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インターネット自動車などの研究成果を公開( SFC OPEN RESEARCH FORUM2000その1)

2000年09月26日 17時37分更新

文● 若菜麻里

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22日、慶應義塾大学の湘南藤沢キャンパス(SFC)において“SFC OPEN RESEARCH FORUM 2000”が開かれた。同フォーラムは、SFC研究所が年に1度、研究発表を一般公開するイベントだ。

新分野の創造。SFCはバージョン2.0として次の段階へ

SFC研究所所長の村井純教授は、開会式を兼ねた基調講演で、「SFCは今年で10周年を迎える。次の段階に入ったということで、“SFC Version 2.0”として、新しい研究や教育分野において、リーダーシップをとっていきたい。SFCは産学官の共同研究体制が特徴。このキャンパスは研究活動を通して、社会的な評価を受け、また社会に貢献しているという意識を1年生のときから持てる場所だ。また30歳、40歳代の1年生も珍しくない」と、SFCの独自の研究体制を紹介。

今後の方向性については、「SFCは、何か(既存の)分野を目指すのではなく、分野そのものを創造しながら、これからも進んでいく。技術や社会はどんどん進化していくため、その中で必要な人材をつくっていく」と語った。また10周年記念として、学内の敷地(3500平方メートル)に、ν(ニュー)棟、Δ(デルタ)館という2つの研究スペースを設けたことも報告した。

村井純SFC所長。「従来の研究分野、教育分野にとらわれないテーマの設定や、新分野の創出がSFCの重要な役割だ」

DMCのグランプリに『eARTh in 1999 exhibition』

“Digital Media Competition(DMC)”プレビューショーでは、ウェブコンテンツや対話型ソフトウェア、ビデオ、静止画などの34作品を披露。一次審査を通過した、SFC関係者や一般からの作品が展示会場に集まった。夕方には最優秀作品が発表された。グランプリを射止めたのは、小川秀明氏ほか3氏が制作したWebコンテンツ『eARTh in 1999 exhibition』。この作品は、“地球の中のアート”をモチーフにしたものだ。

『eARTh in 1999 exhibition』の中のワンシーン

目玉は“インターネット自動車の研究”

会場では、全部で35のプロジェクトの展示やデモが行なわれた。その中でいくつか目立ったものを紹介する。

ひときわ注目を集めたのは、環境情報学部の村井純教授がプロジェクトリーダーを務める『インターネット自動車』の研究だ。自動車をインターネットに接続し、地理的位置情報や、自動車環境とインターネット環境を考慮したアプリケーションなどを研究対象とするもの。

基準局をポイントごとに立て、無線LANにより極めて正確に車両の位置を把握可能にする。また交通情報の提供や好みの音楽をダウンロード可能にするなど、いわゆる次世代のカーナビゲーションシステムを開発している。このアイデアは思い立ってからすでに5年が経つという。

この1年で進歩したことは、「プロジェクトでは、現在のIPv4からIPv6への移行を進めている。IPv6を利用すれば、国内に数千万台存在する自動車一台一台に対して、それぞれノードを与えられるようになり、安定した接続性とセキュリティーを確保できる」(ブースの説明担当者)としている。

インターネット自動車の実験車両。無線LANによってインターネットへ常時接続。無線LANが届かない地点では、携帯電話(写真左)による通信に自動的に切り替える

次世代Web3D標準X3Dの拡張形式としてXVLを提案

千代倉弘明・環境情報学部教授のプロジェクト、“XVLによるインタラクティブWeb3Dコンテンツ”では、XVL(eXtensible Virtual world description Language)を用いた3D画像のデモが行なわれた。

XVLとは、千代倉研究室が開発した、軽量で高品質なWeb3Dデータの表現技術だ。従来3D表現に用いられているVRML(Virtual Reality Modeling Language)に比べ、100分の1のデータサイズで形状表現が可能という。業界団体Web3Dコンソーシアムの次世代Web3D標準X3Dの拡張形式として、千代倉研究室ではXVLを提案している。デモでは、医療分野での活用例が示された。

頭部の3Dを回転させ、画像の軽さを実感する来場者

大岩元・環境情報学部教授のプロジェクト“CreW”では、“創造的情報空間への挑戦”というテーマで、タッチタイピングを修得するためのソフト『キーボード体操』や、熟年が楽しみながらコンピューターの基本操作を学べるゲーム『めんそ~れ沖縄』などを紹介。

『キーボード体操』は、コンピューターを使う全ての人がタッチタイピングできるようにと設計されたソフト

このほか、W3C(World Wide Web Consortium)や、衛星インターネットプロジェクト『AI3』、次世代コラボレーションスペースのための『Smart Space実験装置』などについて、記者向けに最新情報が提供された。これに関しては、Vol.2でレポートする。

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