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三菱電機、ネット事業でインクトゥミと業務提携

2000年09月20日 19時42分更新

文● 編集部 小磯大介

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三菱電機(株)は20日、記者発表会を開き、インターネットのインフラ構築ソフト会社である米インクトゥミ社(Inktomi)とインターネット事業で業務提携すると発表した。2社は共同で、ポータルサイト構築用のツールや、キャッシュサーバーを販売する会社“株式会社トラフィック・ワン・コミュニケーションズ”(以下トラフィック・ワン)を10月2日に設立する。資本金は4億5000万円。なお、新会社の社長には、三菱電機 情報ネットワーク開発部部長の神田明氏が就任することも合わせて発表した。

神田氏。三菱電機の情報通信システム開発センター 分散情報システム開発部長から現職を経て今回の就任となった

トラフィック・ワンの事業内容は大きく分けて以下の2つ。

  1. ポータルサービス事業:ポータルサイト運営者や企業に向けた、ロボットによる検索エンジンなどの提供
  2. ネットワークキャッシュ事業:インクトゥミ製のキャッシュサーバー(※1)『Inktomi Traffic Server』(以下Traffic Server)などの代理店販売
※1 キャッシュサーバー:インターネットユーザーがよく利用するコンテンツを、データとして保存しておくサーバー。目的のコンテンツを利用するとき、実際にそのコンテンツが格納されているサーバーではなく、キャッシュサーバーにアクセスして、そこに保存されているコンテンツをユーザーが利用することにより、インターネット上のトラフィック(ネット上を流れるデジタルデータ量)を少なくし、アクセス速度の効率化をはかる。ISP(Internet Service Provider)や企業などの多くが、キャッシュサーバーを採用している

「インターネットユーザーとコンテンツの増加によってもたらされたアクセス速度の低下が、インターネットの最大の問題」とした神田氏は、アクセス速度の効率化をはかるためにインクトゥミの技術を採用したと説明。「ロボットによる検索エンジン“Inktomi Search Engine”や、ウェブページをカテゴリー別に分類するディレクトリー作成/保守エンジン“Inktomi Directory Engine”を、トラフィック・ワンでカスタマイズし、ポータルサイトや、検索/ディレクトリーエンジンを使いたい大企業などに販売する」と、ポータルサービス事業の概要を解説した。ネットワークキャッシュ事業では、Traffic Serverのほか、Traffic Server用のユーティリティーソフトや、コンテンツ配信/管理ソフト『Inktomi Content Deliverly Suite』を代理店として販売するビジネスを展開する。

また、「将来的にはどうなるかわからない」としながらも、神田氏は「自社でポータルを運営するわけではない。あくまで、OEMビジネスとして技術やソフトを販売する」と、トラフィック・ワンのビジネスについて言及。すでにいくつものポータルサイトが乱立する厳しい市場だが、「両サービスを導入すれば、これまでのロボット型検索エンジンでは実現の難しかった、特定のジャンルに対象を絞り込んだ、専門性の高い検索サービス、ポータルサイトを実現できる」と、自信を覗かせた。

同社では両サービスのほか、Traffic Serverを導入したISPと提携して、Traffic Serverのキャッシュ機能を生かしたコンテンツ配信サービスをおこなう予定もあるという。2001年度の売り上げは、全体で15億円を見込んでいる。

現在、三菱電機の関連会社であるISP、(株)ドリーム・トレイン・インターネット(以下DTI)で、両サービスの導入実験をおこなっており、「DTIでは今後1~2ヵ月で両サービスともに正式に導入されるだろう」と神田氏。トラフィック・ワンでは、当面、三菱グループ各社を中心に、両サービスを販売していくという。

トラフィック・ワンの設立発表会に集まった、三菱電機とインクトゥミの面々。「中立的な立場でサービスを提供していくために、新会社を立ち上げた」としており、当面の事業計画と矛盾している部分もあった。三菱グループ以外にどうアピールしていくかが今後の課題になるだろう

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