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CRMアプリケーションベンダーの米オニックスが日本法人設立

2000年09月18日 20時28分更新

文● 編集部 佐々木千之

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CRM(※1)アプリケーションの開発・販売と、システム構築を手がける米オニックス・ソフトウェア社は18日日本法人設立発表会を開催、オニックス・ソフトウェア(株)を8月31日に設立したと発表した。

※1 Customer Relationship Management:顧客情報管理。主に企業の営業やコールセンターなど、顧客と直接の関係を持つ部門において、顧客に関する情報を一元的に管理・分析し、その結果を顧客とのよりよいビジネスに生かしていこうというマーケティング手法。

米オニックス・ソフトウェア社長兼CEOのブレント・フライ氏

米オニックス・ソフトウェアのブレント・フライ(Brent Frei)社長兼CEOは、米マイクロソフト社在籍時に海外子会社向けCRMシステムの構築を手がけ、その経験をもとに'94年にマイクロソフトを辞して米オニックスを設立した。同社のアジア・パシフィック地区担当副社長で、日本法人の会長でもあるハワード・ホーク(Howard Hawk)氏も含め、同社の幹部の多くがマイクロソフト出身という。製品スイートである『Onyx 2000』はWindows 2000 Server、SQL Server 7.0など、マイクロソフト製品上で動作する。

日本法人のオニックス・ソフトウェア(株)は、米オニックスと、ERP(※2)やインターネットシステム構築を行なうソリューションプロバイダーの(株)プライムシステムが合弁で8月31日に設立した。当初の資本金は8600万円だが、9月中にソフトバンク・インベストメント(株)が運営するベンチャーキャピタルファンドから出資を受け、8億円に増資する。増資後の出資比率は、米オニックスが58パーセント、プライムシステムが28パーセント、ソフトバンク・インベストメントが14パーセントの予定としている。

※2 Enterprise Resource Planning:統合基幹業務。企業の、生産・在庫管理、流通、購買、財務といった基幹業務を指す。

開発中の『Onyx FrontOffice 2000』にアクセスしたところ。手前はオニックス・ソフトウェア(株)副社長の扇子忠氏

日本市場向けにはウェブベースのCRMアプリケーション『Onyx Front Office 2000』日本語版を2001年2月の出荷を目指して開発中で、11月にはβ版をリリース予定としている。

オニックス・ソフトウェア(株)代表取締役社長の永田仁氏。(株)プライムシステムの代表取締役社長でもある

設立発表会で米オニックスのフライ社長兼CEOは「当社の製品は、CRM製品で最も重要な顧客満足度が非常に高い。米国を除く世界のIT市場で最大の日本市場においても、必ず受け入れられると考えている。今回強力なパートナー企業を得て、日本市場に参入できたことを喜んでいる。日本市場ではもちろん、アジア・太平洋地域のCRM市場でナンバー1の企業を目指したい」と、日本市場への参入に大きな自信を覗かせた。

ソフトバンク・インベストメント代表取締役社長の北尾吉孝氏

また、来賓として挨拶した、ソフトバンク・インベストメントの北尾吉孝代表取締役社長は「米オニックスには株の公開前から注目していた。最近、.com企業でつぶれてしまったものが出てきているが、これは顧客中心主義を貫けなかったのが原因と考えており、そういう意味でCRMアプリケーションはこれからの企業にとって非常に重要だ。日本法人の設立にあたっては、実績あるプライムシステムとの合弁であり強者連合といえる。また、ソフトバンク・インベストメントは現在インターネット企業を中心に総額1500億円の資金提供を1000社ほどを対象として行なっている最中で、資金提供後はその出資を受け入れてもらった1000社でのコンソーシアム構築を考えている。そういった企業において、CRMアプリケーションは不可欠で、日本法人設立のタイミングもいい」とコメントした。

日本においてCRMは、営業活動の効率化を助け、顧客と自社とを強力に結びつけるツールとして、企業におけるIT革命意識の浸透と共に市場が広がりつつある。日本IBM(株)、(株)日立製作所、日本電気(株)、日本NCR(株)をはじめとして、企業ネットワークシステム開発を手がける部門のある企業はすべてCRMシステムも扱っていると言っていい状況だ。またこの7月には、伊藤忠テクノサイエンス(株)CTCが米Servicesoft社のCRMソフトを日本語化して10月に発売すると発表、米国で同様のCRMソフト開発を行なう米カナ・コミュニケーションズ社も日本法人カナ(株)を設立するなどの動きをみせている。景気が回復基調に入り、日本企業のIT投資が増えることをにらんで、これからも海外CRM関連企業の日本市場参入が続きそうだ。

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