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電子協、“ソリューション”の定義を発表

2000年09月27日 20時20分更新

文● 編集部 小磯大介

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(社)日本電子工業振興協会(電子協/JEIDA。以下電子協)は27日、都内で記者発表会を開き、昨今のITビジネスにおいて頻繁に用いられている“ソリューション”という言葉の意味を明確化したと発表した。また、電子協では、ソリューションビジネスの提供方法を“ソリューションアーキテクチャ”として定義したこともあわせて発表した。

“ソリューション”の定義

電子協、ソリューションビジネス委員会の伊藤大挙委員長は、ソリューションを“顧客の経営課題を、ITと付加サービスを通じて解決するビジネス技法”だと明確に定義した。「ただのハードウェア販売を『ソリューション』と呼ぶような現状を改善したい」とする同氏によると、ベンダーが、IT関連製品と、経営課題の解決ノウハウという付加サービスの2つを提供して、はじめてソリューションであるという。また同氏は、「経営課題とは、コスト削減、スピードアップ、品質の向上、売上げ/営業利益の向上、グローバル化などである」との見解も示した。

伊藤委員長。富士通(株)システム本部 コンサルティング事業部長でもある

また電子協では、ソリューションは4つのレイヤー、“サービス”“ミドルウェア”“ネットワーク”“プラットフォーム”からなるとした。そして、その4レイヤーについて、どのベンダーがどの業種のソリューションを提供できるか、また、どのベンダーがどのようなソリューションを提供できるかを、それぞれ“業種ソリューションフレームワーク”“共通ソリューションフレームワーク”として作成。金融/製造/物流/教育事業などといった業種別、あるいはERP(Enterprise Resource Planning:統合基幹業務システム)/EC(Electronic Commerce:電子商取引)/CRM(Custmer Relationship Management:カスタマーリレーションシップマネジメント)/モバイルなどといった目的別に、どの企業がどのソリューションを提供できるかを明確化した。この両フレームワークはこのままか、あるいは見やすくなるように修正して、顧客にも開示し、顧客が、ソリューションの目的別にベンダーを選択できるようにするという。現在、フレームワークは電子協に加盟している企業(※1)のみで作られているが、伊藤氏は、「諸企業に働きかけ、フレームワークの標準化も推進する」としている。

※1 沖電気工業(株)、(株)東芝、日本アイ・ビー・エム(株)、日本電気(株)、日本ユニシス(株)、(株)日立製作所、富士通、富士電気化学(株)、横河電機(株)(以上順不同)

“ソリューションアーキテクチャ”

電子協は、ソリューションを構築する手段を“ソリューションビジネス技法”と名付け、4つのステップに分類した。ソリューションでは、以下4つのソリューションビジネス技法が順に提供される必要があるという。

  1. コンサルテーション”:顧客の経営課題とニーズの把握、業界動向/問題点/ニーズ/投資効果の分析
  2. 情報システム化構想立案”:ソリューションの立案
  3. ソリューションメニュの選択”:業種/共通ソリューションフレームワークにあるソリューションから、適切なものを選択
  4. サービス/ミドルウェア/ネットワーク/プラットフォームを選択”:実際に具体的なソリューション提供開始

同協会は、これら4ソリューションビジネス技法、前述したソリューションフレームワーク、ソリューションの定義の総体を、ソリューションアーキテクチャだと位置づけている。

同協会では、これらの定義により、「ソリューションとして提供するビジネスの基本型がはっきりする。顧客にとって『ソリューション』というものが、分かりやすく見えやすくなり、各ベンダーをどう差別化すればいいのかが明確になる」(伊藤氏)と期待している。

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