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【レビュー】噂のCrusoeマシンの素顔に迫る──富士通のLOOX

2000年10月06日 17時06分更新

文● 編集部 野口岳郎

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9月25日、富士通から米トランスメタ社の新CPU『Crusoe』を搭載した新ノートパソコン『LOOX(ルークス)』が発表された。Crusoeの特徴は、なんといっても消費電力が少ないこと。そのため発熱量も少なく、ファンなどの放熱機構が必要ない。CPU内に周辺チップの機能を一部取り込んでいるため、部品点数が減らせることもあり、本体がコンパクトにまとめられる。“長時間駆動できる、小さなパソコン”が可能になるのである。

富士通のLOOX。写真はDVD-ROMドライブ搭載の上位モデル(T5/53W)

LOOXは、こういうCrusoeの特徴をフルに引き出すためにいちから設計された新シリーズだ。曲線の思い切ったフォルムとシルバーのフィニッシュはひときわ人目を引くが、パソコンとしても意欲的な工夫が多数盛り込まれている。

DVDとPHSを内蔵、液晶の横幅は1280ドット!

評価機は、最上位モデルの『T5/53W』である。T5/53Wは、サイズ的にはA5サブノートだが、液晶に1280×600ドットという横長タイプを使っているせいもあり、使ってみると「大きめのミニノート」という印象だ。左側面にDVD-ROMドライブを標準装備し、液晶の下部には、DVD再生時のスタート、ストップ、早送り、巻き戻しを行うための専用ボタンまで装備している。ほとんどポータブルDVDプレーヤの感覚だ。DVD再生も低消費電力で行えるというクルーソーの特徴をそのまま活かした格好だ。

本体左側面に8倍速DVD-ROMドライブを装備

さらに、DDIポケットの内蔵型PHSモジュール『H”IN』を搭載しているのも大きな特徴だ。PHSや携帯電話をつながなくても、本体だけで64kbpsの通信が行える。携帯電話インターフェイスを内蔵したマシンはいくつかあるが、電話そのものを内蔵するのはLOOXが初めてだ。

DDIポケットの内蔵型PHSモジュールH”IN

キーボードは16mmピッチで、ストロークが2mm。サイズはやや小ぶりだが、きっちり沈み込んでくれるのでタイピング感は良好である。

本体前面のDVD操作パネル。バッテリー残量などがわかる液晶や、ステレオスピーカーも備える
キーボードは16mmピッチ、2mmストローク。うち心地は悪くない

ベンチマークに現れにくいCrusoeの実力

気になるバッテリ駆動時間であるが、ASCII Lab.製ベンチマークによるランダウンテストでは、92%充電の状態で1時間56分動作。フル充電なら2時間は動くだろう。一般的なサブ/ミニノートが1~1.5時間であることを考えると、Crusoeの省電力効果がはっきり見える形だ。このテストは、普通ではありえない、CPUをフルパワーで動かし続けるものであり、また、Crusoeは、動作中の仕事に応じてCPUクロックをこまめに引き下げるのが特徴なので、実際に人間が普通に使った場合には、公称の4時間くらいは持つのではないだろうか。

一方で、パフォーマンスに関しては微妙なところだ。Crusoeの弱点である、なにか新しいことを行うとき(初めてコントロールパネルを開いたり、あるアプリを初めて起動するときなど)に生じる“間”ははっきりと感じる。Crusoeは内部的にはPentiumなどとはまったく互換性がないため、CMSという特別なシステムが、アプリケーションを随時Crusoe用に変換する仕組みを取っている。最近の変換結果は蓄えられているので、ある作業を初めてしまえばCMSはあまり関与せずに動けるのだが、そうでない場合は変換のための時間が必要となる。アプリケーション起動時などに感じる間は、まさにその仕様を反映した動作であると言えるだろう。

プログラムが、実際に動いてしまえば、特に間を感じることもないが、533MHzというクロック周波数から想像されるようなレスポンスの切れはない。Crusoeのスピードは開発元のトランスメタでさえ同クロックのPentiumIIIの70%程度と言っており、それに従うならLOOXの速度はいいところ380MHz相当となる。

ASCII DOS/V ISSUE 2000年11月号に掲載されたベンチマーク結果によると、600MHzのCrusoeを搭載した『VAIO C1VJ』が、PentiumII-233MHzを載せたマシンにも及ばない結果となっている。ただし、CMSはひっきりなしに新しいことをさせるベンチマークのような処理が最も不向きであり、現実の利用における反応ともかけ離れたモノになるのは明らかだ。バッテリー同様、こちらももう少し実態を反映するベンチマークが欲しいところだ。233MHzクラスのマシンと比べれば、DVDが再生できることから考えても、はるかに高速な印象はあるのだが……。

ASCII Lab.製アプリケーションベンチマークの結果。結果は画面解像度で大きく差が出るが、LOOXの画面は1280×600ドットイレギュラーなため、他機種との比較は載せず、付属ユーティリティーで設定できる3つのCPU動作モードの差だけを掲載する

このように、短期間のテストでは、Crusoeマシンの実力を測りきれない部分がある。とはいえ、LOOXは、小型、低騒音、長時間駆動というCrusoeらしさを前面に打ち出したモデルであることは確かだ。特に、最上位モデルのLOOX T5/53Wは、DVD再生、PHS内蔵、横1280ドットの大画面というはっきりした個性を持ったマシンであり、Crusoeの実力を体験するためのマシンとして、選びやすい1台であると言えるだろう。

主な仕様
製品名: LOOX T5/53W
価格: オープンプライス
CPU: Crusoe(TM-5600)-533MHz
メモリ: 128MB(うちCMS用に16MB)
HDD: 10GB
光メディア: DVD-ROMドライブ
外部端子: IEEE1394、USB×2、PS/2、外部CRT、Sビデオ出力
サイズ: 幅264×奥行き183×厚さ34.5mm
重量: 1.5kg
電源: リチウムイオン充電池(約3.5時間)
主なソフト: Windows Me、Office2000 Personal
プロアトラス2001全国版(地図ソフト)、Motion DV Studio(DV編集ソフト)

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