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JWAなど3社、短時間局地降水予測を開始

2000年09月08日 21時43分更新

文● 編集部 小磯大介

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(財)日本気象協会(以下JWA)と(株)ハレックス、ならびに東日本電信電話(株)(以下NTT東日本)は8日、都内で記者会見を開き、10分おきに局地的な降水予測ができるサービスを開始したと発表した。名称は“超短時間局地降水予測サービス”。NTT東日本が開発したシステムをハレックスが運用/管理し、サービスはJWAが顧客へ提供する。

“超短時間局地降水予測サービス”の概要について解説した、(財)日本気象協会 営業推進部 部長代理の近藤敏明氏。「短時間の局地的な集中豪雨などを、高い精度で予測できる。自然/都市型災害の予測や、スポーツ/イベント会場の運営管理に最適」と、同サービスがターゲットとする市場について言及した。サービス自体は8日に開始したが、具体的な営業活動はこれから始めるという

超短時間局地降水予測サービスは、“気象庁レーダ(※1)”の情報を、ダイナミック・テクスチャー法(※2)(以下DT法)により顧客へ提供するサービス。従来の短時間気象予測法である“CC法(Cross Correlation:相互相関法)”は、過去の画像との比較から降雨地域の移動速度を算出する方法だった。しかし、DT法では画像から降雨地域の発達/衰退/停滞の判定とベクトルの推定をおこない、それをもとにNTT東日本独自の“予測方程式”で降水予測する。同社によると、これにより、予測精度は従来方法に比べて70パーセント向上したという。なお、同サービスでは、気象庁が発表する警報/注意報、台風/地震/津波情報、ひまわり雲画像、天気図などの気象情報を、降水予測とあわせて提供する。

※1 気象庁レーダ:雨や雪などの粒子が電波を反射する性質を利用し、マイクロ波を発射してその反射波を受信することで、降水や降雪の量を推定するレーダー

※2 ダイナミック・テクスチャー法:日本電信電話(株)の“NTTサイバーソリューション研究所”が開発した、時間とともに変化する気象庁レーダ画像の降水パターンを模様(テクスチャー)と見なし、定点における気象条件の変化を力学的(ダイナミック)に捉える気象予測法

顧客は、Celeron-300MHz以上を搭載したWindows NT4.0(SP4以降)端末を用意し、端末に同サービス受信/表示システム(JWAが提供)をインストールする必要がある。そして、端末からデジタル専用線、もしくは通信衛星(“スーパーバードB号”)を介してハレックスのサーバーに接続する。すると、気象レーダからサーバーへ送られた降水情報を受信/表示システムが自動的に受信。同システムは、移り変わる降水情報を、降水量と降水地域の移り変わり速度をもとに画像化し、移動速度を推定して局所的な降水予測をおこなうという。

同サービスの技術面について説明したNTT東日本のマルチメディア推進部担当部長 鈴木智氏は「10分ごとに、3時間先まで、2.5km四方単位で降水量と風向き、気圧を予測計算できる」と、DT法による予測の精度について説明した。Pentium III-850MHzを搭載したパソコンでは、すべての処理が約1分で完了するとしている。1時間ごとに、5km四方単位で降水量を推定する気象庁の短時間気象予測“メッシュ予報”に比べ、より局所的なサービスが可能で、予測精度でも優れているという。

NTT東日本 マルチメディア推進部担当部長の鈴木氏

提供エリアは沖縄を除く全国。全国を北海道/東北/関東中部/関西中国四国/九州の5ブロックに分けて、顧客が必要とするブロックのデータを提供する。今後、沖縄ブロックも対応予定。価格は1ブロックあたり月額15万円で、追加の1ブロックは月額3万円となる。また、現在は専用線/衛星によるサービスだが、将来的にはインターネット上や、iモードなどのモバイル機器向けに同サービスを提供する予定があるという。

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