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【INTERVIEW】大幅な改良を加えた『Adobe Photoshop 6』――米アドビ社、ブライアン・ラムキン氏に聞く

2000年10月12日 18時15分更新

文● 千葉英寿

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米国アドビシステムズは、8月下旬に米国で開催された“Seybold San Francisco 2000”においてイメージ編集ソフトPhotoshopの最新バージョン『Adobe Photoshop 6』を発表した。アドビのグラフィックス関連製品などのプロダクトマーケティング業務を統括しているブライアン・ラムキン氏にPhotoshop 6について話を伺った。

米国アドビシステムズ社、ブライアン・ラムキン氏。'92年に入社。グラフィック製品のプロダクト マーケティング ディレクターとして、マーケティング業務と製品開発全般を統括。現在、プロフェッショナルパブリッシングソリューションを担当するシニアバイスプレジデント

次世代のテキストエンジンを採用。大幅な改良を加えたPhotoshop 6

――御社では今回のバージョンアップについて「過去最大のバージョンアップ」と表現されていますが、どういった点が過去最大なのでしょうか?

「私は9年前にアドビに入社して以来、Photoshopのプロダクトマネージャーを務めており、いくつものリリースを見守ってきてきました。今回はその中でも最も根本的な部分に関わる大きなアップグレードになったと思います」

「そのキーになるものが、テキストエンジンが完全に新しくなったということと、非常に高度で洗練されたタイポグラフィクスが実現できるようになったということです。ウェブであろうと印刷物であろうと、昨今、テキストが担う役割は、イメージと直接絡む重要なものになってきていると思います。今回、次世代のテキストエンジンを採用することで、Photoshop上でプロレベルのテキスト処理能力を与えることができました」

大幅な改良が加わったAdobe Photoshop 6英語版

――テキスト処理能力が向上したことによって、Photoshop 6を持っていれば、Adobe Illustratorを購入する必要がなくなる、ということにはなりませんか?

「いいえ。Photoshop 6のテキスト処理能力はIllustratorの能力を代替するものではなく、Illustratorはあくまでテキストのレイアウトツールですので、それにとって変わることはありません」

「それではなぜ、Photoshopのテキスト処理能力を強化したかといいますと、あくまでユーザーの利便性を追求した結果であり、両方のソフトをいちいち切り替える手間を省き、操作を簡便にするためです」

「複雑なテキストを扱うのであれば、Illustratorをお使いいただければと思いますし、迅速に作成したい場合や簡易なテキストブロックを作成するのであれば、Photoshopでよいでしょう。PhotoshopとIllustratorには100%のコンパチビリティーがありますので、ワークフロー管理も容易になるでしょう」

ベクトルツールが追加。より強固になったウェブグラフィックス機能

――Photoshopは5.5以降、ウェブグラフィックスのツールとしての機能を強化してきていますが、今回、ウェブ制作向けにはどのようなフィーチャーが加わったのですか?

「ウェブの分野で重要なのがベクトルのパートをいかに統合していくのか、という点です。今回、そのひとつとしてベクトルツールを搭載しました」

「ベクトルのオブジェクトをリッチな形で作成することができるわけですが、プリントをした場合も非常にハイレゾリューション(高解像度)な形で出力できるというわけです。そこではこれまでPostScriptで培った知識をフルに活用して、プリントでも非常によい結果を出すことができるようになりました」

「プロのつくるウェブページはほとんどPhotoshopをスタート点にしていると認識しています。そのおもな理由としては、ページをデザインする際にPhotoshopを使っているからであり、そのイメージをプログラマーに渡していくために、非常に多くのレイヤーが使われます。これまでは扱える限界が99レイヤーだったわけですが、今回、数千レイヤーを扱えるようになりました」

「さらにこれだけのレイヤーの数が増え、ますます複雑になりますので、Illustrator 9と同様にレイヤー管理機能を追加しました。これによって、レイヤーセットの管理が非常に簡易になりました」

――今回もAdobe ImageReadyが同梱されるのでしょうか?

「はい。同梱されるのは、Adobe ImageReady 3.0で、ますますウェブのフィーチャーとリッチな形で統合されていきます。なお、これまでImageReadyでしかできなかった直接的なスライスをPhotoshopでもできるようになりました」

ツールオプションバーは、アドビ・インターフェースの標準に

――この他にはどのような機能が追加されましたか?

「Photoshopでは簡単にPDFを生成できるわけですが、その際に付箋(スティッキーノート)をつけることができるようになりました。PDFで受け取り、Photoshopにもどって、付箋のコメントを読めるのです。デザイナーは容易に画像にコメントをつけることができます」

「また、他のアドビ製品との連携もより強くなっています。Adobe GoLiveとの間では、GoLive側でPhotoshopで作った画像をリサイズした場合、Photoshop側で簡単に最適化することができます。また、Photoshopで作成したレイヤーをウェブアニメーションツールのAdobe LiveMotionでもってきて、アニメーションやインタラクティブ性を付け加えることが容易にできます」

――インターフェースにツールオプションバーが加えられましたが。

「ユーザーからの要求が大きかったものです。今後、プロフェショナル向けの製品では、同様に変更されていきます。Illustrator 10ではそのようになると思いますよ。ただし、日本でリリース前のAdobe InDesignは、その次のバージョン、ということになるでしょう」

Adobe Photoshop 6のインターフェース。新たに加わったツールオプションバーが上部に現われる

――今回のバージョンアップを見ていても、プリントパブリシングの部分では大きな変更点はありません。それは、Photoshopが完成の域に達したということなのでしょうか?

「いいえ、完璧ではありません。Photoshopはウェブパブリッシング、プリントパブリッシングの基礎となるものだと思っています。それらの分野を含めクロスメディアという観点から見れば、まだまだ改良すべき点があると思います」

長身のラムキン氏は、フットボールの選手だったとか

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