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オムロンソフトウェアとバンダイネットワークス、Javaエージェント利用のコンテンツサービスで共同事業

2000年10月02日 20時11分更新

文● 編集部 佐々木千之

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オムロンソフトウェア(株)とバンダイネットワークス(株)は2日、都内で記者発表会を開催し、オムロン(株)が開発したJavaベースのエージェントシステムのミドルウェア“JUMON(ジュモン)”を利用して、モバイル端末向けコンテンツを共同で開発・展開していくと発表した。

JUMONはオムロンがFA市場向けに2年ほど前から開発を行なっていた、組み込み機器向けエージェントシステム<(※1)を構築するためのミドルウェア。JUMON上のエージェントプログラムはJava言語で書かれるため、ネットワークシステムとの親和性も高く、異なるOSが混在する環境でも有利としている。

※1 エージェント(代理人)システムとは、ユーザーが1つ1つの処理を指示するのではなく、目的に従った一連の処理を自立的に行なうことのできるシステムのこと。

今回の事業提携は、このJUMONを利用した次世代モバイル機器向けエンターテイメントコンテンツの開発と営業を、オムロンソフトウェアとバンダイネットワークスが共同で行なうというもの。あわせてJUMONとそのエージェント技術の普及と発展を目指すとしている。

バンダイネットワークスの林俊樹代表取締役社長

共同事業については両社とも、「お互いの技術やブランド、コンテンツ開発力、顧客を有効活用したシステムとコンテンツの開発を目指す。技術に強い会社(オムロンソフトウェア)とコンテンツに強い会社(バンダイネットワークス)のいいところをあわせた共同事業だ」(バンダイネットワークス代表取締役社長の林俊樹氏)「JUMONを使ったエージェントは、Javaで記述されているため現在の携帯電話向けサービスのようにサーバーに頼ることなく、機器同士で相互通信が可能となる。端末のOSが異なっていても、キャリアーが異なっていてもJavaが動く環境なら利用できるようになる。バンダイネットワークスは携帯電話向けコンテンツサービスのトッププロバイダーであり力と実績を持ったパートナーだ。両社でより楽しくより便利なエンターテイメント系コンテンツを開発、提供していきたい」(オムロンソフトウェア代表取締役社長の佐野登氏)と相性の良さをアピール。

オムロンソフトウェアの佐野登代表取締役社長

この事業提携の発表は、12月にも発売されるNTTドコモのJava対応携帯電話(503シリーズ)や、来年春に予定されているJ-フォンやKDDIのJava対応携帯電話、IMT-2000携帯電話の登場をにらんでのものだが、「当初は12月の503シリーズにあわせて展開することも考えたが、503ではリソースの制約が大きく、中途半端なものになってしまうので見送り、来年春に4ないし5つのサービスを開始することにした。日本だけではなく、両社でワールドワイドに展開していきたい」(バンダイネットワークス取締役兼最高技術責任者の高橋豊志氏)と、来春のサービス開始に向けて着々と進行中という様子だ。

具体的にどのようなサービス/コンテンツが展開されるかは、「詳しくは話せない」(高橋氏)というが、例えばとしながら、1)対戦型のネットワークゲームで同じゲームをやりたい仲間をエージェントが探してくる。単に探すだけではなく相手のレベルなども考慮される。2)サーバーを必要としない複数の端末間でのチャット、エージェントとの会話もある。3)公演のチケットや食事の予約をエージェントに任せる、といったことが考えられるという。さらに対戦ゲームなどでは、あるゲームコンテンツと契約しているユーザーが、契約していないユーザーに呼びかけ、契約ユーザーが擬似サーバーとなってゲームプログラムをほかのユーザーに送ってゲームを遊び、ゲーム終了後は契約ユーザー以外の端末からプログラムを自動的に消去する、といったことも可能になるとしている。

こうしたエージェントを使ったコンテンツでは、現在のようにサーバーを経由しない通信も行なわれるため、今までとは異なる料金体系が必要となる。またユーザーがエージェントを簡単に利用するためには、携帯端末にあらかじめJUMONを組み込まれていなくてはならないが、このあたりのことは「現在キャリアーと詰めている最中。非常に興味を持ってもらっている」(高橋氏)としている。

なお、両社はこのJUMONベースのエージェントをモバイルエージェントのスタンダードとするべく、通信事業者や家電メーカー、ベンチャー企業などにも積極的に採用を呼びかけていきたいとしている。ただしスタンダードを目指すに当たっては「コンソーシアムのようなものを作って標準化を目指す、という時代ではない。バンダイネットワークスのようなトップコンテンツプロバイダーと組むことでデファクトスタンダードとなることを狙っている」(オムロンソフトウェア、NAプロジェクトマネージャーの松下秀人氏)という。

エージェントという考え方は以前からあったが、これまで具体的にコンシューマー向けに発表されたシステムはなかった。そういう意味で、今回の発表は非常に興味深いものといえる。現在のモバイル向けコンテンツサービスはすべてサーバーに集約されるかたちだが、このエージェントシステムによって、現在のようなサーバー集中型とはまったく異なる次元のサービスが生まれてきそうだ。

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