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【アルス・エレクトロニカ・フェスティバル2000 Vol.4】インターネット・コミュニケーション・プロジェクトのショーケース“エレクトロロビー”

2000年09月14日 15時16分更新

文● 岡田智博 coolstates.com

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インターネットによるブロードキャスティングや、コミュニティーづくり、アクティビスト的な運動など、コミュニケーションベースによるアートプロジェクトを世界から集め、一時的なラボを展開する、アルス・エレクトロニカ・フェスティバルの名物コーナー“オープンX”。今回から“エレクトロロビー”と名前を変え、よりオープンなコミュニケーションスペースのラボとしてデザインされるようになった。

“オープンX”から名称を変えた“エレクトロロビー”

今回、正式なプロジェクトとしてエレクトロロビーに招待されたのは12のプロジェクト。これらのプロジェクトや、期間中に持ち寄られたプロジェクトが100MbpsのLANによって結ばれ、リンツ市内に敷設されているATMによる広帯域ネットワークとインターネットに直結。会期中を通じてノンストップでラボを展開した。

エレクトロロビーは、テーマイベントのメイン会場である“ブルックナーハウス”のロビー全体で展開された。その中心にはスタジオが設置され、招待されたアーティストやプロジェクトの紹介、デモンストレーション、シンポジウムの中継がエンドレスで行なわれた。これらのブロードキャスティングコンテンツは、全てアーカイビングされ、フェスティバルの特設サイトから今も自由に楽しめるようになっている。

エレクトロロビーとその愉快な仲間たち

エレクトロロビーに招待されたプロジェクトは、ネットワークベースということだけしか共通しない千差万別なもの。

まず、目をひくのは巨大なロゴのバナーを張り出したブースを展開するetoy(マルチナショナル)。この'94年設立の老舗のドットコム“企業”は、昨年末のクリスマス商戦の時期、アメリカの“新興”ドットコム企業である大手玩具コマースetoys社('96年設立)からクレームを受け、ドメイン使用を停止された経験を持つ。この際、etoyはインターネット上でキャンペーンを展開、etoys社の株価が大暴落した。最終的にはetoyがドメインの使用を取り戻すという“逆転の勝利”を獲得。今回は、現地採用の美人etoyコンパニオンの手から、そのことを記念したミュージックアルバム“TOYWAR.COM”と、新規事業計画の案内が手渡されるという、企業PRのパフォーマンスを展開した。

現地採用の美人etoyコンパニオン

ウォールストリートの本物のファンドマネージャーが趣味で展開する、小話コミュニティーのメメプール。日常の中にあったり、ちょっと思った妄想を、リンクのURLとともに投稿しあうサイトである。「何も宣伝しなかったけど、みんな面白がってくれただけさ」と主のジョシュア・シャーチャー氏(米国)。「クオリティーの高い小話しか載せない」という姿勢を最初から守り続けて来たことが、結果として人気を集めたのではないかと自己分析する。

最初は、物語の自動投稿システムを自身で作って運用していたが、現在ではあまりの投稿の多さに、プロ編集者によるボランティアのヘルプを借りているとか。「話が話だからみんな楽しんで手伝ってもらっているよ」とシャーチャー氏。メメプールにかける時間は、自身でも多くて3時間程度だとか。「会社は何をやっているか知っているから、会社のまわりの話はNGなんだよね……」

クオリティーの高い小話しか載せない、メメプールのサイト

バイオベンチャーによる遺伝子情報の知的所有権化に物申し、自身の遺伝子情報のオープンソース化の実現と、データベースのシェアを提唱するリンカーン・ステイン氏(米国)。「例えていうなら生命科学界の“ナプスター”さ」。そのデータベースを展開する“アノーテーション提供システム”のWebサービスを掲示しながら、来場者にプレゼンテーションを展開していた。

「とにかく3ヵ月ほど、Webサイトを見通しで探したよ」と語るのは、エレクトロロビーを企画したTNCネットワークのブルーノ・ブッシュ氏。NCネットワークはフランスのテンポラリー・メディア・ラボをデザインするスペシャリスト集団である。

特設インターネット放送スタジオでインタビューに応じるブルーノ・ブッシュ氏

エレクトロロビーでは、その他、世界各地のインターネット放送局のサテライトスタジオとDJプレー、ネットワークゲームのデモンストレーション、はたまた36時間耐久WEBデザイナーコラボレーションなどといった、盛り沢山のプロジェクトが繰り広げられたのであった。

会場内ではスナックとして西欧ではおしゃれフードの寿司が振舞われた

筆者の手によるヨーロッパのパブリックなサイバースペースとメディア・アートに関するレポートがここでも読めます

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