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英TAO、アスキー、ジャストの3社、組み込み向けJava環境の日本語化で提携

2000年10月12日 23時28分更新

文● 編集部 佐々木千之

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英Tao Group社、(株)アスキー、(株)ジャストシステムの3社は12日、都内で記者発表会を開き、Taoが開発した組込型Java環境『intent』(インテント:INTEractive ENTertainmentに由来する)の日本語化で提携したと発表した。日本語変換システムATOKのintent対応版を開発し、年内に日本語版intentを情報家電や携帯電話向けに提供開始する。

ジャストシステムはATOKのintent対応版をintentを採用するベンダー向けに提供するほか、同社の展開するASPサービスに対応した情報家電向けのJavaアプリケーションシステムを構築する。アスキーはintentの日本語化に必要な基本ソフトウェア技術を提供するほか、Taoの国内販売代理店としてintentの販売・マーケティング活動を行なうとしている。

Tao Groupのフランシス・チャリグ(Francis Charig)会長。「Taoは'92年の設立以来、日本市場を最大の目標としており、今後も最大のコミットメントをしていく」という

Taoが開発したintentは、組み込み向けリアルタイムOSの『Elate』(イレート)、米サン・マイクロシステムズ社の認定を受けた“PersonalJava”互換のJava環境“intentJTE(Java Technology Edition)”、マルチメディア処理のためのツールキットから構成される。intentは各種のCPU、OS(※1)に対応しているが、intentの上で動くアプリケーションについては完全なバイナリー互換を保証している。これは、intentが下位層を除いたシステム全体を、仮想プロセッサー命令で記述していることで実現されているという。また、intent自体、要求するリソースが少ないことと、その上のアプリケーション(Javaアプレットも含む)の動作が高速であることも特徴という。動作の高速化は、アプリケーションの実行の際に、その仮想プロセッサー用のバイナリーを実際に動作しているシステムのネイティブバイナリーに変換してから実行するためとしている。

※1 対応CPUはx86、Mcore、Cold Fire、ARM、StrongARM、PowerPC、MIPS、V850、SH3、SH4、PCS1000。対応するOSはMSDOS、Windows 95/98/Me/NT/2000、Windows CE、OS9、QNX。さらに今後iTRON、VxWorks、EPOC、Palm OSにも対応予定という。

intentの構造(Taoのプレゼンテーション資料より)
Tao Group日本事務所代表の鶴見俊郎氏。手に持っているのはintentが実装されたモトローラ製の携帯電話

Taoではすでに音声、画像、ストリーミングメディアを扱うための技術を開発済み。intentは、少ないメモリーや処理能力の低いプロセッサーの環境で、マルチメディアコンテンツを高速に利用したり、Javaを高速で動作させるシステムとして評価され、世界各国の企業から注目されているという。Tao日本代表の鶴見氏によると、6月に米国で行なわれたJava開発者会議“JavaOne”において、3.5MIPSの処理能力しかないプロセッサーを搭載したモトローラ製の携帯電話で、Javaで書かれたアクションゲームが高速に動作するデモンストレーションを行なってからという。

アスキーの鈴木憲一代表取締役社長。Taoとは'94年から協力体制にあるという
ジャストシステムの浮川和宣代表取締役社長。intentにはATOKだけでなく、アプリケーションを作る上での日本語化ノウハウも提供していくとしている

intentのターゲットとする応用分野は、携帯電話、PDA、デジタルTV、ビデオゲーム機などがあげられるというが、日本市場においてはまず次世代携帯電話に搭載され、カーナビゲーションやデジタルTV、ウェブアプライアンス製品へも搭載される見込みとしている(Taoのチャリグ会長)。名前は明らかにされなかったが、日本の大手企業が製品に採用する話も進んでいるという。組み込み機器以外では「Windows CE版のintentを何らかの形で2001年に提供する可能性もある」(アスキーの山下メディア開発室室長)としている。

日本企業との関係では、intentJTEがアスキーの資金提供により'96年に開発が始まったことのほかでは、日本ビクター(株)も早い時期から共同開発を行なっているという。ソニーもTaoに資本参加している。また9月19日には、(株)富士通愛知エンジニアリングと共同で“intentオフィシャルサポートセンター”の設立を発表している。

発表会では、Java言語で書かれた分子模型を回転させてアニメーション表示するというプログラムを、Windows上のサンのJavaVM(JDK1.2、JITコンパイラーを使用)と、Pentium II-266MHzのノートパソコンにインストールされたintent上のJavaVMで動作させるという、デモンストレーションが行なわれた。結果は、サンのJavaVMでは20.9秒、intent上では5.9秒と3倍以上高速で、intentのマルチメディア性能の高さ、JavaVMの高速さを見せた。最近のグラフィック性能の高いパソコンでは、この差はもっと広がるという。

Windows上でサンのJavaVM(左)とintent上のJavaVM(右)で、アプレットの動作速度を比較したデモ。右のウインドーの中でintentが動作している
Windows上のintentによるマルチメディアアプリケーションの実行例

日本ではNTTドコモが年末までにJavaが動作する携帯電話を発表する見込みだが、いままでに得られた話を総合すると、Javaが動作するといってもかなり機能が削られたサブセットとなる模様だ。来年春のIMT-2000端末にもJava環境は実装される見込みだが、フルセットでの搭載となるのか、そのJavaVM上でマルチメディアアプリケーションが動作するのかなどは不明だ。

その点、intentの能力が額面通りだとすれば、携帯電話でマルチメディアアプリケーションを動かすことはまったく問題ないように思える。さらにintentのアドバンテージとして、intentが実装された環境であれば、カーナビゲーションでもセットトップボックスでも携帯電話でも機器の能力によらず、まったく同じバイナリープログラムを動作させられる(プログラムが動くだけのメモリー容量がない場合は別だが)。Javaが目標としているものの、JavaVMの実装環境の違いにより実際には達成できていない“Write Once, Run Anywhere”が、intentであれば可能となりそうだ。

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