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日本AMDが組み込み向けプロセッサーの説明会を開催――x86互換の資産を生かしデジタル情報機器市場向けに

2000年09月29日 21時50分更新

文● 編集部 佐々木千之

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日本AMD(株)は29日、25日に発表した組み込み向けプロセッサー『AMD-K6-2E+プロセッサ』と『AMD-K6-IIIE+プロセッサ』についてプレス関係者向けに説明会を開催した。

日本AMD、マーケティング部北アジア地区EPD/CPG製品群担当 部長代理の鎌村知範氏

同社のx86互換の組み込み向けプロセッサーのラインアップ“E86ファミリー”には、今回発表されたK6-2E+やK6-IIIE+のようなスタンドアローンマイクロプロセッサー、チップセット機能を集約した統合プロセッサー“Elanシリーズ”、16bitマイクロプロセッサーの3つがある。

『AMD-K6-2E+』(左)と『AMD-K6-IIIE+』(右)。下にあるのはそれぞれのOBGAパッケージ

日本AMDのマーケティング部北アジア地区EPD/CPG製品群担当鎌村知範部長代理によると、E86ファミリー全体のターゲットとしては、インターネットアクセスデバイス(IAD)、POS端末、デジタルセットトップボックス(DSTB)の内部で使われる“エンベデッドPC”向け、プリンターやデジタルコピー機などのOA機器向け、ルーター、xDSLモデム、ホームサーバーんどの通信関連機器向け、および産業機器などの組み込み製品向け市場があるという。

今回発表のK6-2E+/IIIE+は、128KB/256KBの2次キャッシュメモリーをダイ上に搭載するなど競合製品となるPowerPCなどのRISCプロセッサーと比べても高いパフォーマンスの製品であるとした。また、このようなプロセッサーが使用される機器では、プロセッサーファンの必要がないことが、システムコストや信頼性向上の点から要求されるが、低消費電力版(※1)では“AMD PowerNow!テクノロジ”などによって、組み込み製品で利用されるアプリケーション使用時に10W以下となり、ファンレスでの利用ができるとしている。

※1 K6-2E+とK6-IIIE+では、コア電圧が2.0Vの通常版と、1.5~1.8V(駆動周波数による)の低消費電力版がある。

また、パッケージとしてはパソコン用と同じPGAパッケージの他に、面積比で約26パーセント

しかないOBGA(Organic Ball Grid Array)パッケージ製品も提供される。OBGAパッケージはダイの上に直接ヒートシンクを接触させることができることと、ソケットを使わないためにメイン基板の裏からも放熱効果があることで、放熱効率がよいという。

PGAパッケージの49.5×49.5mm(2450平方mm)に対しOBGAパッケージでは25×25mm(625平方mm)。OBGAパッケージ製品の量産出荷は2001年第1四半期から。

AMDでは組み込み市場に必要な長期の供給(少なくとも5年間)を保証しているが、プロセッサー本体だけでなく、サードパーティー各社と協力して、BIOS、チップセット、マザーボード、OSも含めてサポートしていく“FusionE86プログラム”を実施しているという。

AMDの組み込み市場向けプロセッサーの製品構成。Athlonにあたるプロセッサーの投入時期は明らかにされていない

同社によると、RISCプロセッサーはそろそろ速度の限界が見えてきており、これ以上の高速化には、アーキテクチャーを含めて丸ごと変更する必要があるが、AMDは今回発表した製品の上にさらに第7世代製品も控えているため、将来まで考えてもAMD製品を採用するメリットは大きいとしている。

現在同社のK6-2E製品が日本で強みを持つ市場はPOS端末向けで、現在およそ20~30パーセントのシェア(日本AMD調べ)を持っているという。現時点でも組み込み向けプロセッサーの市場は伸びていると言うが、、今後はパソコンとは異なる携帯のインターネットアクセス機器へのさらなる需要が期待される。x86互換プロセッサーということで持つ開発環境や技術者の幅広さなどは大きな強みだ。

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