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【CEATEC 2000 Vol.11】暮らしゾーン総覧その1~次世代ビデオレコーダーの主役は誰だ!

2000年10月05日 02時36分更新

文● 浅野純也

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新型ビデオレコーダーで覇権をにぎるのは?

昨年はBSデジタル機器と松下のパイオニアのDVD-RWレコーダーがもっとも注目されていたが、今年の注目は各社が投入した新型レコーダーだろう。

新聞の1面広告で強烈に存在をアピールしたCLIP ON。ソニーもHDDレコーダーを米国で発売している

HDD単体がソニー(製品化済み)と松下(来春を予定)とシャープ(発売時期未定)。HDDにSVHSを組み合わせた日本ビクター(製品化済み)、HDDにDVD-RAMを組み合わせた東芝(年内を予定)と各社のスタンスがハッキリとわかれたのが面白い。ディスクメディアであり、かつ大容量のHDDはアクセス速度も速く、記録媒体として最適であることは以前から指摘されていた。その反面、保存性に劣ることもわかっていた。それを“重ね撮り”というコンセプトで製品化したのがソニーだ。保存しないで次々と同じテープに録画して、見てしまったらその上からまた録画するというユーザー動向に注目した。拡張性はHDDを本体内に増設するのみ。同じくHDDレコーダーを開発中の松下はi.LINKで外付けHDDを拡張できるようにするらしいが、家電であるレコーダーの外にデリケートなHDDを出すことはかなりの冒険のような気がする。逆に松下らしからぬ大胆なコンセプトとも言えるが。シャープはBSデジタルチューナーを内蔵することで差別化を図る模様だ。

松下のHDDレコーダー。同社は米国で先行して発売している実績がある。外付けHDDのコンセプトは果たして受けるのかどうか
シャープのBSデジタルチューナー内蔵レコーダー。ハイビジョンを録画するとなるとHDDの容量がポイントになる

HDDのメリットを活かしつつ、保存性を持たせたのがハイブリッドレコーダーだ。現行のビデオとの親和性を高めたのがVHSの開発元でもある日本ビクター。HDDに「とりあえず撮った」ものから残しておきたいものだけをS-VHSに出せるようにした。東芝は初めてのDVD-RAMレコーダーがハイブリッド機という「ホップ」を飛ばした大胆な「ステップ」作戦を打ち出した。DVD-RAM陣営の盟主としての意地があるのかもしれない。ディスクとディスクの組み合わせにどこまでアドバンテージがあるかはどんな機能を持たせるかによって大きく変わってくるので詳細を待ちたいが、容量やコストの点ではビデオテープにかなわないのがネガティブポイントだろう。

日本ビクターのHDD+S-VHSレコーダー。週刊誌の見出し的にいえば「VHSの盟主が次世代でも主導権を握るべく投入した意欲作」といったところか
東芝はいきなりのハイブリッド機を投入する。どんなアプリケーションを提案できるかが勝負の分かれ目だろう

現時点ではHDDレコーダーやハイブリッドレコーダーは定価で18~20万円と高いことは否めないが、これらの便利な使い勝手や特性が認知され始めれば意外とお買い得だと思う。まずはコンセプトを広めることが重要だろう。

パイオニアのDVD-RWレコーダー・バージョン2。画質の向上も図られている

ディスクレコーダーで先行しているパイオニアはバージョン2とでもいうべきDVD-RWレコーダーを発表した。外観はほぼ従来モデルと同じだが、録画したDVD-RWメディアが現行のDVD-Videoプレーヤーで再生できないという互換性のなさを解消してきた。またDVD-Rメディアへの対応やi.LINKの搭載などでユーザーのリクエストに応えたかたちだ。同時にパソコン用のDVD-R/RWレコーダーも製品化することでファミリの拡大を狙っている。一方の松下はDVD-RAMレコーダーに関する動きはなかった。ファミリーといえばこのDVD-RWレコーダーと松下のDVD-RAMレコーダーはともに積極的にOEM展開を狙っており、パイオニアはケンウッドやシャープ、三菱電機に、松下は日立と日本ビクターにそれぞれ供給している。今回のCEATECでは各社ともOEM品をさりげなく展示していた。

ケンウッドはパイオニアからOEM供給を受ける
三菱電機もパイオニアのOEMだ

年末から春にかけて発売されるこれらの新製品に期待したいところだが、大きなブレイクはまだ先だろう。しかも来年のCEATECではまた新しいハイブリッド機が登場するハズだ。

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