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リオポート、ASP戦略を発表

2000年09月26日 22時49分更新

文● 編集部 小磯大介

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米RioPort社の関連企業である(株)リオポートドットコム(以下リオポート)は26日、都内で記者発表会を開き、新サービスを発表した。同社は、RioPortが米国内で展開している、MP3などのデジタル音楽をB2Bで配信するASP(Application Service Provider)事業を、日本国内で開始する。ASPの呼称は“Pulse One Music Service”(パルスワン ミュージックサービス。以下Pulse One)。

発表会で壇上に立った、RioPortのジム・ロング(Jim Long)社長兼CEO(最高経営責任者)は、今回のPulse Oneが「デジタルミュージック、そしてデジタルオーディオのASP」だと説明した。

ロング社長兼CEO。「Pulse OneはデジタルオーディオのASP。“DSP”(Digital Service Provider)である」という。抽象的な表現が多く、具体的な説明が少なかったのはやや残念だった

“Pulse One Music Service”

Pulse Oneは、デジタル音楽/音声ファイルの検索、購入、エンドユーザーへの配信に必要なサービスの総称。リオポートは、音楽レーベルやアーティストといったコンテンツ保有者と契約を結んで、デジタル音楽/音声ファイルをホスティング管理する。そして、エンドユーザーにファイルを販売するウェブサイト“イー・テイラー”(※1)と契約。イー・テイラーがエンドユーザーにデジタル音楽/音声を販売した際には、Pulse Oneがダウンロード用のサーバーとして機能するなど、デジタル音楽/音声ファイルの販売ビジネスをおこないたいコンテンツ保有者とイー・テイラーの間に立つのが、Pulse Oneである。これにより、「リオポートと契約したイー・テイラーは、Pulse Oneにある音楽/音声ファイルのデータベースの全部または一部を用いて、著作権の侵害や賠償問題を気にすることなく、ファイルの小売業をおこなえる」と、ロング氏は同サービスの利点を強調した。

※1 イー・テイラー(e-tailer):Electric Retailerの略。インターネット上で小売り(リテール)をおこなうウェブサイトを指す、リオポートによる造語

現在、同社では、米ユニバーサルミュージックグループ社と、デジタル音楽/音声ファイルの独占配信契約を結んでいるという。なお、日米問わず、他のレーベルについては「みな契約してくれると信じている」とのことだが、契約できるとする明確な根拠は示さなかった。なお、Pulse Oneのサーバーは現在米サンノゼ、ダラス、メリーランドにあり、将来的には日本でもサーバーを立てる予定だという。

インターネット上での音楽/音声データ配信というと、気になるのは著作権保護技術だが、同氏によると、Pulse Oneでは米国レコード協会(RIAA)と、米国音楽業界大手5社(※2)の著作権保護プロジェクト“SDMI”(Secure Digital Music Initiative)の策定した基準に準拠しているという。ただし、これについても、具体的な内容には言及しなかった。

※2 米国音楽業界大手5社:前述のユニバーサルミュージックグループ(Universal Music Group)と、米ソニーミュージックエンタテインメント社(Sony Music Entertainment)、米ワーナーミュージックグループ社(Warner Music Group)、米ビーエムジーエンターテインメント社(BMG Entertainment)、米イーエムアイレコーディドミュージック社(EMI Recorded Music)のこと

またロング氏は、ASP事業とあわせて、RioPortの開発した、デジタル音楽/音声ファイルをパソコン以外のさまざまなデジタル機器と相互転送できるプログラム“MDM”(Media Device Management)を、オーディオ機器メーカーへ提供していくビジネスも発表した。MDMを用いれば、携帯型のプレーヤーだけではなく、ホームステレオシステムや車載用ステレオシステム、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)、キオスクなどで、インターネットから直接デジタル音楽/音声ファイルをダウンロードし、利用できるという。同氏によると、同社はASP事業と、MDMのライセンス事業を、日本での大きな柱にするとしている。

日本では“通勤環境”向けのコンテンツで勝負

リオポートの代表取締役である遠藤信久氏は、日本での事業展開について説明した。音楽を“ミュージック”とし、それ以外の音声データを“オーディオ”と定義した同氏は「日本では、ミュージックというより、オーディオのASPを目指す」と断言。「“通勤環境で聴けるコンテンツ”を用意して、日本市場に対応する」という。具体的には、英会話の教材や、新聞/雑誌の読み上げ、落語/漫才などのコンテンツを用意するとした。もちろん、「日本独自のレーベルに掛け合って、配信契約を取り交わすよう努力する」という。

遠藤氏。具体的な活動、特にエンジニアの確保などについては「これから」とのことで、その手腕に期待したいところ

売り上げ目標に関しては「まだ市場そのものが立ち上がったばかりで、数値目標を口にするのは時期尚早」とのこと。ただし、「世界4兆5000億円市場の音楽業界で、2~3年でその1%を獲得できれば成功」(ロング氏)だという。

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