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富士通とマイクロソフト、企業向けWindowsプラットフォームで提携――米MSバルマー社長来日

2000年09月21日 18時04分更新

文● 編集部 桑本美鈴

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富士通(株)、米マイクロソフト社およびマイクロソフト(株)(以下、米マイクロソフトとマイクロソフト(株)を合わせてマイクロソフト)は21日、Windowsプラットフォームによる企業向けビジネスの拡大を目的としたグローバルな提携を行なうことで合意したと発表した。

左から、富士通(株)秋草社長、米マイクロソフト社バルマー社長、マイクロソフト(株)阿多社長

富士通、大規模システム向け製品にWindowsプラットフォームを採用

今回の提携により富士通は、企業顧客向けにWindows 2000をベースとしたシステム構築製品/サービスを提供する。特に、大規模システム構築に関しては、近々発売となるWindows 2000 Datacenter Serverを利用し、顧客に高いレベルの製品サポートを提供していくという。

これまで大規模システム分野ではUNIXが採用されているケースがほとんどだったが、Datacenter Serverの登場により、Windowsプラットフォームでのシステム構築展開の可能性が出てきたため、今回の提携に至ったもの。富士通は、エンタープライズ分野の製品群にWindows対応製品を加えたことで、大規模システム製品や基幹業務システム製品の選択幅の充実を図る。

また富士通は、Windowsプラットフォームベースのシステム構築に当たり、顧客に対してシステムの開発段階からのサポート/サービスを強化する。そのため、同社のハードウェアとミドルウェア、Windows 2000製品群、Microsoft .NET Enterprise Serverを組み合わせた設計/検証サービスを行なう施設“Windowsプラットフォームセンター”を10月1日に同社内に設立する。

同センターには、Windows 2000、富士通のミドルウェア、マイクロソフトのミドルウェアの各製品のエキスパートを配置し、信頼性の高い設計サービス、技術支援を提供する。システムにトラブルが発生した場合のサポートツールは富士通とマイクロソフトが共同で開発する。また、事前検証や性能診断を行ないボトルネックを特定する。エキスパート人員は、初年度100名、3年後には200名を予定しているという。

さらに、富士通グループのシステムエンジニア/ソフトウェアエンジニアの約半数に当たる1万1000名にマイクロソフトテクノロジーを習得させ、うち1000名をMCSE、MCSD、MCDBAに育成するとしている。

関連製品も共同で開発

富士通とマイクロソフトは、それぞれの製品に対する共同開発、販売の協調体制の確立にも合意。富士通のミドルウェア『INTERSTAGE』、『System Walker』、『COBOL』などと、Microsoft .NET Enterprise Serverの連携を強化し、技術開発および共同プロモーションを行なう。富士通は、同社のハード/ソフト両面を改善し、Datacenter ServerやWin64プラットフォームでスケーラブルな環境を実現するとしている。また、ハイエンドIA-32/IA-64サーバーなど次世代プラットフォーム分野における製品開発と販売促進も共同で行なうという。

富士通は、企業向けWindows関連ビジネスを3年後には現在の2倍以上の規模にし、WindowsベースのIAサーバーシェア国内1位を目指すとしている。今回の提携内容に関する事業は当初日本国内で展開し、その後アジアやパシフィック、米国、欧州でも同様の事業を展開するという。

発表会には3社社長が出席

本日都内ホテルで行なわれた発表会には、富士通(株)代表取締役社長の秋草直之氏、米マイクロソフト社社長兼CEOのSteve Ballmer(スティーブ・バルマー)氏、マイクロソフト(株)代表取締役社長の阿多親市氏らが出席した。

秋草氏は、「富士通とマイクロソフトは、これまでPC領域では連携していたが、日本の企業ユーザーの複雑な要望に応えるためには、もっと密な関係が必要。今回グローバルな提携を行ない、企業ビジネスに関しても協力していく。富士通が企業向けの基幹業務ソリューションを提供する上で、Windows 2000は重要な要素の1つ」

富士通(株)代表取締役社長の秋草直之氏

「富士通がマイクロソフトの製品を企業ユーザーに提供するだけでなく、富士通のミドルソフトをマイクロソフトに提供してマーケティングでも協力してもらうという双方向の連携にある。今回の提携は富士通のイメージでお願いしてできたもので、要望を認知してもらった。マイクロソフトと富士通がWIN-WINの関係。顧客にとっても利益効果のある提携だ」と説明した。

バルマー氏は、「マイクロソフトはPCの会社として発展し、富士通とはすばらしい関係を長年もってきたが、われわれのビジネスは拡張しており、今回の提携は重要。Microsoft .NETによる新しいモデルのインテグレーションを実現するためにも、今回のパートナーシップは重要だ。.NETは、総合的なハード/ソフト/サービスのソリューションを必要とするが、その点でも富士通は高い能力を持っている」

米マイクロソフト社社長兼CEOのスティーブ・バルマー氏

「世界各国の企業でマイクロソフトのプラットフォームが利用されており、富士通はこれらの企業に対し総合的なソリューションを提供できる。われわれも支援する。信頼あるソリューションを要求の厳しい日本のユーザーに対して自信を持って提供したい」と語った。

阿多氏は、「日本のビジネス市場でさまざまなプラットフォームが存在している中で、Windows 2000 Datacenter Serverによる大規模システム構築において共同で事業展開を進めていく。今回の提携により、エンタープライズでのWindowsビジネスが大幅に拡張する。よりミッションクリティカルな領域にチャレンジしたい」と強調した。

マイクロソフト(株)代表取締役社長の阿多親市氏

また、UNIXビジネスとWindowsビジネスとの共存について、秋草氏とバルマー氏は、「富士通は特定のベンダーのサプライヤーではない。カスタマーが望むあらゆるいい製品を提供する。UNIXだろうがWindowsだろうが関係ない」(秋草氏)、「UNIXとDatacenter Serverはユーザーのために必ず共存しなければならない。ビジネスの世界では100%シェアを持つ必要はない。今後数年は共存していくことになるだろう」(バルマー氏)としている。

握手を交わす秋草社長とバルマー社長。一般メディアは、どうしても“UNIX 対 Windows”の図式に持っていきたいらしく、質疑応答もUNIXとWindowsに関するものに集中。「WindowsかUNIXか、という議論には意味がない。共存することでお互いにいいソリューションができ、この世界が広がるのだ。UNIXだけとかWindowsだけだとつまらない世界になる」(秋草氏)、「私はWindowsだけの世界になってもかまわないんだけどね(笑)」(バルマー氏)

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