようになると、サイバースクワッティング(ドメインの不当な居座り)の心配も出てきます
[A] JPNICは登録を行なう機関であって、意味を判断できる立場にありません。そういった紛争は、JPNICが認定する紛争処理機関に判断していただいて、JPNICはその判断に従います。その仕組みは10月19日から動き出します
[Q] 新しいトップレベルドメインのレジストリーとしてKDDIグループが申請をしていました。JPNIC以外にも日本にレジストリーが誕生する可能性があります
[A] JPNICは、従来からICANNや各国のNICと連携して活動を行なってきました。新たに日本にレジストリーが誕生した場合でも、同じ枠組みで協力していけると思います
[Q] 世界的にレジストリーが増加するわけで、価格の競争が起こってくるのではないでしょうか
[A] 確かに価格の競争が起こるかもしれません。サービスの差、ドメインのイメージでの差別化を図っていきたいと思います
[Q] ありがとうございました

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